第4話『初試合――人間の感覚でチームをまとめる』
さぁ、初試合です。
そんなこんなで迎えた初めての練習試合。相手チームは普通の人間チームだ。
うん、そうだよな。日本プロ野球、社会人や独立リーグだって、他のチームまでみんな妖怪との混成チームってわけじゃないんだよな。うん、何となくホッとするよ。っていうか、俺、いつの間にかうちだけじゃなくどこも妖怪混成軍だと思い込みかけていた。それくらいチームメイトと馴染んできた、ってこと、いや、これ、喜んでいいのか? どうなんだろな。
うちのチームの妖怪たちは能力任せでぶっ飛ばして、時に相手の目を見張らせるが、作戦はバラバラ。攻撃もなかなかかみ合わない。
この間から「野球洋室、野球教室」騒いでいた座敷は、思いのほかの選球眼を発揮してボール球に手を出さなくなったおかげで出塁率が上がった。でも、俊足の座敷が四球を選んで出塁も、次打者作戦も何もなくの大振りで空振り三振。雪屋の冷気と風で攻守とも打球が不自然に止まりすぎ、皿田は水を探して右往左往。なのに、監督はじっとあのノートに目を落としたまま…
「か、監督? これ大丈夫なんですか? 」
「大丈夫だ。副オーナーの饒速視さまが、幻術で相手には不自然に見えないようにしてくれてる。二軍はとにかく人間としてのプレーに慣れるのが最優先だがらな。真田もうまく人間の野球、みんなにアドバイスしてやってけろや」
たしかにこんなにバラバラじゃ野球の試合にはならないよな。正体さらしそうでどうにも危ういところは幻術でカバーしてもらってるにしても…
俺は考えた。監督も今、アドバイスしてやってくれって言ったしな。
(ああ、うん……そうだよ。俺がバッティングの作戦と守備位置を指示すればいいんだ! )
そう心に決めた時、座敷と目が合った。座敷が嬉しそうに笑って親指を立てる。よし、行くぞ。
試合中、初めて声を張った。
「皿田、真ん中低めのカーブ狙え! ボール見極めろよ。それから雪屋は少しだけ冷気を薄めろ!」
妖怪たちは初めは戸惑った視線を向けてきたが、次第に俺の指示に従い始めた。
回は進んで早くも終盤。
9回表終了で2点差。ここで最低でも同点にしなきゃ負ける。でも何とか四球や相手エラーも絡んでランナー満塁で俺の番。
相手投手の球は速い、攻撃時とはいえ抑えきれていない雪屋の風の影響が読みにくい。でも打った瞬間の手応え、バットの感触が脳に直撃した。
「よっしゃ、いけぇ! 」
ベンチから歓声が上がる――打球は大空を舞い、外野の頭を超えていく。
やった、走者一掃のサヨナラ2ベースだ。
練習試合初勝利だ!!
歓声とともに、チームメイト(妖怪)たちが祝福してくれる。
「おお、真田! 人間なかなかやるじゃねぇか‼ 」
駆け寄ってきた河童の皿田に頭をぐりぐり撫でられる。手加減しらずの力で首がぐらぐらする。背中をバシバシ叩いてくるのは桜木と滑河か、こっちも手加減なしだな、けっこう痛い。でも、仲間と一緒に喜べる勝利の味は格別だった。
to be continued
何とか初勝利。これから調子あげていけるのかな?




