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皇族姫  作者: 春香秋灯
嫌われ者の皇族姫-運命の出会い-
294/353

皇族の儀式

 皇族の儀式は、十年に一度、行われる。この儀式を通過しなければ、皇族として認められないのだ。

 わたくしの兄たち姉たちは、十年前に、この皇族の儀式を通過し、立派な皇族として認められた。だから、堂々と城の奥深くで、皇族の役割をまっとうしていた。

 皇族の役割は、血筋を残すことである。わたくしの兄たち姉たちは、父の庇護下から放り出されても、家庭を持ち、兄たち姉たちは仲良く親戚付き合いをしていた。それは、母ネフティもだ。たくさんの孫を見ては、ネフティは喜んだ。

「子どもたちは、立派に皇族の役割を担ってくれて、鼻が高いわ」

「見てください。母上や父上に似ています」

「夫側に似てしまいましたが、我が子です」

 わざわざ、皇族の儀式となる会場で、そんな話をするわたくしの兄たち姉たち。

 そして、一人立たされているわたくしに誰も声をかけない。皇族の儀式なので、皇族の儀式を受けていない十歳以上の者たちは、家族から離され、一カ所に集められていた。不正があるといけないからだ。

 だけど、その中でも、わたくしだけは孤立している。わたくしは、使用人の子かもしれない、という疑いは残ったままなのもある。

「あいつが皇族でなかったら、わかっているな」

「ああ」

「俺たちは、戦争に出る必要なんてない」

 過去、わたくしを虐めて、皇帝シオンの前で、大口を叩いた者たちは、もうすぐ始まるだろう戦争に出ることを強要されていた。すでに決まっているという。

 だけど、わたくしが皇族でなかった場合は、過去の過ちをなかったことにしてほしい、と訴えたのだ。話を盗み聞きしていると、その要求は通っているように思えた。

「あいつが皇族でなかったら、やっと、我々の不当な扱いはなくなる」

 兄たち姉たちもまた、わたくしを恨んでいた。わたくしの予算を横領していたことで、父の庇護を失った。それどころか、父の代わりの仕事を任されたが、役立たずだと皇帝シオンに言い渡され、血筋だけの皇族、と影で呼ばれることとなった。それもこれも、わたくしのせい、と兄たち姉たちは思っていた。

 わたくしと関わると大変なことになる、と年頃の近い皇族たちは避けた。そのため、わたくしは婚約者一人いなかったのだが、皇帝シオンが、皇帝としての権力で、無理矢理、わたくしに婚約者をあてがった。

 その当の婚約者メフノフは、わたくしとは距離をとっていた。一応、側には来たのだ。

「僕にも、立場というか、付き合いがある。悪いが、友人と過ごして、少しでも、皇族としての立場を固めたい。それもこれも、シーアのためだ」

「わかりました」

 メフノフは、わたくしの婚約者に強制的にされた、可哀想な人だ。だから、わたくしは笑顔で頷いた。

「シーア、大丈夫?」

 孤立しているわたくしのことを心配する、年頃の近い皇族は、ただ一人だ。ティッシーは、わざわざ、わたくしの側にやってきて、声をかけてきた。

「ティッシー、こっちに来てよ」

「そうよ、一緒にいましょう」

「シーアと一緒なら、行くわ」

「それは、ねえ」

「う、うん」

 ティッシーは友達が多い。なのに、わたくしをどうにか、皇族の中に入れようと働きかけてくれたが、わたくしが一緒ならば、と皆、離れて行った。

「ティッシー、わたくしは一人でいいから」

「でも、一人は寂しいわ」

「この儀式を通過出来なかったら、一緒にいられないから」

「大丈夫よ!!」

「………」

 わたくしは、最初から、諦めていた。元気づけようとティッシーは言ってくれるけど、わたくしは、この儀式を通過出来ないような気がした。

 わたくしは、きちんと、母や兄たち姉たちがいう通り、息を潜めて生きていた。目立たないように、無駄口をたたかない、だけど、もしかしたら皇族失格になるかもしれないから、という理由で、貴族の学校にも通った。お陰で、わたくしは遊ぶ暇もなかった。

 誰もが、わたくしを皇族失格になってほしい、と願っている。

 わたくしも、皇族失格となって、本当は使用人の子なんだ、と言われたほうが楽になる。父も、皇帝シオンも、わたくしが皇族となると思っている。

「これより、皇族の儀式を始める。十歳以上で、皇族の儀式を受けていない者たちは、筆頭魔法使いナインの元に集まるように」

 とうとう、皇族の儀式が始まる。皆、筆頭魔法使いナインの前に集まった。

「皇族の儀式は、皇族の教育を受けていれば、当然、知っていることだ。ただ、俺様を跪かせればいい」

 筆頭魔法使いナインは、軽くいう。

 だけど、この皇族の儀式、受けるわたくしたちは緊張する。まだ、十歳未満であった頃、皇族の儀式を通過出来ず、皇族失格者となった者たちの姿を見たことがあるからだ。

 両親が皇族であっても、皇族となるわけではない。筆頭魔法使いを跪かせられなかったら、皇族ではない、と言われ、城から捨てられるのだ。

 皇族とは、筆頭魔法使いの支配者の一族である。筆頭魔法使いは、儀式により、背中に、皇族に絶対服従の契約紋が焼き鏝で押される。それをされると、筆頭魔法使いは、皇族に逆らえなくなるのだ。

