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皇族姫  作者: 春香秋灯
賢者の皇族姫-男爵令嬢と悪女-
137/353

男爵家

 男爵のくせに、そろいもそろって、気位だけは高い一家でした。

「さすが、マツキは、一族で一番の天才だな!!」

 褒め称える男爵。

「女に学問なんて、そんなあっても」

 口では否定的だけど、賢い娘に顔を喜ばせる男爵夫人。

「兄の威厳を保てる程度にしてくれよ」

「本当だよ」

「全く」

 末の妹が優秀なのに苦笑する子どもたち。

 その中で、中心となっているのが、男爵の末娘マツキです。

 さる伯爵家の一族の一つである男爵家は、伯爵がおさめる領地の一角の管理を任せられている。伯爵が所有する領地は広大で、どこも肥沃です。だから、男爵家は管理だけでも、随分と裕福でした。だから、男爵家は、爵位が低いながらも、家にはそれなりの使用人がいました。

「あ、落ちちゃった」

 マツキは声を出して、フォークを落としました。すかさず、わたくしはフォークを拾います。

「あら、フォークを拾うのは、使用人の仕事よ」

「ササラったら、本当に卑しい子」

「母親が貧民だからな」

 わたくしは口々に罵られます。わたくしはいたたまれなくて、フォークを持って離れました。フォークを拾わなくても、結局、卑しいくせに生意気な、と言われるのです。どっちにしても、この場にわたくしのいる場所はありません。

 わたくしとマツキは同い年です。ですが、わたくしのほうがわずかに早く生まれたそうです。だから、末娘はマツキです。でも、わたくしはマツキの姉とはなりません。

 だって、わたくしは、卑しい身分もない貧民の使用人を母に持つからです。

 ただ、悪戯に男爵がわたくしの母に手をつけました。回数をこなしてしまい、わたくしを妊娠した母は男爵夫人に訴えました。もちろん、男爵は認めません。

 貧民の母のいう事など、誰も信じません。母はそのまま、お腹の大きくなったので、屋敷を追い出されるところでした。

 そこに救いの手を差し伸べたのが、伯爵カサンドラ様です。母の話を聞き、男爵に言いました。

「帝国の法律では、片親が貴族であった場合、生まれる子は貴族にせねばなりません」

「俺の子ではない!! 貧民のいうことを信じるのか!?」

「あなたは貴族の学校に通っていて、知らないのですか? 貴族には多かれ少なかれ、皇族の血が流れています。貴族の中に皇族が発現した場合、その人は皇族として扱われるのですよ」

「俺と貧民の間に子をなしたって、皇族にはなれん」

「平民にも皇族失格者が落ちることがあるのですよ。大概は死に絶えますが、まれに、生き残ることもあるでしょう。どんなことが起こるかわかりませんよ。いいでしょう、わたくしが生まれる子を保護しましょう。万が一、皇族になった時は、そうですね、この事を全て、皇帝にお話しましょう」

「そ、そんな、俺の子じゃ」

「十年に一度の舞踏会ではっきりすることです。ちょうど、貴族の学校に通う前にははっきりしますね。皇族でなくても、それなりの教育を与えますから、わたくしの子の側仕えにしてあげましょう」

 伯爵カサンドラ様は、跡継ぎサツキ様を出産したばかりだったという。

 嘘か本当かわからない話だ。貧民の訴えに耳を傾けるなど、おかしな事なのだ。

 だけど、伯爵カサンドラ様は、嘘でも本当でも、目の前で必死にすがるわたくしの母を救う気だった。

「おかしな話ですね。悪事を働いたというのならば、わたくしだって、相手にしません。ですが、あなたがたがいっているのは、彼女の腹にいる子の父親は、男爵ではない、ということです。つまりは、彼女は悪事に手を染めない貧民だということです。だったら、我が家にいらっしゃい。貧民という立場でありながら、ただ、父親を偽った程度の悪事です。きっと、普段は真面目でいい子なのでしょう」

