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皇族姫  作者: 春香秋灯
契約紋の皇族姫-契約紋-
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筆頭魔法使いの儀式

 準備がある、ということで、筆頭魔法使いアイシャールは忙しくなった。

「まさか、戦争準備?」

 恐る恐る、聞いてみる。ほら、キオンとアイシャールが戦争云々の話をした後からだから、気になった。

 アタシの問にお目付け役にもされた皇族エウトは呆れた顔を見せる。

「もともと、僕もアイシャールも忙しいんだ。お前が心配だから、こまめに顔を出していただけだ。僕も、準備が終わり次第、城を離れる」

「え、エウト、まさか、戦争!?」

「僕が外に出るのは、戦争ばかりじゃないぞ!! いや、そうだけど、戦後処理というか、最後の最後は僕が行かないといけないんだよ」

「他の皇族にやらせればいいじゃないか!!」

「これには、代わりはいない。僕だけしか出来ない。皇帝といえども、出来ないことだ」

「アタシでも出来ない?」

「近い!! 大人しく、城にいろ。僕がいない間は、別の奴がつくからな」

「イズレンかな。他の皇族、知らないし、怖いし」

「煩い!! くっつくな!!!」

 どさくさで抱きしめたりすると、エウトが怒った。

「リウと離れてから、ずっと、抱きしめてないんだもん。リウに会いたい」

 思ったよりも、リウと離れたことは、アタシにとって、耐えられないことだった。

 戦争はきっと、いい感じで終わると思っていた。だから、それほど気にしていなかったのだ。それなのに、現実は、こんなに長く、遠く、父とリウから離れることとなってしまった。

 今、戦後交渉がどうなっているのか、アタシは知らない。聞けば、教えてくれるだろう。だけど、アタシ、半分も理解出来ないと思うんだ。バカだから。

 アタシがちょっと弱音をはくと、エウトはいい子だから、大人しく抱きしめさせてくれる。今だに、夜の添い寝も続いている。優しいな、エウト。

「エウトがいなくなると、夜は寂しくなるな。エウト、はやく帰ってきてね」

「弟がいたら、僕は用なしだろう」

「どうだろう。リウはリウ、エウトはエウトだよ。そんな気がする」

 そういうと、エウトは耳まで真っ赤になる。可愛いな、エウト。

 少しだけ抱きしめれば、アタシは落ち着く。皇帝の私室に来客はない。あっても、絶対に開けるな、とエウトにも、イズレンにも、皇帝イーシャにも、厳しく言われている。

 何せ、一度も二度も、アタシはノックで開けちゃったんだよね。よくわからない皇族が、色々と言ってきたのだけど、早口で、言っている内容も高等すぎて、半分も理解できなかったけど。もっとゆっくり話してほしいな。

 それからは、皇族も来なくなった。

 キオンとの結婚云々も綺麗になくなった。その報告をする前に、アイシャールがイーシャに話していた。

「ナーシャ、相変わらずだったんだな」

 別のほうで感動していた。

「母さんって、そんな怖いこという人なの?」

 想像つかない。まず、アタシの前では、そんな怖いことは言わない。

「ナーシャは、物凄く頭がいい子だった。ここだけの話、ナーシャは、皇族の儀式を通らなかったせいで捨てられた、という話になっているが、実際はそうではない。両親は、ナーシャを殺すように命じてたんだ」