 目の前にいる帝国最強の妖精憑きナインの背中には、痛々しい、契約紋の火傷の痕があるという。この契約紋によって、皇族の無理難題の命令も、叶えられるのならば、従わなければならないという。そして、皇族である限り、筆頭魔法使いの妖精が守護につく。皇族は、筆頭魔法使いの妖精によって、病気にならず、毒も効かない、攻撃だって防がれるのだ。

 実は、こんな仰々しい儀式なんかしなくても、筆頭魔法使いは、一目で、皇族かそうでないかはわかるという。十歳以上になれば、皇族の血が発現するのだ。皇族の血が発現すれば、筆頭魔法使いの妖精が契約紋により、皇族を守護する。

 人の目には見えないが、この場に集まるわたくしたち、十歳以上の皇族未満には、筆頭魔法使いの妖精が守護についているのが、ナインの目にははっきりと見えるという。

 だけど、きちんと筆頭魔法使いを従わせていると証明するために、儀式で、筆頭魔法使いに跪くように命じ、実際に跪かせるのだ。

 誰が先に行くか、なんて騒がしくなった。そんな中、わたくしはただ、立っていたというのに、誰かがわたくしの背中をどんと押して、先頭に立たせた。

「シーアが最初か。いい心がけだ」

 悪戯っ子のように笑うナイン。ナインもまた、わたくしに対して優しい。皇族未満でも、わたくしには笑顔で話しかけてくれた。

「さあ、命じて」

「ナイン、ひ、跪きなさい」

 最後のほうは、消え入りそうな声となった。しーんと静かになったその場で、声を張り上げるようなことは、恥ずかしくて出来なかった。

 ナインは、すっとわたくしの前で跪いた。

「嘘よ!!!」

 それを見て、母ネフティは大きな声で叫んで、わたくしに向かって歩いてきた。

「不正をしたのね。ナイン、頼まれたのでしょう」

「俺様は、シオン以外に跪きたくないというのに? いくら、シーアといえども、俺様は跪きたくない」

「嘘よ!!」

「お前さ、もっとうまく立ち回れよ。お前のせいで、俺様は、シオンに殴られたんだ」

「何の話よ」

「シーアは、シオンと貴族の娘の間に生まれた子だ」

「っ!?」

 儀式の場は、騒然となった。

 わたくしは、驚いて、声も出ない。使用人の子だと思っていたのに、そんな真実が隠されているなんて。

 筆頭魔法使いナインは、わたくしがどこの誰か知っていた。しかも、母ネフティも知っていた。

「取り換えられた、と言ってるが、当時のお前は、妊娠すらしてない。ある日、突然、赤ん坊が誕生した、と聞いた時は、驚いた。しかも、シオンの子だ。何を企んでいるか知らなかったが、俺様は見逃してやったというのに、お前は、バカなことして、シオンの目に入った。本当に、バカだな」

「どういうことだ!!」

 やっと、動き出した父は、筆頭魔法使いナインにつかみかかった。

「シーアは、俺の子じゃない? だったら、ネフティは浮気したのか!!」

「シオンが、ネフティなんか相手にするわけがない。シオンが手をつけたのは、城の文官だ。シーアが城にやってきてから、血筋を遡ってみれば、シオンが手をつけた女は産褥で親子ともども死んだことにされていた。ネフティが、人を使って、シーアを誘拐したんだ」

「ナインは、それを知っていて、黙っていたのか!!」

「聞かれなかったしな」

「兄上は知っていて」

「私が知ったのは、シーアを養女にと話を出した時だ」

 皇帝シオンは知っていた。その事実に、父はシオンにつかみかかった。

「知っていて、俺に兄上の子を育てさせたのか!?」

「だから、養女に、と何度も打診した。こんな真実、表沙汰になったって、誰も幸せにならない。お前は、ネフティのこと愛しているだろう」

「そうだ。ネフティが兄上のことを諦めたというから、結婚した」

 噂では聞いていた。母ネフティは、皇帝シオンに片思いしていたという。ネフティは、皇帝の妻になるために、あらゆる手段を高じたのだ。

「ネフティのせいで、私は独り身を貫いた。ネフティは皇妃になんて出来ない。私は、ネフティのことが大嫌いだ」

 しかし、皇帝シオンは、ネフティを嫌った。人前でも、ネフティを蔑み、遠ざけ、としたという。だから、シオンは皇族の役割である子を持てなかった。皇帝が皇妃を迎えないなんて、あってはならないことだが、ネフティの執念を恐れたのだ。