 男爵家は、黙り込むしかなかった。わたくしの母は、貧民ではあったが、気立ての良い、真面目な人だった。だから、悪くいう要素がなかった。また、男爵家は、そこまで頭が回らなかったのだ。

 そのことに気づいていた伯爵カサンドラ様は、嫣然と笑います。

「わたくしの夫も愛人持ちです。愛人も、その子も、受け入れる許容を持つことも、女の度量の広さでしょう。あ、愛していない前提ですよ。わたくしは、夫を愛していないので、むしろ、浮気を喜んでいます。あんな男の相手をしてくれるのですからね。あなたは男爵を愛しているのでしたら、まあ、仕方がありませんね。ですが、浮気は一人では出来ません。男爵も悪いのです。男爵、相手は貧民だから、と軽い気持ちで手を出さないように。今はいいでしょう。筆頭魔法使いテラス様は、妖精の呪いの刑が出来ないといいます。ですが、テラス様を越える妖精憑きが誕生した場合、妖精の呪いの刑が発動出来ます。昔、化け物じみた力を持った筆頭魔法使いが、面白半分に妖精の呪いの刑を発動しました。ご存知ですか? この刑罰、一族郎党を滅亡させます。これが発動すると、なんと、浮気相手も道連れだそうですよ。昔の筆頭魔法使いは、わざと、そういう女癖の悪い男や、浮気をしている女を選んで、この刑罰を発動させ、浮気を表沙汰にして、笑って遊んでいたそうですよ。気を付けてくださいね」

 とんでもない話までされ、伯爵カサンドラはお腹の大きいわたくしの母を連れて行こうとしたのですが、男爵と男爵夫人が引き留めたのだ。

 そうして、わたくしは男爵の子として引き取られましたが、母は男爵家を追い出されたと聞いています。実際、生きているかどうか、わたくしは疑っています。貧民の命の価値は低く、死んだとしても、誰も気にしません。身分がないので、帝国は貧民が死んでも調査なんてしませんから。

 こうして、わたくしは男爵家の一員となりましたが、扱いは最低です。同じ年頃のマツキの下僕です。マツキが気に入らないとわたくしに暴力をふるったり、物をなげつけたりしても、誰も注意しません。逆らったり、避けたりすると、逆にわたくしが叱られます。だから、わたくしの体は傷だらけです。

 でも、それは耐えるしかありません。だって、母が貧民ですし、浮気で出来た子ですもの。もう、諦めています。






 あれほど平等で優しい伯爵カサンドラ様が亡くなりました。葬儀にはわたくしも連れて行かれました。

「あら、この子も連れて来たの?」

「卑しい母親が訴えたから、仕方なく、引き取った子といえど、貴族ですからね」

「一度、魔法使いに鑑定をしてもらったらどうですか」

「そんなお金があったら、マツキのために、綺麗なドレスを作ります」

「餌代だってかかるでしょう」

「使用人みたいに働かせているから、むしろ、安上りよ」

 わたくしに対して、いいたい放題だ。そろった血族は、皆、どこか欠点を見つけると突いて、お互いを蹴落とそうとしていた。どこも一緒だ。

 子どものところに行けば、わたくしは貧民の子だから、石を投げられたり、暴力を受けたり、とされてしまいます。だから、わたくしは悪く言われる大人の近くで息をひそめていました。悪く言われるだけで、痛い目にあうわけではありませんから。

「マツキさん、天才なんですってね」

「三歳にして、文字も覚えたのですよ。今では、大人が読むような本まで読んでいますわ」

「そんなに!? これは、場合によっては、当主になれるかもしれませんね」

 皆、獲物を狙うように、葬儀の喪主である亡き伯爵の一人娘サツキ様を見ていました。

 サツキ様は唯一の跡取りです。ですが、まだ、子どもですので、爵位を継げません。爵位を継ぐのは成人してからです。それまで、サツキ様には、大人の後見人が必要となります。

