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皇族姫  作者: 春香秋灯
王国の皇族姫-生贄の皇族-
172/353

奇跡

 一睡も出来ませんでした。ほら、妖精憑きは一か月不眠不休でも平気です。顔にすら出ませんよ。だから、問題なく聖域の慰問に行けます。

「どうやって移動するのですか?」

 そこです。王国では道具を使いましたが、権威を示すために、途中、馬車とか使いましたよ。

 ところが、帝国では、なんか、人が少ない。というか、最低限!?

「聖域の慰問って、基本、秘密裡だから」

「酷い酷い酷いっ!! 絶対に私なんかどうだっていいから、こういう扱いなんですよ。こういうのは、餌をあげた後は何もしない最低な恋人、というのですよ」

「これが通例だから」

 皇族出身の魔法使いロンガールが一生懸命、私を宥めてくれます。

 ですが、この面子はないわ。

 慰問に同行するのは、魔法使いロンガール、皇族ライアン、以上、終わり。

「今、帝国だって大変なんだ!! お前が出してくれた膿をどうにかするために、使える奴ら全てで対応しているんだぞ!?」

「今更でしょう。私が来る前に、さっさと膿をどうにかする方法を考え出せばよかったのですよ。だいたい、ライアンが皇位簒奪出来るほどの実力を持っていれば、問題は解決しました。父は、ものすごく、あなたたち三人には期待していたのですよ」

「それは、確かに、そう、なんだ、が」

「父に頼り過ぎた結果です。皇族たちも、魔法使いたちも、父がどうにかしてくれる、なんて考えていたのでしょう。そこには、帝国の弱点が出ました。父は、その弱点をどうにかするのに失敗しました」

「そんなことはない。我々が、考えなしなだけだ」

「これまでは、皇帝と筆頭魔法使いがどうにか問題解決していました。それだけ、お互いに優秀であるように、教育しあったからです。ですが、その下部が出来ていません。上が腐った時の対処は普通は筆頭魔法使いがするものです。その筆頭魔法使いがいなくなった時、そこを父はどうにかしようとしていました。残念ながら、それは失敗です。最強の筆頭魔法使いは、絶対に必要なのですよ。そう、神と妖精、聖域の教えは伝えています。今は、試練の時です」

 私はここで話を止めた。これ以上、政治や宗教の話なんてしたくない。今日で私は死ぬのだから。

「もういいです。帝国なんて、私が死んだ後、滅茶苦茶になればいいんです。ほら、まずは、王都の聖域に行きましょう。今日中に、帝国にある十個の聖域を慰問しなければなりません」

 王国は五個だが、帝国は十個と二倍だ。聖域同士は繋がっているので、それなりの力がある妖精憑きであれば、移動は簡単だ。だけど、その移動に私は力を使えない。少しでも、穢れを体内に抑え込むために、力を使うのだ。余分だってない。

 覚悟して、私はライアンの後をついて行く。表からではない。隠し通路という、本当に最低最悪な移動方法だ。私が外に出たことすら、誰も知らないのだ。

 泣きそうだ。最低限の人数で、隠されるように移動して、なのに、私は死ぬのが当然だと皆、思っている。

 黙ってついて行けば、とんでもない所だった。聖域が、どす黒くなっているのだ。それを見せられ、私はライアンとロンガールを振り返る。

「帝国なんか、滅べばいいのよ」

 呪いの言葉を吐き出してやる。ここまで放置って、どういうことよ!?

 地面だって穢れに汚染されている。近づけば、妖精憑きである私を引きずり込もうと、気持ち悪い触手が私の腕に巻きつく。

「苦しいよね」

 聖域の奥の奥にいる何かが苦しんで、私に助けを求めている。こんなに苦しいのに、誰も助けてくれないんだもの。そりゃ、大地を穢して、悲鳴をあげるしかないよね。

「私の片腕、あげる」

 黒いものが私の片腕にずるずると入ってくる。それはものすごい量だ。いつまでもいつまでも、続くそれに、ロンガールとライアンは、引きつった顔をしている。

 王都は、ともかく穢れやすい。だから、ここの穢れを片腕に封じ込めれば、あとは、どうにかなるはずだ。王都こそ、諸悪の根源なのだ。

 ずるずると体内に何かが這いずっているようだ。その気持ち悪い感触に耐えながら、いつまでも続く穢れの移動を眺めている。最初は変化なんてない。それも、どんどんと薄く灰色になっていき、そこから綺麗になっていく。それと比例して、私の片腕は、どんどんと黒くなっていく。骨の髄まで、何かが侵入していきている。もう、この片腕、使えないな。