 その当時、皇帝に最も相応しいとされたのは、シオンのみ。当時の筆頭魔法使いは、どうしてもシオンを皇帝にするしかなく、シオンが未婚であれば、という条件を飲むしかなかったという。

「どうして、あんたは皇族なのよ!!」

 ネフティの怒りは、わたくしに向かった。

「わたくしだって、皇族失格になると思っていました」

「お前が皇族失格となれば、堂々と殺せるというのに!!」

 ネフティは、ただ、わたくしが皇帝シオンの子というだけで、殺意を向けてきた。今にもつかみかからんとばかりに手を伸ばしてきたが、それを皇帝シオンが間に入って止めた。

「まさか、シーアの母親を殺すなんて。彼女は、お前とは違って、身の程をわきまえている。父親不明の子として出産に挑んでいた。なのに、私は捨てられた、と嘆いていた」

「わたくしは、シオンのことを愛しているというのに。それもこれも、お前が生まれたばかりに!! シオンにも、誰にも似ていないというのに、皇族だなんて!!!」

「私の子であるばかりに、不幸になった。すまない、シーア」

「あ、その、ごめんなさい、皇族で」

 心底、そう思った。わたくしは、皇族でなければ、全て、丸くおさまっていただろう。

「使用人の子なのは、本当でしたね」

 城の文官だって、使用人のようなものだ。わたくしは笑った。すっきりした。

「これまで、育てていただき、ありがとうございました。もう、お父様とは呼べませんね。お母様とは、二度と呼びません。お兄様、お姉様とも呼びません。失礼しました」

 わたくしは膝をついて、頭を下げた。貴族の学校に通って、皇族に対する礼儀を学んだ。いつか使うだろう、と何度も練習した。

「シーア、立ちなさい。いくら片親は皇族でなくても、お前は皇族だ。今、証明された」

 皇帝シオンがわたくしの腕を引っ張って立たせようとした。だけど、わたくしは笑顔で、首を横に振って、顔をあげるだけで、膝をついたままだ。

「母は貴族といえども、文官となったのですから、きっと、地位が低いのでしょう。皇族の儀式を通過したとしても、順位は低いです」

 片親が貴族だ。皇族としての血の濃さはギリギリなのだろう。皇族の儀式を通過しても、わたくしの順位は最下位なのは、少し考えればわかることだ。

「確かにそうだな。俺様を跪かせられるだけだ」

「ナイン!!」

「俺様だって驚いてる。まさか、皇族だなんてな」

 責めるシオンに、ナインは不貞腐れた顔で答えた。ナインだって、わたくしが皇族失格すると思っていたのだ。

「ぷっ、あはははははは!!!」

 わたくしは大きな声で笑いだした。おかしくて仕方がない。

「シーア、ど、どうした?」

 父だと思っていた人は、まだ、わたくしのことを娘と思って、心配した。バカみたいに大笑いするわたくしを抱きしめてくれる。

「だって、おかしい!! 誰も、わたくしが皇族と証明されて、喜んでいない!!!」

 笑いながら、わたくしは泣いた。







 皇族の儀式が終われば、わたくしは、さっさと家族の元を離れるために、荷物を持って、部屋を出た。

「どこに行くんだ!?」

 慌てて、父だった人がわたくしを止めにやってきた。

「皇帝陛下に、部屋をいただいてきます。ほら、成人前ですが、もう、立派な皇族です。わたくしは、家族ではありませんから」

「皇族ではあるんだ。もう少し、俺と過ごそう」

「本当の子である方々に悪いです」

 わたくしのせいで、父だった人は、実の子どもたちを皇族の儀式を通過したから、と追い出したのだ。

「それでも、シーアは姪だ」

「私が引き受けよう」

 そこに、息を乱した皇帝シオンが割り込んできた。わたくしを引き寄せるように抱きしめた。

「これからは、私が親として、面倒をみよう」

「もう、立派な皇族です。一人で大丈夫です」

「城を出ていくつもりだったんだろう」

「………」

 まとめられた荷物を見て、皇帝シオンは言い当ててくれた。だって、皇族失格になると思っていたから。

 わたくしは、皇族失格となってもいいように、手荷物を準備していた。でも、この準備、無意味だったことが、後でわかった。

 皇族失格となった場合、その場で、追放されるのだ。何一つ、私物だった物は持ち出せない。

 そういう現状を目で見て、わたくしは、それでも、家族だった人たちから離れる準備になった、と考えを改めた。

「わたくし、皇族としては順位は最下位ですが、お仕事、頑張ります。皇族としての一番の役割は、皇帝と同じく、こなせませんけど」