「母さんの両親が処刑されても仕方ないよね」

 心底、そう思う。事実はとんでもない。血を分けた親子だってのに、本当に酷い。会えないほうが良かったな。

 お酒が入っているから、イーシャは饒舌だ。ここだけの話をぽろっと話してしまう。

 側で聞いていたイズレンが驚いて止めようとする。

「父上、それをいうのは」

「聞きたい!! イーシャ、それで、母さんはどうして殺されなかったの?」

 アタシはイズレンを押しのけて、イーシャの隣りに座った。アタシを見て、母さんを懐かしんでいるのだろう。イーシャは少し、泣きそうな顔をする。

「ナーシャは、こうなることがわかっていたのだろう。命じられた奴らに持っていた宝石を渡して、辺境近くに逃がしてもらったんだよ」

「どうして、そんな遠くに逃がしてもらったの? ほら、他にもいっぱい、小国があったじゃない」

「ナーシャの考えは、今もわからない。ナーシャは、天才だ。三歳にして、古書を読破するほどの頭脳を持っていた。皇族は皆、ナーシャが女帝となるだろう、と言ったほどだ。五歳で受ける皇族の儀式の頃には、恥ずかしいけど、私よりも頭が良かった」

「嘘っ!?」

「本当だ。エウトよりも頭が良かったから、恐れた者は多かった。もしかすると、殺されないために、ナーシャは辺境を選んだのかもしれない。辺境は、帝国から遠すぎる。迂闊に手が出せない地だからな」

「………母さん、保護された時はボロボロで、記憶もなかったんだって。大変な道のりを歩いたんだろう、と父さんから聞いた。五歳といっても、子どもだよ。バカバカしい」

 心底、そう思う。妖精憑きの国で生きた母さんは、普通の人だ。妖精憑きではないし、ただの人としても無力だ。父さんがいなかったら、生きていられなかっただろう。

「皆、頭が良いけど、わかっていない。子どもはやっぱり子どもなんだから」

 記憶までなくして生き延びた母。その苦痛は、アタシも想像出来ない。母だけだ。だけど、母は記憶のないことだから、とあっけらかんとしていた。

「リーシャに、お願いがあるんだけど、引き受けてくれるかな?」

「アタシに? いいよ!!」

 イーシャからのお願いだから、聞く前から了承してしまう。

 何故か、エウトも、イズレンも、苦々しい顔をしている。イーシャはいつものように穏やかに笑っている。うーん、イーシャの考えが読めない。

 イーシャはアタシに優しい。それは、アタシに優しい部分しか見せていないのだ。イーシャの皇帝としての姿は、実は、初めて会った、あの皇帝の儀式の場でしか見てない。その時でも、怖いと感じなかったけど。

「明日、あの捕虜の妖精憑きを皇族の儀式を行った所まで連れて来てほしいんだ」

「え、でも、あまり、道、覚えてなくて」

 今だに、道案内はエウトである。エウトをちらっと見てしまう。

「エウトも一緒だ。妖精憑きの捕虜は、残念ながら、そのまま野放しにするわけにはいかない。だから、それなりの拘束をしないといけないんだ」

「そのためだけに、あんなトコに?」

 たくさんの人がいたあの場は、何か大きな事をするための場所だ。広くて、大きくて、皇帝は最上段に座るように作られている。

「通例だよ、通例。彼に立派な拘束をするためには、あの場で行うしかない。妖精憑きは、とても難しい存在だ。例え、大した力がないといえども、妖精憑きは妖精憑きだ」

「わ、わかった。アタシで良ければ、エウト、頑張って、アタシも道、覚えるね」

「覚えなくていい。僕がずっと案内してやる」

「もう、子どものくせに、大人みたいなこといわないの」

 耳まで真っ赤にしていうエウト。リウと同じ年頃なのに、最近、大人みたいなこというな。アタシ、もしかすると、年下に弱いかも。気を付けよう。





 アイシャールの持ち物だという屋敷は相変わらず大きくて豪華だ。

「アイシャールって、城の敷地内にこんな豪邸を持つなんて、やっぱり、イーシャに愛されてるから?」

「バカ、こんな家貰って喜ぶのは、頭空っぽな女だけだ。これは、代々の筆頭魔法使いが受け継いでいる屋敷の形をした魔法具だ」

「え、魔法、具?」

「妖精憑きの小国にいたくせに、魔道具とか魔法具とか知らないんだな!?」

「ごめんなさい!!」

 叱られた。エウトはものすごく呆れている。勉強嫌い以前に、妖精憑きの小国では、こういう道具は教えに反する、みたいな扱いだったな。

 でも、帝国は魔道具や魔法具で便利に快適に暮らせるようになっている。あるがままの妖精憑きの小国とは真逆だ。この生活に馴れてしまったので、アタシはもう、あの不便な生活には戻れないな。

