幼き日のルシアス達
若くして母アリシアの後を継いで公爵となったルシアスが責務を果たせたのは臣下のラッセルや魔法使いマリオン達のお陰だった。
アカトス領内の統治は臣下達の働きがほとんどだったがルシアスは慈悲深く、魔物に困っている民がいれば抱える騎士団である白獅子騎士団の騎士達や衛兵を派遣し、領内の貧しい村に施しを与えるように言って、病人や怪我人がいれば城下町の薬師やシェイダル教団の司祭達へ助けに行くように促したりした。
父から受け継いだ黒髪に母アリシアの父親レイノルズ王国の英雄王ディレートやその民達の祖である銀の民の赤い瞳を受け継いでいたルシアスは何処か神秘的な雰囲気をしていた。
若きルシアスには2人の大事な友人がいた、一人は魔法使いマリオンの弟子であるルヴェーラもう一人は母アリシアの姉シエナの次女マナだった。
ルヴェーラは孤児だった、魔物に襲われた村で両親を失ったところその村の魔物達を討伐しにきたマリオンや白獅子騎士団の騎士達に保護され公都ハウルナートの城で生活するようになった。
ルヴェーラとルシアスは魔法の腕を競い合ったりしたがルヴェーラの方が一枚上手だった。
マナはレイノルズ王国の民である銀の民の血を色濃く継いでいて銀色の髪にルシアスと同じ赤い瞳をしていた。
マナはシェイダル教のアカトス領内にいる司教であるアルナに憧れて自身も司祭となるべくアカトス領内の中心地となるルシアス達が住むこの公都ハウルナートの神殿にシエナの許しえて生活していた。
心優しいマナをハウルナートの人々は銀の乙女と呼んでいた。
幼き三人の一番の楽しみはバルアの背にのって空を感じて、空から城下町を眺めたりする事だった。
時に喧嘩をする事があっても三人はかけがえのない友人同士だった。
母アリシアがいなくなったルシアスを心の中で支えたのは間違いなく友人であるルヴェーラやマナ、ドラゴンのバルアそしてハウルナートの臣下達だった。
そんな中で母を失ったルシアスは2人の親友ルヴェーラ、マナといくつかの時を重ねていった。