鼻と鼻の、小さないたずら
夜の公園で、透と咲は静かに並んでいた。鼻をくっつけたり、擦り合わせたり、触れ合ったりして、子どものように微笑み合っていた。その小さな触れ合いだけで、二人の間には温かな絆が生まれているように感じられた。
「透、次は……もっと仲良くなる方法、試してみようか?」咲が少しいたずらっぽく、怪しい笑みを浮かべながら言う。
「な、何?」透はなんだか悪い予感がして、咲から少し距離を取ろうとしたが、咲がその動きを見逃すはずもなかった。
「じゃあ……こうっ!」と咲は素早く透の鼻に手を伸ばし、指をそっと彼の鼻の穴に入れた。透は驚きで目を丸くし、思わず後ろにのけぞった。
「うわっ、何するんだよ!」透はびっくりして、咲の手を払いのけようとするが、咲は笑いをこらえきれない様子で、けらけらと楽しそうに笑っている。
「透、顔が面白い!」咲はお腹を抱えて笑いながら、透の顔を指さす。
「やり返すぞ!」透は反撃するように、今度は自分の指で咲の鼻の穴を狙った。咲は「やめて、やめて!」と言いながら逃げようとするが、結局は透の手から逃れることができず、鼻の穴に指が触れられた瞬間、くすぐったさに耐えきれず笑い崩れた。
二人は鼻をつつき合ったり、指を入れたりして、子どものように笑いながらふざけ合っていた。そのいたずらは本当に些細なものだったが、心がはじけるような楽しさが溢れていた。
やがて二人は笑い疲れ、公園のベンチに並んで座り込んだ。顔を赤らめ、息を整えながら、透も咲も笑いの余韻に浸っていた。
「なんかさ、変だけど、楽しかったね。」咲が笑いながら言う。
「うん、ちょっとバカみたいだけど、こういうのもいいかもな。」透も笑ってうなずいた。
何気ないいたずらが、二人の距離を少しずつ縮め、心の中に新しい思い出を刻んでいく。鼻の穴に指を入れ合うなんて、ちょっとおかしいかもしれないけれど、それもまた二人だけの特別なひとときだった。