 深いため息をつきつつ、エウトはアタシを先に行かせる。

「ほら、開けろ」

「これくらい、エウトでも開けられるでしょう」

 まずは玄関からだ。そこからずっと、アタシはエウトに命じられるままにドアを開けさせられる。もう、エウトだって開けられるでしょう!!

 そして、いつもの地下だ。階段は真っ暗だから怖いけど、足を踏み入れると、勝手に蝋燭に火が灯ったりするの。そこが不思議。

 地下に降り立てば、もう、そこからはわかる。毎日のように行っていたから、キオンの牢はすぐ見つけられる。

「キオン、元気?」

「元気じゃない!! 俺は、お前のことが」

「もう、話は後にして。皇帝が呼んでるから、連れに来たの。捕虜ではなくなるんだって。良かったね。これで、国に帰れるよ」

「話聞けよ!!」

 無視しよう。アタシは鉄格子を開けると、キオンを引っ張りだす。

「服、綺麗なの貰ったんだ。体洗ってないけど、大丈夫」

「問題ない。ほら」

 ちょっと近づいて、臭い確認しようとして、キオンはアタシを抱きしめてくれる。うん、臭わないね。

「さすが妖精憑き。お風呂入らなくてもいいって、便利だね」

 アタシはすぐにキオンから離れた。

 何故か、エウトがキオンを見て嘲笑っている。対するキオンはエウトを睨んでいる。アタシのいない所で色々と話し合っているのだけど、仲悪いな。

「エウト、ほら、案内してよ。あの皇族の儀式? をやった場所、どこか知らない」

「あそこは、正確には舞踏の間なんだけどな。人をたくさん集める時に使うんだよ」

「アタシが皇族の儀式やった時に使ったけど」

「あそこなら、変な横やりいれられることがないからな。皇族の儀式、場合によっては、人が死ぬことがあるからな」

「こわっ!?」

 身震いしてしまう。後で聞いたのだけど、観衆面前で行ったのは、同じ皇族によって、アタシが傷つけられないためだという。皇族を傷つけるのは皇族だけだ。そういうことが起こるといけないので、イーシャはわざわざ、人目が多く、アタシの周りに人が近づいても一目でわかる、あの場所で行ったという。

 アタシが真っ青になっているから、キオンが心配そうに頭をなでてくれる。

「俺が守ってやるから、心配するな」

「もう、母さんの言いつけはいいから。キオンはキオンで、心から好きな人と結婚するといいよ。キオン、かっこいいんだから。国でも、キオンのこといいな、て女の子いっぱいいたよ」

「じゃあ」

「妖精憑き同士じゃないと妖精憑き生まれないんだって。ほら、血筋はやっぱり大事なんだよ。今回、本当にそう思った」

 アイシャールと話して、妖精憑きの一族は重要だと気づく。だって、絶対に妖精憑きが生まれるんだもの。

「皇族も血筋だって。どこが大事かわからないけど、いないと困るというのだから、きちんとしないといけないね。アタシ、もう他人事じゃないんだよね」

「………」

 最近、考えていることだ。せっかくなので、キオンに話してみた。キオンは俯くばかりだ。無言になってしまった。

「ごめんね、頭悪いのに、真面目な話して」

「お前は、頭悪くなんかない。ただ、そういう環境にいただけだ。国では、あるがままに生きていればいいからな。そんな、血筋とか、考える必要なんてなかった。なあ、そういうのを抜きにして聞きたいんだが、本当は、俺のこと、どう思ってた?」

「いきなり、それは難しいよ。そこまで器用じゃない。それ以前に、結婚の話はなしになったでしょ」

「しっかりと考えてほしい」

 手を握ってきていうキオン。もう、その話は終わったというのに!?

