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退屈の始まり

 いつも通りの朝を迎えた。

 


 今日は2020年11月24日、月曜日で天気は晴れ。そろそろ肌寒くなってきた。


 「朝よ~早く起きないと遅刻するわよ~」


 といつもの威勢のよい母の声が一階から聞こえる。


 「分かってるー。今起きるから。」




 俺の名前は松本海斗。ごく普通の名前であり、ごく普通の高校生でもある。


 家族構成も俺と妹、母、父の4人家族でぼちぼちの生活をしている一般人だ。


 休日の部活の疲れも抜けない力の入らない体に抵抗するように俺はベッドから体を起こした。


 「今日もいつもと同じ毎日が始まるな・・・・」


 月曜なので同じような生活が今週も始まると思うと嫌になる。


 「退屈な毎日に刺激はないかなぁ。」


 毎日何も起こらず、平凡に暮らしていくのが幸せだという人もいるけれど俺は違う。


 毎日に何かを求めている。何を求めているのかは自分でも分からないけれど。



 

 部屋で制服に着替え、リビングで朝ごはんを食べる。これもいつものこと。


 朝ごはんを食べたあとはトイレに行って、歯を磨いて、髪を整えて、軽く香水をつけて玄関へ向かう。これもいつものこと。


 気が向いたら順序を変えてはみるけれど、大して刺激にもならない。


 「忘れ物はないわね~?」


 「ないよ。いってきます。」


 「いってらっしゃい。」


 母と俺との朝通学する前のいつもの会話。たまに中学生の妹、舞と重なることはあるけれど今日は先に行ったみたいだった。




 俺の家から高校までは電車で30分。乗換えがないだけマシかもしれないが毎日の朝の30分はとても無駄な気がして仕方がない。


 目をつぶっておくか、音楽を聴いておくか、スマホをいじるか・・・


 人生は時間潰しだと誰かが言っていたけれどその通りかもしれないといつも思っている。


 こんな人生つまらないと思っているからか友達も少ないし、彼女もいない。今は・・・。


 彼女作って、友達いっぱいなら退屈しのぎにちょうどいいのでは?とも考えたこともあった。


 でもそれ以上に人間関係が面倒で結局、本当に仲の良い男子数人としか関わることがなくなってしまった。


 本当は自分の人生が面白くない、刺激がないのは俺自身のせいであって、決して社会が悪いとかじゃないことくらいは分かっている。


 でもつい毎日に刺激がないのは、こんなつまらない同じ毎日の繰り返しを容認しているような社会の体制が悪いのではないかといつも思ってしまう。




 物思いに耽っていると高校に着いた。


 「まっちゃん、おはよう!!」


 「おはょぅ・・・はぁ眠ぃ・・・」


 数少ない友達の一人である直樹が話しかけてきた。


 今では直樹だけが俺のことをまっちゃんと呼ぶ。


 「今日もいつもと変わらないね、まっちゃんは。」


 「そりゃ、今日という日がいつもの月曜と全く変わらないからじゃね?」


 「そうかもな。」


 また、ませた発言をしていまった。こんな発言を嫌う人も多いことは分かっている。でも直樹は他の奴らとは違って俺の発言を否定することは滅多にないし、怒ることもない。味方にもなってくれる。


 結局俺は、自分の都合のよい人間としか関わっていない、関わりたくない駄目な高校生。


 「ちょっと、まっちゃん聞いてくれよ!昨日さネットで見たんだけど、この町昔は妖怪の住みかだったらしくて今でもその妖怪の一部が町に漂っているらしいよ!!」


 「いったいどうしたんだよ。急に。」


 直樹はませ餓鬼、ポーカーフェイスの俺にも積極的に話しかけてくれる。気遣ってくれる。


 そんな明るいフレンドリーな性格だからクラスのムードメーカーでもあり、可愛い彼女とも付き合っている。人生勝ち組の直樹が人生負け組の俺になんでそんなに関わってくるのかが今だに不思議でたまらない。俺といて楽しい訳でもないだろうに。



 ♪チャイム♪

 


 「やべっ。じゃあ後でな!!」


 直樹は席に戻っていった。


 そして、このチャイムはこれから退屈な月曜日が本格的に始まる合図でもあった・・・。

 

 

 

 



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