↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】大天使たち、日本昔話に異世界転生する。〜初恋成就作戦を決行するポンコツ地獄の王に振り回されています〜  作者: 久茉莉himari


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/14

【2】ハリウッドから日本昔話へ転生した件〜天才匠ルシアン、爆誕〜

――木の匂い、粗末な土壁。

目を開けた瞬間、私は、見知らぬ小屋の中にいた。


ルシアンは、状況を、即座に把握する。


「……ここは、日本の昔話の世界か!」


西洋の大天使であるはずの彼が、

なぜか、古き日本に立っている。

だが、迷いはない。


私は、一瞬で理解する。


私は、

花露姫はなつゆひめという人間に仕える職人、清弥せいやであること。

若いながらも、師の骨法を全て会得し、

更に、独自の工夫も編み出した程の、天才匠であること。

ライバルが、四人いること。


そして、確信する。


これは、正しく、神の新たな試練!

恐れ多くも、神は、私に聖なる務めを果たせと、仰せられている……!

大天使ルシアンとして……!


ルシアンが、誇らしげに頷いた次の瞬間、

背後から、ルチアーノの声が響いた。


「ルーシアン♪

俺様も、無事に転生したぞー!」


ルシアンは、一瞬で悟る。


ルチアーノは、

『富松』という長者の一番の部下に、転生したことを。


しかし――

ルチアーノは、地獄の王としての能力は、失っていない。

なぜ、そんな役割を受け入れているのかは、不明だった。


そんなルシアンの視線を、感じ取ったルチアーノが、

ウキウキと、語り出す。


「実は!

なんと、アンジュちゃんが、

長者の一人娘の“花露姫”に、転生しちゃってるんだよー!

つまり、お姫様と、しがない職人の恋……!!

リリカルな感性の俺様は、閃いた!

俺様が、富松になれば、動きやすいってな!

ルシアン!

今度こそ、初恋、成就させてやるからなー❤️」


――意味が分からない。





……これで、良いのか……???


アンジュ――大天使ガブリエル――の頭の中は、

ハテナマークで、いっぱいだった。


確かに、私は、器の衣を着ている!

それは、聖なる衣!


でもなあ……

この、日本の昔話の世界で、

真っ白なコートに、クリスタルピンヒール、

そして、真っ赤なランジェリー姿でも――


古風な衣に身を包んでいる侍女達は、

全く、驚かない!


これって、正解!?


しかも、私の器の“アンジュ”は、金髪碧眼、

その上、ランジェリーモデルとして、完璧なボディを持っているというのに……

誰も、眉一つ動かさず、

穏やかな微笑みを浮かべて、私の世話に明け暮れている……!


……ん……?

ハッ……!!


つまり、これは、神の尊き御業!

神の御心の深さに、

この私、大天使ガブリエルは、聖なる祈りを捧げよう……!


そう、ガブリエルが、心を燃やしていると、

御簾の向こうから、侍女の静かな声がした。


「花露姫さま。

職人どもが、集まっております。

長者さまが、ご一緒するようにと」


ガブリエルが、すっくと立ち上がる。


花露姫に、転生したからには――

神に恥じぬ働きを、してみせる!


そう決意したガブリエルは、

「分かった!ゆこう!」と、高らかに宣言した。





御簾の手前には、

美しい木彫りの椅子が、二つ、並んでいた。


アンジュが、椅子に腰を下ろし、

長すぎる、完璧なラインの足を組みながら、

「神は、全知全能であられる!」と、

神への感謝の祈りを捧げようとしていると――

するすると、音もなく、御簾が上がった。


ルシアンを含む、五人の匠が揃い、

正式に、長者の前へ召されて、

このたびの仕事を、申し渡される。


だが、アンジュの耳には、

そんな話は、まるで入ってこない。


なぜなら、頭を抱えていたからだ。


――ルシアンよ!!

確かに、この世界は、神の尊き御業で、

我々の衣は、問題ないらしい!……らしいが!!

なぜ!?

なぜ、そんな柄on柄のスーツで、“あぐら”をかいているのだ!?

せめて、ジャケットを脱げ!!


そう、アンジュが、心の中で毒づいている間にも、

長者の言葉は、続く。


長者は、傍らのアンジュを見やり、厳かに言った。


「この姫の生涯を守護する、御仏の御姿を刻んでもらいたいのだ。

持仏堂に納め、朝夕拝む御仏と、その厨子を望んでおる。

御仏は、弥勒菩薩。

工夫は任せるが、十六の正月までに、仕上げよ」


アンジュは、思わず、ガハッと、長者を見てしまった。


――私は……今は、十五なのか……?

……このボディで……???





やがて、ルシアンを含む、五名の匠が、

その仕事を、正式に受けて、挨拶を終えると、

酒肴が、運ばれてきた。


長者とアンジュは、正面に、一段高く座し、

左手には、五名の匠の膳が、

右手にも、三つの膳が、並べられた。


そこには、まだ、誰の姿も見えなかったが、

アンジュは、

「重臣の席であろう」と、呑気に考えていた。


――だが。


ルチアーノが、突然、現れたのだ。

しかも、彼は、ロクシーとイレイナを伴って。


長者が、長々と、

ロクシーとイレイナの人となりを、語り出す。


要約すれば――

「二人は、遠い国から、はるばると、

花露姫の着物を織るために、

この地まで来てくれた、天才織り女」――

ということらしい。


だが、最後に、長者が放った一言で、

アンジュは、危うく、椅子から転げ落ちそうになった。


「母は、イレイナ、娘は、ロクシーである。

姫の気に入った御仏を造った者には、

約束の褒美に加えて、

美しいロクシーも、褒美に進ぜよう」


――つまり、

ロクシーとイレイナの、この昔話での役割は、

長者が買い入れた、

機を織る、美しい職人だということか!


その時、アンジュは、ふと思った。


私は、恩寵を消されているので、分からないが……

イレイナは、魔術を使えないのか?

考えてみれば、ルチアーノも、悪魔の力を持つはず。

だが、彼が、本当に使えるなら、

わざわざ、二人を連れて来たりするだろうか?

まさか……

ルチアーノも、イレイナも、

ここでは、力を発揮できない……!?


しかし、そんな疑問も――

ルシアンの放った言葉で、すべて吹き飛ぶ。


「この女たちが、

わざわざ、遠い国から、はるばるやって来た織り女だと?

それは、珍妙・奇っ怪・珍奇・突飛なことだ」


――ルシアン……!!

それは、全部、同じ意味の日本語!!

それに、その言い方は、

人間で言うところの、『棒読み』ではないか!!

せめて、聖書を読むくらい、滑らかに喋れ!!


すると、ロクシーが、静かに立ち上がった。


長者に、軽く黙礼し、

ズカズカと、ルシアンの前へと進み、

立ち止まって、彼を見下ろす。


そのまま、膳部の横を半周して、

ルシアンの背後へ回り込むと――


そっと、ルシアンの肩に、手を置いた。


その瞬間、

ガブリエルは、ただ、固まったように、身体を硬直させていた。


なぜなら――

ロクシーの手には、

鞘から抜かれた懐剣が、ギラリと光を放っていた。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も17時更新です☆


Xはこちら → https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪


\外伝の元ネタはこちら✨/

『最強捜査官』本編 → https://ncode.syosetu.com/n2892lb/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。