 家庭を持つ気はなかった。わたくしと皇族の間に生まれる子は、皇族ではない可能性が高い。そんな可哀想なこと、夫にも、生まれるかもしれない子にも、背負わせたくない。

 だから、さっさと独り立ちして、違う形で、役立ちたかった。

「わかった」

 わたくしの考えを読み取ってくれたのだろう。皇帝シオンは笑顔で頷いてくれた。

「では、これからは、私の皇妃の代理として、皇妃の仕事をしてもらおう」

「………は?」

「これまでは、筆頭魔法使いがこなしていたが、本来は、私の妻か子が、その役割を担うこととなっている。シーアは私の子だ。皇妃として、私の側にいなさい」

「そ、そうですか。わかりました。では、新しい部屋をお願いします」

 とんでもない仕事を任されたが、わたくしはどうにか笑顔で頷いた。わたくしは、皇帝シオンの子だと発覚してしまったのだ。シオンがいうことは正しい。

「わかった。こちらだ」

「あ、兄上、待ってください!! シーアとは、まだ、話が」

「落ち着いてからにしなさい」

 笑顔だけど、口答えを許さない皇帝シオンの声に、父だった人は諦めるしかなかった。

 わたくしは、皇帝シオンの手に引っ張られるままに、ついて行った。

「あの、手を、離してほしいのですが」

「せっかく、親子として表立てたんだから、いいだろう」

「そ、そうですね」

 そう言われてしまえば、わたくしは従うしかない。わたくしは今日、真実を知ったばかりだが、皇帝シオンは、随分と前から、わたくしが我が子だと知っていたようなことを言っていた。

 皇帝シオンは、何事かあると、わたくしのことを気にかけてくれた。わたくしは、皇帝の姪だから、と笑って受け止めていたが、そうではなかった。

「そうそう、メフノフとの婚約はこのままにする」

「そんな、メフノフは、皇族順位が十位以内ですよ。わたくしのように、順位最下位の者と婚姻するのは、勿体ないです!!」

「メフノフから続けたいと言ってきた」

「そ、そんな」

「大事な娘だ。いい虫よけになってもらう」

「………」

 皇帝シオンは、どうやら、わたくしを結婚させないつもりだ。

 わたくしが正式な皇族と認められた上、皇帝シオンの子だと発覚した今、わたくしの価値はあがったのだろう。皇帝シオンは誰が見ても、わたくしのことを可愛がっている。

 悲しいかな、家族だと思っていた人たちから、誕生のお祝いすらされなかったのに、皇帝シオンは、何事かあると、わたくしに贈り物をしてくれた。父だった人でさえ、その甲斐性がなかったのだ。

 だけど、わたくしと皇帝シオンの距離はそのままだ。もう、わたくしは立派な皇族なのだから、一人暮らしである。

 そう思って、皇帝シオンの後を引っ張られるままに付いていった。

「今日からは、ここで一緒に暮らそう」

「いけません!!」

 なのに、連れて行かれたのは、皇帝の私室である。わたくしは、普段では出さないくらい大きい声で叫んだ。

「わたくしはもう、皇族です」

「シーア、座って」

「部屋をください」

「今のままでは、シーアの身が危ない」

「………わかっています」

 わたくしは、皇族となった。だからといって、安全なわけではない。

 皇族を傷つけられるのは、同じ皇族だ。帝国は弱肉強食、強者こそ正義だ。殺されたって、弱者は敗者だから仕方がない、と言われる。

「わたくしの部屋をください。そこだけは安全になります」

「使用人は裏切る。知っているだろう」

「使用人を入れません。自分のことは自分で行います。だから」

「いつまでも、私が守ってやれるわけではない。だから、色々と教えよう。全て、身に着けてから、独り立ちすればいい」

「………」

 ずるい言い方だ。そう言われてしまっては、わたくしは拒否出来ない。

 実際、不安だった。周囲は敵ばかりだ。皇族失格となって城から放り出されても、きっと、すぐ、殺されただろう。それほど、わたくしは恨まれている。

 わたくしは何もやっていない。わたくしは、存在するだけで悪いのだ。

 結局、わたくしは、皇帝シオンに導かれるままに、椅子に座った。

「今日からは、私のことを父上と呼ぶように、お父様は、別にいるから」

「もう、お父様と呼びません」

「じゃあ、叔父さんと呼びなさい。兄姉だった者たちは、呼び捨てだ」

「そんな、簡単には呼べません」

「立派な皇族といったって、まだ成人前だ。ゆっくりと馴れなさい」

「………はい」

 わたくしは頷くしかなかった。

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