 そうして、長いようで短い時間で、王都の聖域は清純な光りを取り戻した。

「移動を」

「必要ない。ここに、順をおって、穢れを移動させる」

 聖域は繋がっている。穢れの移動も出来るのだ。慰問なんて、本当は必要ないのだ。

 すぐに、王都の聖域は真っ黒になる。私は笑ってしまう。

「会いたい」

 そのまま逃げたい。だけど、聖域は逃がしてくれない。私がいるから、また、黒い触手が無事な片腕に絡みついた。





 体の全てが苦しい。目に見えるもの全てに色がない。私の妖精が必死になって、私の体から穢れを浄化しようとしているけど、間に合わない。浸食のほうが早い。

 泣いている父の妖精。ほら、もうすぐ、私は死ぬのだから、解放ですよ。良かったですね。隠し事全て、話してしまいなさい。

 私は悶絶する力すらない。最後なんて、倒れている私に聖域は穢れを無理矢理突っ込んだのだ。本当に、帝国は最低最悪だ。自分たちさえ良ければ、私なんてどうだっていいんだ。

 最後くらい、寝心地のいいベッドにしてもらえるかと思っていれば、筆頭魔法使いの屋敷にある地下牢ですよ。死んだら、化けて出てやるんだから!!

「もっと、違う所で寝かせてやるべきだ!!」

「どうせ死ぬんだ。ここだったら、処分も楽だ」

 皇族出身の魔法使いロンガールが訴えているのに、皇族ライアンは最低最悪だ。ライアン、階段から転げ落ちる呪いをかけてやる。地下牢から出る時は、覚悟しなさい。

 そうして、私の側で見届ける者はいなくなる。だって、地下牢だし、手引きするような人だっていませんから、私は放置でいいのですよ。

 私は苦しいので、悪あがきしてやります。全身が真っ黒ですよ。髪まで黒って、どうかしら。あ、抜けてきた。もう、髪が抜けるって、女として、終わっています。

「会いたい」

 誰に?

「ロベルト」

 一目惚れだった。人質にされてしまうほど、私はロベルトのことを愛している。私が生きている限り、あの狂った妖精が、ロベルトを守っている。帝国といえども、ロベルトを悪く扱うことはないだろう。だけど、私が死んだら、ロベルトは用なしだ。

 私が出来ることは、寿命を少しでも伸ばすこと。ほら、そうすれば、ロベルトは生きていられる。その間に、誰かがロベルトを助けてくれるはず。

 無駄で無意味な足掻きをしていると、地下牢を歩く複数の足音が近づいてきた。あれかな、我慢出来なくて、殺しに来たのかも。今なら、殺せるかもしれない、なんて考える頭の軽い人はいるのよね。

「エリカ」

「………ロベルト」

 私はなけなしの力をふり絞って、鉄格子から離れた。こんな、女じゃなくなった私を見られたくない!!

 なのに、この地下牢、ロベルトの手で簡単に開いてしまうの。どうして!?

 案内したのは、私を王国から帝国まで運んだ者たちだ。その中には、嘘つき魔法使いがいる。私の姿を見て、顔を引きつらせている。

「エリカ!!」

 ロベルトは躊躇なく、私を抱きしめてくれる。もう、私は穢れで、体が崩れそうだ。あまりに穢れがひどすぎると、肉が溶けることもあるのだ。それを起こさないように、私はふんばるしかない。

 帝国の人たちとロベルトが何か言い争いをしている。もう、耳は人の言葉をこれっぽっちも理解していない。きっと、頭も腐っているのよ。

 何かが動き出した。それを肌で感じた。





 誰かがお祈りをしている。私はそれをベッドに座って見ていた。

 窓辺に座り、コップ一杯も水を置いて、満点の星空に向かって、祈りの言葉を放っていた。


「どうか、男爵領が豊かになりますように。

 どうか、談と結婚できますように。

 どうか、悪い人が男爵領に入ってきませんように。

 どうか、お兄様とお姉さまが幸せでありますように」


 とても綺麗な令嬢だ。清楚華憐を体現したような姿に、声まで綺麗だ。その声に誘われて、物凄い数の妖精たちが彼女に群がっている。だけど、彼女はこれっぽっちも気づいていない。妖精たちは、彼女が置いたコップに入った水を争うように飲んでいる。たった一杯の水だ。だけど、彼女から貰える水は最高なんだろう。