 ところが、そこにエウトの横やりだ。エウトはキオンの手を思いっきり叩いた。ただそれだけで、アタシの手からキオンの手が離れた。

「痛いな!? このクソガキ、喧嘩売るなら、買うぞ!!」

「着きました」

「くそっ」

 喧嘩になる前で終了だ。エウトはまた、アタシにあの扉を開けるように目だけで命令してくる。これ、ものすごく重そうなんだけど!!

 仕方ないので、アタシはドアを力いっぱい開けてみた。

「きゃっ!?」

 全然重くない!! しかも、簡単に開いたから、アタシは勢いのままに中に入って、倒れた。

 中はとんでもない人がいた。見渡す限り、魔法使いだ。アイシャールとは色違いの落ち着いた感じの服を皆、着ているから、一目でわかる。

 アタシが皇族の儀式の時にもいたんだ。だけど、遠くだったのもあるけど、ここまで多くなかった。

 そして、壇上を見れば、皇帝イーシャの側に、筆頭魔法使いアイシャールが嫣然と微笑んで立っている。ちょっと目を向けるだけで、アタシが開けた扉はバタンと音をたてて閉じられる。

 後ろを振り返れば、キオンは呆然としている。エウトは、倒れているアタシを助け起こすように引っ張った。

「お前は上にあがるんだ」

「でも、キオンが」

「邪魔になる」

 引っ張られるままに、階段を上らされる。それとは入れ替わりに、イーシャとアイシャールが降りる。アタシは、適当な椅子に座らされると、キオンを見下ろすこととなる。

「筆頭魔法使いの儀式を始める。おさえこめ」

 イーシャの命令に、騎士二人がキオンの左右をおさえこむ。キオン、妖精憑きとはいえ、鍛えているから、並の人は勝てない。だけど、この場に連れて来られるような騎士は、並の人ではない。キオンなんて子どものように、簡単に床におさえこんでしまう。