 サツキ様の父ブロンは、男爵令嬢カーサと浮気をしていることは、社交界でも有名な話でした。貴族の学校時代に、カーサに一目惚れしたブロンは、結婚した後も、愛人として囲い、娘までいました。

 本来であれば、サツキ様の側に、父ブロンがつかねばなりません。ですが、ブロンは、愛人カーサとその娘クラリッサの側で笑っていました。これでは、とても、サツキの後見人なんて無理だ、と血族が言い切るでしょう。そこを突かれることを、ブロンは気づいていません。このまま、伯爵家はブロンが牛耳れると信じているのです。

 ですが、血族たちはブロンを追い出し、サツキの後見人の座を手に入れようと結託しています。

 そんな話を聞きながら、わたくしはただ、自分自身で手一杯です。サツキ様のことを助けよう、とか、近くに行こう、とか、思ってもいませんでした。

 葬儀は、色々とありましたが、終了しました。サツキ様は、それぞれを見送りにわざわざ足を運んで来ます。彼女の傍らには、葬儀が始まる前からずっと、魔法使いがついていました。

 男爵家のところにサツキ様がきました。

「始めましてだな、弟よ」

 なんと、魔法使いのほうから声をかけてきました。男爵は魔法使いを驚いたように見ました。

「お前は、妖精憑きとして、帝国のものとなった兄か!?」

「帝国からハサンという名をいただいた」

 初めて聞く話だった。それは、男爵本人だけが知っていることで、家族は誰も知らないことだった。

「伯父が魔法使いなんですか!?」

「すげぇ!!」

「魔法見せてよ!!」

 魔法使いが身内だとわかると、子どもたちは礼儀もなく近づいていく。

 対して、男爵は気まずいみたいな顔をする。この魔法使いが兄だということは、爵位を譲らなければならないのか、そんなことを考えたのだ。

 それが顔に出ていたので、魔法使いハサンは深く溜息をついた。

「私は帝国の所有物だ。爵位なんていらない。だいたい、男爵位よりも、私の立場は遥かに上だ。ちっぽけな男だな。これが弟だなんて、恥ずかしい。いいか、魔法使いの兄がいるなどと、社交で吹聴するなよ」

 蔑むように見下ろしたハサン。途端、男爵は羞恥で顔を真っ赤にする。

 家では、もう、王様のような顔をしている男爵も、外に出れば、小さい男だと言われるほど、色々と小さい人だった。

「声をかけるんじゃなかった。聞いたぞ、貧民の女に手を出して、自分の子じゃない、とか言ったそうだな。その子がそうだろう。明らかに、お前の子じゃないか!!」

 さらに、男爵を貶める魔法使いハサン。

 わざわざ、わたくしの両肩をつかんでいうハサン。途端、男爵夫人まで羞恥に顔を真っ赤にする。

「本当に恥ずかしい奴だ。私とお前が兄弟だなんて、もう口にするな。いいか、何かあっても、私は助けないからな。私は生まれた時に、帝国のものとなった。神と妖精、聖域の導きにより、ここに来たが、それだけだ。もう、こんなことをするんじゃない。いつか、お前の家族の身に、とんでもない不幸が降りかかるぞ」

 それは、預言のようなものだった。ハサンはこの時、何かを予感していた。

 ハサンが下がると、伯爵令嬢サツキ様が前に出ました。

「母の日記を読みました。男爵は女に目がない方だと、書かれていましたよ」

 早速、暴露が始まった。亡き伯爵カサンドラは、血族の赤裸々な話を日記に残していたのだ!?