 お祈りが終わると、ベッドに座る私の元にやってきた。

「大変でしたよ。体全てが穢れに汚染されていて」

 言われて、私は体を見る。最初に王都の聖域で受けた片腕だけは真っ黒のままだ。それを除いた所は、普通に戻っていた。

「助かった?」

「お願いしたら、そこまで綺麗になりました。だけど、腕だけは、無理みたい。ごめんなさい」

「いえ、腕なんて、斬り落とせばいいのよ!!」

 片腕だけだったら、斬り落とせば、とりあえず、命は助かる。

 私はベッドから立って、体の軽さを確かめる。だけど、感覚がおかしい。現実ではない。これは、夢だ。

 夢だと気づくと、私は落ち込んだ。きっと、絶望していたから、夢に希望を見たのね。

「ごめんなさい、私、妖精憑きではないから、完璧には治してあげられないの」

「あなたは、誰?」

 記憶にない人だ。普通、夢って、経験や記憶を元にして見るものだ。だけど、私は目の前の女性を知らない。

「私はリリィ。男爵の末娘リリィよ」

 名前だけは知っている。

 表向きでは行方不明の男爵令嬢。ロベルトの叔母だという。私とロベルトが生まれるより昔に、使用人の男と出奔してしまい、どこにいるのか、今も探されている人だ。

 純粋無垢で、とても綺麗だけど、妖精を視認出来ない妖精憑きだ。

 そうロベルトから聞いていた。リリィはとてつもない力を持った人なので、男爵領に連れ戻さなければいけない、と話していた。

 でも、夢で見ても、私にはわかる。リリィは妖精憑きではない。

 稀に、ただの人だけど、妖精に溺愛される人がいるという。リリィは、そういう人だ。だから、妖精を視認なんて、最初から出来るはずがないのだ。だけど、こういう人こそ、扱いを気を付けないといけないのだ。

 リリィは、貴族の学校で意地悪した伯爵令嬢を領地ごと呪ったのだ。リリィはただ、呪いの言葉を吐き出しただけだ。だけど、それを聞いた王国中の妖精は、伯爵令嬢だけでなく、伯爵一族、伯爵が管理していた領地をも呪った。今も、伯爵一族も、伯爵の領地も、呪われたままだ。呪いをかけたリリィ自身が見つからないため、呪いを解くことすら出来ないという。

 王国はこの事実を知らない。きっと、貴族娘の家出程度に見ているのだろう。

「もう、死んでるのね」

 探しても見つからないはずだ。リリィは死人だ。

 リリィは少女のように笑う。

「そうなの。村人に殺されてしまったのよ」

「どうして?」

「私が山の実りを取り過ぎてしまったから、村人が怒ったのよ。もっとはやく、分け合っていれば良かったわ」

 逆恨みだ。リリィのことはロベルトから聞いている。リリィは純真無垢な世間知らずだ。しかも、すぐ騙される。悪人ではないのだ。村人は、ただ、リリィのせいにしたにすぎない。

 だけど、リリィはとてもいい人だ。村人を悪く言わない、完全な善人だ。

「そうなのね。次からは、そうしましょう」

 だから、否定しない。こういう善人は大事にしなければならない。

 リリィは嬉しそうに笑って頷く。

「ええ、そうするわ!! わかってくれて、ありがとう!!!」

「わかってもらえないの?」

「ダンがね、私は悪くない、というのよ。悪いから、殺されたのに」

 ダンとは、リリィと出奔した使用人だ。祈りの文句にも出たくらい、リリィはダンのことを愛しているのだろう。ダンと呼ぶ時、目をキラキラと輝かせている。

「いいな」

「何が?」

「リリィは、大事にしてもらえてる。いいな」

「大事にしてもらえないの?」

 そう聞き返されて、私はどっと涙が溢れた。

 帝国でさえ泣かなかった。あんな最低最悪な扱いをされても、私は笑顔で偽装したのだ。

 リリィは泣いた私を抱きしめてくれる。

「誰にいじめられたの?」

「私、せっかく家に帰ったのに、誰も、歓迎してくれなかった」

 夢見ていた。本当の家に帰ったら、きっと、抱きしめて、温かく迎えられてくれる、と。

 だけど、実際は全然だ。双子の姉妹エリシーズには、魔法使いやら皇族やらがこれでもかとくっついて、心配して、としているのに、私のことは誰も心配していない。私のことは、道具としか見ていなかった。

