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第47話 ライバル大集合

挿絵(By みてみん)

「声優」と言うお仕事の存在を知らなかった女子高生が声優を目指して奮闘する、笑いあり涙ありの……いえ、ほとんど笑いだらけの楽しい青春ストーリーです。

声優の井上喜久子さんが実名で登場しますが、ご本人と所属事務所のアネモネさんには快く承諾をいただきました! ありがとうございます!!

第1話と第2話を井上さんに朗読していただきましたが、このたび第16話と17話も、朗読していただきました!

朗読を聞くには下のURLをコピペして飛んでください!

謎の対談も、聞いていただけると幸いです(笑)

https://x.gd/9kgir

更新情報はXで!「@dinagiga」「@seitsuku」

「あら安田部長、もしかして敵情視察かしら?」

 昭和レトロ喫茶の入り口から、一般人とは思えない大きくて通る声が響いた。

「き、君は、演劇部の青島部長!」

 まさかこんな所で鉢合わせするとはと、少し驚いたように放送部部長・安田正広が声を上げる。

「あなたのことだから敵情視察、つまりスパイってことでしょうね」

「スッパイのは梅干し」

 演劇部部長・青島香澄の言葉に、結芽が合いの手を入れた。

 すかさず、放送部副部長・佐竹真希がひと言。

「私はシャケの方が好きだわ」

 香澄に同行していた演劇部員の志幾ひなたもボソリと言う。

「私は、昆布かなぁ」

 すると結芽が、右手の人差指をピョコンと立てた。

「さて、ここでクイズ」

 クイズ?

 その場の全員の顔にクエスチョンマークが浮かんだ。

「梅干し、シャケ、昆布、私が好きなのは何でしょう?」

「いや、ここはクイズ番組のスタジオではなーい!」

 そう叫んだ正広だったが、なぜか女子勢は首をひねって考え始めた。

 麗華が結芽をじっと見つめる。

「わたくし、結芽さんと同じ声優部ですが、おにぎりを食べているところは見たことがありませんわ」

 真希もうなづく。

「私も、放送部時代の桜田さんのこと知ってるけど、おにぎりの具の好みなんて聞いたことないわね」

「いやいやみんな! どうしてクイズに乗っかるんだ!? そんなことをするために、ここに来たわけじゃないだろ!?」

 困惑気味の正広だったが、女子たちは一斉におにぎり談義に花を咲かせ始めた。

 どこそこのコンビニのおにぎりは具が大きいだの、海苔はパリパリがいいかしっとりがいいかだの。

 正広が苦笑しながら、独り言のようにつぶやく。

「まさに女三人、いや三人以上寄ればかしましい、という状況だな」

 結芽がパッと正広に視線を向けた。

「やかましい?」

「かしましいだ! ……いや、それも言い得て妙かもしれんな」

 そう言った正広に、大きくて通る声がぶつけられる。

「誰がやかましいのよ!」

「君たちに決まってるだろ!」

 その時、麗華が結芽に優しい目を向けて言った。

「ねぇ結芽さん、何かヒントはもらえないでしょうか?」

 うーんと考え込む結芽。

 いつの間にか声優部、放送部、演劇部とは関係のない他の客や、メイドをしている一年B組の生徒たちまで、結芽の言葉に耳を澄ましていた。

「えーと……コンビニで一番人気の具」

「はい!」

 麗華が手を挙げる。

「わたくし、シャケだと思いますわ」

 すかさず香澄が声を上げる。

「私は昆布!」

「じゃあ僕は梅干しだーっ!」

 なぜか思わず正広もそう叫んでいた。

 真希が呆れたように正広を見つめる。

「部長、クイズに乗るなって言ってたのに」

「いや、何事においても、負けるのは好きじゃないんだ!」

 肩をすくめる真希。

「それで正解は?」

 麗華のその問いに、この部屋の全員の目が結芽に集中した。

「正解は……」

「正解は!?」

 焦り気味に聞いてしまう正広。

 結芽がニヤリと笑う。もちろん、胸ポケットのぬいぐるみの口元もニヤリとさせている。

「ツナマヨ」

 は? ……室内の全員がぽかんとしてしまう。

「桜田くん? 梅干し、シャケ、昆布のどれかじゃないのか!?」

「私、その中に好きなのがあるとは言ってない」

「いや、さっきそう言ったじゃないか!?」

「梅干し、シャケ、昆布、私が好きなのは何でしょう? って、言った。どれでしょう? じゃなくて何でしょう? って」

「なんじゃそりゃーっ!?」

 再び結芽の右の口角がニヤリと上がる。

「去年一年のコンビニおにぎり販売ランキングで一位はツナマヨ、シャケは二位で昆布は三位だからおしい。安田っちの梅干しはもっと下だからおしくない」

「部長、最下位ですね」

「うぐぐぐ!」

 くやしがる正広が目に入らないのか、結芽が香澄をじっと見つめる。

「な、何よ!?」

「この人、誰?」

「あなた、ちょっと前に会ったじゃないの! 演劇部の部室でっ!」

 香澄の剣幕を気にもせず、結芽が無表情のまま首をかしげる。

 すると、何かに気づいたのか、麗華がハッとして小声で結芽に耳打ちした。

「演劇部の部長、青島香澄先輩ですわ」

「くるくるの縦ロールじゃない」

「あれは演劇用のカツラ。今の髪型が本物です」

 黒髪ショートの香澄を、まじまじと見つめる結芽。

「やらかして頭を丸めた」

「何も失敗してない!」

「仏門に入られた」

「そこまで短くない!」

 ふーむと、少し考えてから結芽がボソリと言った。

「女は化けるものだとよく言う。略して化け物」

「誰が化け物よ! 私を妖怪とでも思ってるのっ!」

 香澄の怒りの大声に、ひなたがどうどうとなだめにかかる。

 だが結芽は火に油をそそぐ。

「何か用かい?」

「その“ようかい”とは違う! うきーっ!」

「妖怪じゃなくてお猿さんだ」

「じゃあこれでどーだっ!」

 そう叫ぶと香澄は、どこから取り出したのか、縦ロールがくるくるしている中世貴族のような金髪のカツラをズバッとかぶった。

「変身した」

「カバンから出したのよ!」

 だが、結芽と香澄のそんな攻防に、正広が割って入る。

「青島部長、僕のことをスパイだって言うが、君だって声優部の様子を調べに、ここにやって来たんじゃないのか?」

「その通りよ! 声優部が何か怪しい動きをしてるって聞いたのよ!」

 そこにタイミング良く、いや悪く、メイド姿の雫と凛がやって来た。

「カスミっち、何が怪しいいっちゅーの?」

 凛のあっけらかんとした質問に絶句する香澄。

「か、カスミっち!?」

 すると結芽がボソリと言う。

「仙人はカスミを食べてる」

 すかさず突っ込む正広。

「そんなミニ知識はいらーん!」

 とてもにぎやかな、昭和レトロ喫茶であった。

嵐の前の静けさか(静かかどうかはともかくとしてww)

ステージでの発表前に、放送部、演劇部、声優部が大集合です。

そしていよいよ、ステージが開幕します!

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