 ちょっと周囲を見れば、血族たちは、皆、真っ赤だったり真っ青だったり、サツキ様に色々と言われたのだろう。

「い、いや、若い、頃は」

「学生時代は、皇族侮辱罪まで起こした武勇伝がある、と書いてありました。かっこいいですね。なかなか出来ないものですよ」

「………」

 とんでもない事実まで暴露される。皇族相手に、男爵はとんでもないことをしていた。それは、恥どころではない。男爵家は廃絶されてもおかしくないことだ。

「学生の頃は、こういうことが許されるそうです。ですが、やっていいことではありません。過去のことを隠すのではなく、それを教訓として持っていくのが大事だ、と母の日記には書いてありました。それを読んで、わたくしも良い教訓となりました。気を付けましょう」

 とんでもない話で終わりかに見えました。

「一年後に、母の葬儀に来ていただいた方を呼んで、お礼をかねて、細やかな茶会を行います。良かったら、その時、母の日記にも書かれていない、母の失敗談を聞かせてください」

 綺麗な礼をして、サツキ様は魔法使いハサンを連れて、去っていきました。

 魔法使いハサンは、何故か、わたくしの頭を優しくなでて去っていきました。振り返れば、ハサンは背中を向けて、サツキ様の隣りを歩いていました。





 そして、一年後、伯爵令嬢サツキ様は細やかとは名ばかりの茶会を行いました。ですが、サツキ様の姿は、酷いものでした。

 まず、着ている服は一年前のものでしょう。サツキ様の体にあっていません。遠目でもわかるほど、サツキ様はやせ細っていました。そして、腕や足に傷が見られました。

 使用人の手もかかっていないのでしょう。髪だって綺麗に整えられていません。その姿は、正直、男爵家で蔑まされているわたくしよりも酷いものでした。

 伯爵家は、結局、サツキ様の父ブロンが牛耳りました。血族が結託して、ブロンを蹴落とそうとしましたが、公爵夫人アーネット様がブロンに味方しました。

「血の繋がりのある親子を引き離すなんて、可哀想ですよ」

 ブロンの浮気は、社交界でも有名な話だというのに、亡き伯爵カサンドラの友人でもある公爵夫人アーネットがいうことです。世論はブロンに味方しました。

 結局、公爵に逆らえるはずもなく、血族は諦めるしかありませんでした。

 そして、ブロンはさらに力をつけます。サツキ様の婚約者に侯爵家次男エクルドをつけました。この侯爵家も良い後ろ盾となり、ブロンに逆らえる者はいなくなりました。

 こうして、ブロンは伯爵を乗っ取ったのです。サツキ様は酷い扱いです。跡取りだというのに、使用人たちすら、サツキ様の側にはいきません。

 それを見て、血族たちも、亡き伯爵カサンドラの友人知人たちも、サツキの父ブロンと、再婚して義母となったカーサ、その子クラリッサの元に行きました。

 サツキ様の側にいるのは、一年前、葬儀に出た魔法使いハサンのみです。ハサンは、怒りをこめて血族たち、特に、血の繋がりのある弟である男爵を睨んでいます。

 子どもは子どもで、主役であるサツキ様をどうしようか、なんて話しています。ですが、近くに怖そうな魔法使いハサンがついていますので、仕方なく、両親の元へと行き、クラリッサに話しかけたりしています。