「酷いわ!! こんな綺麗で可愛いあなたを歓迎しないって。だったら、連れて行かなくてもいいじゃない」

「そうよ。私、あのままでも十分、幸せだった」

「そうなの?」

「そうよ。ずっと、あの小屋で、ロベルトと二人いられれば、それで十分だった」

 何も贅沢を望んでいない。

 リンゴなんていらない。

 金貨だっていらない。

 皇族なんてなりたくない。

 妖精憑きでいたくない。

 リリィは強く抱きしめて、私の頭を撫でてくれる。

「ここに来た時、真っ黒で、体まで崩れてたのよ。こんな酷い目にあわせておいて、いらない、なんて酷い家ね。わかった、ずっとここにいればいいわ」

「でも、ここ、夢でしょ? 私、もうすぐ、死ぬのよね」

「死なないわ!! あなたはこれからもずっと生きるのよ!!! ここは、男爵の邸宅よ。私の部屋に運び込まれた時は、驚いたわ」

「男爵? 帝国じゃ、ない?」

「帝国? 私は帝国になんて行ったことないわ。ここは王国よ。もう、起きて大丈夫よ。お兄様に伝えて。爵位返上させてしまってごめんなさい、て」

 そして、私の意識は浮上した。





 まるで、そこは別世界でした。だって、外を見れば、妖精が普通に遊んでいるのです。

「死んだの、かしら」

 死後の世界なんてない。それはわかっている。だけど、もし、死後の世界があったら、こんな綺麗な世界だろうな、と私は思いたい。

 ベッドを出ようとしたら、足が重かった。見れば、ロベルトが真っ青な顔をして椅子に座ったまま、ベッドに頭だけ預けていた。私が動くと、ロベルトは瞬間で目を覚ました。

「エリカ!?」

 起きている私を見るなり、抱きしめるロベルト。私はしばらく呆然としていたけど、感動が後から湧いてきて、ロベルトの背中に両腕を回した。

「もとに、戻ってる?」

 私が帝国中の聖域に溜まった穢れを受ける前に戻っていた。夢では、片腕だけは真っ黒だったのに、そこも綺麗だ。

 違和感を感じた。私は両手でロベルトを抱きしめている。だけど、ロベルトは片腕だ。私はロベルトから無理矢理離れて、だらりと下がっているロベルトの片腕を持ち上げた。

「どういうことですか!?」

 ロベルトの片腕が、穢れで真っ黒になっていた。

 ロベルトは、私の手から不自由な片腕を引っ張って、顔を背ける。

「穢れを移し替えたのですね!?」

「そこは、まあ、仕方がない。エリカの片腕だけ、何故か治らなかったんだ」

「こんなことして、死んでしまいますよ!!」

 実際、私は穢れを移して、皇族を一人殺したのだ。それも、ほんの少しだ。

 なのに、ロベルトの片腕にある穢れは、とんでもない量だ。ロベルトが即死したっておかしくないのだ。

「大丈夫だ。エリカだって、ここに来た途端、綺麗に治ったんだ。そのうち、僕の腕も治るよ」

 そうなのかもしれない。野良の妖精たちが、ロベルトの腕から少しずつだけど、穢れを持って行ってくれる。私も、そうやって、体内に溜まった穢れを妖精たちが持って行ったのだろう。

 だけど、ぱっと見回して、感じて、わかる。もう、辺り一帯にいる妖精たちが持ち去る穢れはいっぱいいっぱいなのだ。

「これを私に戻しましょう。私なら、少しずつ浄化出来ます」

 妖精憑きの力で、時間をかけて、どうにか出来るはずだ。

「どれくらいで出来る?」

「一生かければ」

「穢れは、持っていても一年だ。それ以上持ち続けると、腐る」

「出来る限りのことをします。だから」

「エリカは十分、苦労したんだ。これ以上の苦労なんてかけられない。それよりも、帝国に戻らないと。君が死んだことになっている。このままだと、死人だ」

 帝国、本当に酷い奴ら!! 私が助けてやったというのに、最後まで、最低最悪なことをしてくれます。

 私という存在を消して、万が一、名乗り出た時は知らぬ存ぜぬするつもりなのですよ。

 無意識に泣き出していました。

「エリカ?」

「誰も、抱きしめて、くれ、ません、でした」

「………」

「皇族は、私のこと、王国の田舎者扱い、双子の姉妹は歓迎もしてくれない、魔法使いは離れて見てるだけ、本当に、酷いぃ」

 夢の中でリリィに言ったことの繰り返しだ。でも、悔しい。

 命までかけたのに、帝国は私をいらないゴミみたいに捨てたんです。生死の確認すらしない。いなくなったし、あそこまで穢れに浸食されているから、生きていてもゴミなんでしょうね。

 ロベルトは私を片腕で抱きしめてくれます。私はロベルトの胸で泣きました。

「わかった。二人で死人になろう。もう、帝国とは縁を切れ。僕も、王族からも、貴族からも、縁を切る」

「そんな、どうやって」

「僕も、帝国で死んだこととなっている。君と一緒に死んだそうだ」

「そんな、酷いっ!!」

「いいんだ。リスキス公爵にはすでに跡継ぎがいる。王族だって、貧乏男爵の息子なんていらないだろう。だけど、エリカには僕が必要だ」

「はい」

「僕にも、エリカが必要だ。僕だけの妖精姫、もう、離さない」

 熱い声で耳元に囁かれ、私が驚いて顔をあげると、ロベルトは口づけを落として、笑った。

「君は僕のものだ。逃がさない」

 とてつもない情熱のこもった目で見られて、私は呆然となる。それも、しばらくして、笑顔になった。

「はい、ロベルト」

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