「離せっ!?」

 キオンは大人しくしていない。妖精憑きの力を使う。騎士は簡単に吹っ飛ばしてしまうだろう。

 だけど、何も起こらない。キオンは真っ青になる。そんなキオンをアイシャールは見下ろす。

「お前程度の妖精憑きが随分と生意気な口をききましたね。帝国では、その程度の妖精憑きは、下っ端魔法使いですよ」

「は、離せぇえええー-----!!!」

 力いっぱい抵抗して、叫んで、としてもキオンの拘束は緩まない。

 アイシャール、キオンの態度にか、それとも、妖精憑きの小国には、それなりに怒りを持っているのだろう。キオンの頭を踏みつける。

「これが王族ですって」

「我々と同じだ。血が薄まったのだろう」

「皇族と、妖精憑きの一族は違います。皇族は神が与えた試練です。妖精憑きの一族は、驕りですよ」

「我々も、心がけをしっかりしないといけないな。契約紋の焼き鏝を持ってこい!!」

 イーシャが大きな声で命じると、とんでもない大きなの焼き鏝が運ばれる。それは、まだ、何もされていないものだ。それにアイシャールが触れると、一瞬で熱く熱せられる。

 騎士はキオンの背中を晒すように力づくで破いた。焼き鏝の大きさが、ちょうど、キオンの背中にぴったりと当てはまる大きさだ。

「ちょうど、試験が必要でした。この契約紋は、最終段階です。良かったですね。これであなたは、リーシャ様に生涯、逆らえません」

「やめろぉおおおー----!!!」

 キオンがどれほど暴れて、叫んでも、びくともしない。焼き鏝をイーシャが持った。

「私の可愛い姪と結婚しようとは、随分と身の程を知らない男だ」

 容赦なく、イーシャはキオンの背中に熱い焼き鏝を押し当てた。

「やめてぇええー--!!」

 終わった時に、アタシは階段を駆けおりていた。だって、脅しだと思ったの。怖い感じにして、実際にはやらないと、なんとなく、そう思い込んでいた。

 でも、キオンの背中に焼き鏝はあてられた。しかも、それをやったのは皇帝イーシャだ。イーシャはアタシの前では優しいから、やるとは思っていなかった。

 アタシが遅れてやってくることは、イーシャにとっては計算済みなんだろう。危ない焼き鏝はすぐに下げられた。アタシは背中の火傷で苦しむキオンに駆け寄る。

「キオン、キオン」

「ぐあ、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!!」

 アタシが呼びかけても、痛いしか言えない。それしかないよね。キオンの中は苦痛に支配されていた。暴れるといけないからか、騎士がまだ、キオンを拘束したままだ。

 意味がないとわかっている。アタシはキオンの手を握る。

「お願い、キオンの背中を冷やして!!」

 アイシャールに縋った。火傷なんだから、冷やすしかない。

 アイシャールは動かない。数人の魔法使いが来て、キオンの背中に向かって、魔法で作った水をかけるだけだ。

「魔法なら、治せるよね」

 今更ながら、妖精憑きの力を思い出す。魔法を使えば、簡単に火傷なんて治せる。

「それは出来ません。この契約紋は、皇族との契約です。それなりの格の妖精憑きであれば可能でしょう」

「アイシャールなら」

「わたくしはしません。わたくしが手を出せば、契約紋が消えてしまいます。それよりも、手を握って、リーシャ様が元気づけてください」

「アタシは妖精憑きじゃない!?」

「あなたは、帝国が求めていた真の皇族です!!」

「意味、わからない」

 面倒なことになると、アタシはそう言って逃げてしまう。だって、意味がわからないことだ。

 アイシャールは、キオンが苦痛で苦しんでいるというのに、目をキラキラを輝かせて、アタシを見ている。

「わたくしが支配する屋敷に入れました。ここの扉だって、あなたは開けられました」

「鍵がかかっていなかったから、当然です」

「鍵がかかっていましたよ。ですが、真の皇族の前では、全て、意味がありません。いいですか、真の皇族は、帝国の真の主なのですよ!! 魔法具も、魔道具も、真の皇族は思いのままです。妖精憑きなんて必要ありません!!!」

「それは、母さんだって」

「あなたに受け継がれたのですよ」

 急に怖くなった。アタシはキオンの手を離してしまう。ところが、キオンは離れたアタシの手を強く握った。

「キオン、離して」

「こうしていると、傷みが楽になる。ずっと、こうしていたい」

 そう言われると、離せない。痛いだろうに、穏やかな笑顔を浮かべるキオン。こんな顔をされたら、離せない。

「良かったですね、リーシャ様。あなたの魔法使いが出来ましたよ」

「どういうこと!? 何も聞いてない。イーシャ、アタシに隠れて、何をやっていたの!!」

 アタシはとうとう、我慢ならなかった。知らないところで、色々と画策されていたのだ。

 イーシャはいつもの穏やかな笑顔を向けてくれる。でも、その裏はとんでもないことを企んでいるのよ。

「私は、本当は、恐ろしい皇帝なんだ。帝国のために、私を捨て去り、禁忌にさえ手を出した」

「でも、母さんを探すために権力を使ったって言ってたじゃない!!」

「その強い権力を手にするために、色々とやったんだ。その妖精憑きを筆頭魔法使いの屋敷に連れて行け。リーシャ、少し話をしよう。それから、あの妖精憑きの元に行けばいい」

「………わかった」

 キオンがアタシを縋るように見てきた。だけど、アタシはどうしても、知りたかった。

 アタシ自身のことも含めて、色々と、知らなければいけない。

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