別れ
「はあ~?
なんなんだ~
お前らは~
ふざけんじゃね~よ~!」
ハットリが叫んでいる。
今 僕らは、
廊下の物影に隠れていた。
隠れながら、
目の前の10メートル先で繰り広げられている、 いわゆる
集団いじめを見ていた。見るほかになかった。
…いや ごめん
すでにいじめと言えるレベルの問題では なかったようだ
。
中野さんはこう言った。「なんか ハットリ先輩の顔面が 変形してますね…」
確かにそうだった。
ヤバいレベルでだ。
この先にいる ハットリは、 敵に見つかってしまったようで、 6人ほどの敵に囲まれ、
警棒 あるいは
バット あるいは
拳 で ボコボコに殴られていた。
…話は少し前に遡る。
ハットリの叫び声が聞こえて、 小さな部屋に隠れていた、
僕 中野さん 助けに来てくれた今山 は、
その声の 方向に走り出した。
結構 走って、 人影が見えたのだ。
僕達は物影に隠れて、
慎重に 状況を確認した。
状況はすぐに わかった。
カマキリがボコボコにされていたのだ。
「痛くも痒くもねぇ!」
そう 言っていた。
僕達はすぐ 助けようかと思ったが、 下手したら こちら側の命が危ないし、 敵は銃を隠しているかもしれないし、
そうなったら ハットリの命が危ない。
…まあ すでに危ないけど…
だから 僕達は隠れて、
ハットリを助け出す、
アイデアを考えていた。
そして
今にいたる。
ハットリの様子を見ると、 すでに 顔面が変形していた。
血まみれだ。
だが ハットリはまだ元気みたいだ。
「お前らの攻撃なんて
へでもね~よ~!
痛くも痒くもねぇ!
死ねば~?」
すると 敵は さらに攻撃を激しくしていった。
「なんだコラ
カマキリ野郎め。
十分 痛がって 死ぬこったな! おらおら!」
今山が 口を開いた。
「くっ!
どうすれば…
俺達は何もできないってか… こっからガトリングで狙っても ハットリが危ないしな… 」
僕達はただ
ハットリの血祭りを
眺める事しかできなかった。
「ハットリ先輩…
死んでしまうんでしょうか…
良いことなのか
悲しい事なのか…
わからないですね…」
中野さんはそう呟いていた。
「痛くも痒くもねぇ…
が そろそろ止めにしねえかな~? 」
とハットリは叫けんでいた。
どうやらハットリは
そろそろ 痛くなって来たようだった。
しかし
敵の攻撃が 止まるはずもなく、 さらに激しさを増していた。
ハットリのいる 床は、
赤い液体が 湖のように、たまっていた。
ハットリはもう
ダウンしかけていた。
「お前らな~
ふざけんじゃね~よ~! 止めくれ~!
死にたくね~よ~!
ああああああああああ! ファイヤあああああー! 」
…
アーメン
ハットリ…。
今まで 楽しかったぜ。
僕は
合掌していた。
が 隣にいる今山が、
立ち上がった。
「おい!
諦めんのは まだ
早いぜ! くらえ!」
と 今山は叫び、
ガトリングガンを
前方に向かって闇雲に撃った。
ダダダダダダダダ…!
銃声が響いて、
敵は慌てて どこかへ隠れにいったようだ。
「いまだ! 相棒!
ハットリを回収してきてくれ!」
そう 今山に頼まれ
走って ダウンしているハットリの腕をつかみ、 回収に成功した。
「おめでとうございます!
」
中野さんが 言ってくれた。
しかし、
敵たちは 銃を構えて、
僕達の方向に撃ってきた。
「お前達は 先に武器庫に行け!
ここは 俺が 引き受けた。 」
そう 今山は僕達に叫び、ガトリングガンを構えて 敵たちに撃っていた。
「でも 大丈夫か? 一人じゃ危険だろ?」
「そうですよ!
私たちと一緒に 逃げましょう」
僕達は
今山にむかって そう叫んだ。 一人じゃ危険すぎるからな。
だが 今山は
こう返した。
「うるせえ!
さっさと行け!
俺の事なら大丈夫だ!
俺は絶対死なないぜ。
ハットリと中野さんを任せた。
さあ グズグズすんな!
行け!」
… 僕達は走り出しながら、後ろに向かって叫んだ。
「わ わかった!
サンクス今山!
絶対死ぬなよ!」
「生きて帰りましょうね」
すると後ろ姿になった今山は 叫んでいた。
「 OK !
セブンイレブン!」
こうして
今山を後にして僕達は
階段を 駆け下りた。
「この辺に 確か 武器庫が あるはずなんだけどな」
僕は そう 独り言をぬかしながら、 走っていた。
すると中野さんが言い出した。
「私 少し疲れました。
もう 大丈夫ですよね?
そろそろ 歩きましょう?。」
「そうだね
僕もハットリを抱えながらだから 疲れた」
僕達は 歩いて武器庫を探し始めた。
だが 目の前に突然
敵が一人 現れた。
「…やべえ!」
この廊下には隠れれそうな場所はなかった。
逃げようと思ったが、
後ろにも 敵が一人
いた。
挟まれてしまったようだ。
「やべえな!」
「そうですね…」
「…」
ハットリは
まだ ダウンしているし、 最大の ピンチのようだ。
敵たちは 銃を構えた。
僕達は何もできなかった…
僕達が絶望していると、
突然 敵達が倒れた。
なにが起こったのだろうか。
すると 僕の携帯電話がなった。
ひだかくん からだ。
「 …チェックメイト」
そう言われて
切られた。
どうやら
ひだかくんが
助けてくれたようだった。
凄腕の狙撃手
ひだかくん らしい。
ここで ハットリは
目を覚ました。
「あぶね~
死ぬところだったぜ~
まあ
余裕だったけどな~!
ガハハハハ!」
…僕と中野さんは
ハットリをシカトして 武器庫を探し始めたのだった。