臓
臓
私の体には爆弾が埋め込まれている。
支配者によっていつでも爆発させることができる爆弾。
そして一度爆発してしまえば即座に寄生相手を死に至らしめる恐ろしき爆弾。
だが私はこの爆弾が無ければ決して生きていくことはできない。
だからこそこのなんともタチの悪いものを未だに体に埋め込んでいるだ。
この爆弾というものが何故埋め込まれたのか私の記憶には無いが、どうも周りが言うには「貴方を生かすため」だったと言うことであるそうです。
しかしですが、私からしてみれば甚だ迷惑なものでありまして、他者がどうかは知りませぬが、私にとっては、生憎体に爆弾を埋め込まれても尚生きていたいと思える程の人生を歩んだ経験はないわけであります。
であるからして、なんとも迷惑に感じるものなのです。
しかしです、私とて何も人の心を持たぬものではないわけですから、周りに対し「何故私に対して爆弾を埋め込んだのですか!」などと息を巻いて文句を言うこともなかったわけでして、しかし今となっては何故あの時文句を言わなかったのかと非常に後悔しているばかりなのであります。
勿論、私とて文句を言う相手がいないことを確かに理解してはいるのですが、このなんとも消化することの出来ない思いを消化するためにはあの時に無責任にもただただ思いを込めて相手に対して罵声の一言でも言っていれば幾分か今の気持ちも和らぐと言うのに、などと最早叶うことのない想いに身を馳せつつ今も尚生きているわけです。
ですがこの爆弾がなければ今はもう生きていなかったと言うことでありますから、彼らの判断というものは決して否定出来るものでもなく、また彼らからしてみれば依頼通りに完璧に仕事をこなしただけでありますから、尚のこと一層文句をぶつける相手も居らず悶々としている訳でして、しかしながら、勿論、依頼した者に文句を言えばいいわけではあるのですが、生憎彼らにとっても私を助けたいという一心がために行ったということを理解できてしまうわけですから、これもまた文句を言うことが出来ず悶々としている訳なのです。
しかし、私と致しましても自ら行ったことなのにも関わらず他者に迷惑をかけた上で尚も自ら生きていると言うことについてはほとほと嫌な気持ちがある訳ですが、これまた依頼相手に迷惑をかけてはいけないと言う思いからもう一度行動に移す事ができていな勝った訳なのです。
しかし生憎私の心というものは紙で出来ているのかと疑うほどに脆いものでありますから、本日またもや決行に移そうと考えた次第です。
ですから、これは最後に皆様に宛てた分という訳でして、私のわがままな気持ちがふんだんに詰め込まれた実に駄文としか形容のしようもないものでありましたがこれにて終わりとさせていただければと思います。
では皆様、最後にまたご迷惑をお掛けすることになったとは思いますがこの行為に免じ赦していただけますと幸いです。