 わたくしは、蔑まされている立場です。ですが、魔法使いハサンのお陰で、わたくしの立場は良くなりました。そのお礼をかねて、サツキ様にご挨拶します。

「一年前は、ありがとうございました、サツキ様、ハサン、伯父様?」

 サツキ様だけではありません。ハサンまで、驚いたようにわたくしを見ます。

「あの最悪な弟に、まともな娘がいるとは、驚きだ。確か、名は………」

「ササラさんです。一年ぶりですね、ササラさん。男爵家では、良い待遇ではあるようですね」

 ちらりとサツキ様はわたくしの足や手を見ます。わたくしもまた、相変わらず、不当な扱いを受けています。笑うしかありません。

「本当に、だらしない弟だ。あれと血が繋がっているとは、最低最悪だ」

「血のつながりがそれを決めるわけではありません。教育ですよ」

 サツキはハサンを見上げていう。

 男爵はきちんとした両親に育てられた人だ。そして、同じ血筋のハサンは、帝国が教育し、育てた人だ。

「サツキ様のいう通りですね」

 つい、わたくしは言ってしまいます。それを聞いたサツキ様とハサンは顔を見合わせて、笑います。

「わたくしと同じように感じる方がいるとは、嬉しいです」

「母親のことは気にしないように。魔法使いだって、貧民出の者はいる。貴族だ、平民だ、貧民だ、と言っているが、妖精憑きであることは変わらない。生家の身分と実力は別ものだ。身分が高くても、大した実力でない者だっている。まあ、生家の支援を受けられるから、それなりの生活は出来るのだがな。私は、この通り、自力だ。実力があって、上には随分と可愛がってもらった。お陰で、いい生活が出来ている」

 ハサンはわたくしの頭を優しくなでた。

「万が一の時は、私が力になろう。それまで、耐えなさい」

 今ではないんだ。わたくしは、今、ハサンが連れて行ってくれるものと思っていた。

 縋るようにわたくしが見上げていたのだろう。ハサンは顔に迷いを見せた。

「ササラ、今は無理なのですよ。ササラは幼いですし、親の養育権が強いです。ですが、貴族の学校に通う頃には、どうにか出来ます。それまで、耐えるしかありません」

 それは、サツキ様自身に言い聞かせているようでした。

 わたくしは、物心つく前から不公平を受けていました。馴れていました。ですが、サツキ様は、母親を亡くしてから、不公平を受けています。わたくしよりも、酷い事となっているのは、見ていればわかります。それを何かを覚悟を持って、サツキ様は耐えていました。

 ハサンは、そんなサツキ様の姿に怒りを燃え上がらせています。ですが、魔法使いという立場であるため、不可侵なのです。魔法使いは、帝国第一ですし、家族のことを口を出してはいけません。サツキ様のことに口出しすることは、今後、大変なこととなるのでしょう。それは、わたくしも同じです。

「わかりました、わたくし、耐えてみせます」

 仲間がいる。ただ、それだけで、わたくしには力強く感じました。

「母が亡くなって一年が経ちましたので、領地に視察に行くことがあると思います。その時、こっそりとお話出来るといいですね」

「わたくしは、よく、外に出されますから、こっそりと会えるかもしれませんよ」

 家にいると、色々とされるので、わたくしはよく外に出ていた。外でも、わたくしは貧民の子、と色々とされていた。だけど、隠れる場所はたくさんあるので、そこに逃げ込んでいた。

 サツキ様は、少し考えこんで、頷きました。

「では、頑張って、探しましょう」

 そして、わたくしの背中を押しました。あまりわたくしがサツキ様の側にいることは良くないからでしょう。

 もっと、側で話したかったのですが、そこから、大騒ぎとなってしまい、それどころではなくなったのです。

 侯爵夫人アーネット様が、出された茶を貶しました。これが、大問題となりました。この茶は、賢者テラス様が愛飲しているという話です。しかも、賢者テラス様が愛飲するため、皇帝ラインハルト様まで愛飲するようになったといいます。

 このお茶を広めたのは、サツキ様です。元々は平民向けに販路を広げたのですが、どういうわけか、賢者テラス様が飲んで、気に入り、そのまま、皇帝御用達となりました。

 どうしてこうなったのか? このお茶を賢者テラス様に勧めたのは、なんと魔法使いハサンでした。ただ、ハサンはこんなつもりはなかったのです。たまたま、サツキ様から葬儀のお礼に、と贈られたお茶を気に入って、わざわざ購入して愛飲していたところ、気になったテラス様が飲みたい、ということで、茶葉を分けただけでした。そこから、魔法使いの間に広がり、果ては、皇帝ラインハルト様まで愛飲するようになっただけでした。

 そんな裏話をわたくしは、こっそりとサツキ様と魔法使いハサンから聞くようになるほど、仲良くなりました。

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