カーラIIマンション
まだうとうとしている俺は尚弥君をおぶり、尚弥君ママと原口さんと車に乗り込んだ。助手席に原口さんがのり、後部座席に尚弥君と座り、自宅を後にした。MAP機能をオンにして、赤いマークを避けて車を走らせてもらった。
尚弥君の自宅は車で10分の距離にあり、尚弥君ママこと詩織さんの運転が静かに進んだこともあり、モンスターに会わずに家に着いた。マンションの駐車場に止めた際に、何台かのバイクと車を読み取っておき、ついでにキャンピングカーも一台見つけたのでそちらも情報を読み取った。
13階建てのカーラIIマンションの501号室が家とのことで本来ならエレベーターを使う所だが、途中で動かなくなったり、他の階に空いた瞬間になにかあると嫌なので、念のため階段で向かうことにした。うとうとしている尚弥君は原口さんに背負ってもらい、1番後ろを自分が受け持った。
身体能力がレベルアップで上がったおかげか、息を切らさずに5階まで上がり切ることが出来たが、残念ながらこの階に6部屋あるうちの尚弥君の家の隣の部屋に赤いマークが1点指し示されていた。
静かにしようと指を口に当てジェスチャーで表すと、皆黙ってそろりそろり進み、家の前についた後、鍵を開けてもらい、原口さんが部屋の中を確認し、何もいないのを確認すると、皆ソロソロと中に入っていった。俺のマップには部屋に異常が無いのがわかっていたが、自分の余計な情報を出したくは無い為、黙っていた。
尚弥君を部屋に寝かせ、詩織さんが全ての部屋の窓についているシャッターを静かに閉めた後、台所と居間がある部屋のベランダに繋がる窓にはカーテンのみが引かれていたので、灯りを外に漏らさないようにダンボールを窓一面に覆うように話した。そうこうするうちに旦那さんが傘を持ってボロボロになって帰宅して来たので、念の為鑑定をかけて体に異常が無いかを見てみると、
『慢性疲労』
とだけあらわれていた。また、たまたまモンスターに会わずに帰れた為、1匹も討伐していないらしく、ステータスは未作成状態の名前と体の調子が見れただけである。この旦那さんも未覚醒状態なため、経験値は入らないようだった。覚醒する為には
最初にモンスターを倒すしかないのかな?
暫くは外出は避けた方が良い事と大人達は互いに話し、備蓄がある程度ある為、3日に1度は父が連絡を取る旨を話し、情勢を互いに話そうと旦那さんと原口さんと俺とで話した。
尚弥君の家を立ち去る前に、トイレを借り、隣の赤マークが居間から動かないのを確認した後、転移で隣のトイレに飛んだ。
トイレに飛んだ後、ヘルプ確認すると、完全ゾンビになると、光魔法でも聖水でもハイポーションでも戻りません、戻るのは噛まれてまだ人として意識がある場合との事で、黄色マークが当てはまるらしい。こちらの方は永遠にゾンビらしいので、片付けて部屋を使用させてもらいたい。
弓を取り出し、居間に向かい扉を開けた瞬間、念の為鑑定すると、
レベル1【ゾンビ】男性
噛まれたまま、誰も噛んでいない。
と出た。
「ウッアァーアーアー」
叫びながらこちらに向けて歩き出した住人ゾンビの頭に向け矢を放ち、眉間にあたった瞬間、死体は消えずに残ったので、外に出た際に他の死体があるとこを見つけたら一緒に置き去りにして行政にお任せしよう。とアイテムボックスにしまった。
どうやら男性の一人暮しらしく、ゾンビになってしまったのでここは人がいない空き家になったらしい。
非常時にはここが尚弥君の部屋に行く転移中継地点になるかもしれない。いやそうしよう。
危険な隣を片付けた後、トイレに戻り転移してから、原口さんと一緒に尚弥君の家を立ち去った。
今宵もありがとうございます。