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皇族姫  作者: 春香秋灯
契約紋の皇族姫-外伝 真の皇族-
101/353

皇族の儀式なんてくそくらえです

 泣いちゃうよ。わたくし、口が悪いけど、基本、悪い行いはしていない。だって、やることいっぱいなんだもん。暇なんてないの。

 皇帝陛下、酷いの。わたくしにはちょっとはやいけど、皇族教育の講義受けさせてやろう、なんていうのよ。うえーん、お昼寝したいのにー。

 わたくしは反省しました。睡眠は大事なのです。まだ三歳児なので、お昼寝って必要なのですよ。そうして、いっぱいお休みしないと、体はすぐに熱が出てしまうほど、三歳児は弱いのです。

 さすがに三歳児は、他の皇族の皆さまから反対が出たので、四歳児になってから、皇族教育です。四歳児も、それなりに睡眠が必要なのにぃ。

「わたくしも、いきます!」

 わたくしの話し方で学んでしまった妹ラーシャは、とても礼儀正しい、立派な話し方をします。素晴らしい!! とても頭がいい妹に、わたくしは自慢したい!!!

「いや、許可が出ているのは、ナーシャだけだから」

 お荷物を減らしたいお兄様イーシャ。そうですよね、わたくしに関わってから、大変ですものね。

 すっかり、外では真の皇族誕生、と大騒ぎ。わたくしは何も言っていません。皇帝陛下だって、アイシャールだって、沈黙しています。だって、こんな幼い子どもをまつり上げて、万が一、暗殺や毒殺されようものなら、大変な汚名である。だから、それなりの年頃にまで沈黙するはずだった。

 盗み聞きした両親によって、広められてしまったのよ。本当に、あの両親、最高ですね。ちくしょー---!!! 選ぶなら、もっと深慮な親にしてください、神!!!

 電光石火のごとく、わたくしが真の皇族であることを自慢した両親のせいで、大変なことになったのは、お兄様です。人前に出れば、真の皇族の兄だ、と言われるわけです。色々と質問攻めにもあっているそうですよ。可哀想。

 外は本当に大変なことになっています。だから、わたくしだけでも大変なんです。そこに無力なラーシャを連れて行くのは、とても危険なんですよ。

 ラーシャ、わたくしの腕にしがみついて、もう、目に涙いっぱいためて、いつでも大泣きできる準備万端です。可愛い。

 わたくしは、そんな準備もハンカチでぬぐってやります。

「ラーシャ、心配ありませんよ。どうせ、すぐ終わってしまいますから」

「でも、わたくしだけ、なかまはずれ」

「もう少しすれば、お兄様が仲間外れですよ」

 酷い妹だ。お兄様は引きつった顔になる。出来が化け物の妹を持つ兄は大変ですね。

 そうして宥めて、初の講義にお兄様と参加です。教室に行けば、皆さん、立派な選ばれた皇族ですよ。ほら、皇族の儀式は五歳で行います。皇族教育を受けるのは、皇族の儀式を通り抜けた皇族だけです。厳しい世界だわ。

「おい、皇族の儀式終わってない奴が来たぞ」

「なんだっけ? 真の」

「なんちゃらみたいな」

 影で大笑いする男の子たち。わたくしは気にならないけど、お兄様はこれをずっと聞いているから、気の毒ですね。

 わたくしはお兄様の隣りの席に座って、教師が来るのを待っています。初めてだから、何をするのやら。

 皇族の子どもたちが集まった頃合いで、教師もやってきました。

「まずは、試験をします。どこまで出来るか、確認しましょう」

 とわたくしを見て言います。他の皇族の子どもたちが迷惑そうにわたくしを睨みます。もう、やめてよ!!

 この試験、合格すると、どんどんと試験を解き続ける、というのだって。そうか、全部、解き終わったら、わたくし、もう卒業なのね。

 そんなこと、実際にはありえないので、わたくしは、真面目に解きました。本当ですよ!!

 でも、皇族教育って、基本中に基本なんです。本も内容が歪んでいませんでしたし、きちんと読み込めば、誰だって解けるものなんです。

 だから、わたくしの皇族教育は、その日の試験で終了してしまいました。うーん、短かったです。

 そして、居残っている皇族どもに言ってやる。

「皇族の儀式終わってないわたくしはもう皇族教育は卒業なのに、立派な皇族様は、まだ、不合格ですか。さぞや、もっとすごい特技があるのでしょうね」

「この、お前のせいで、めちゃくちゃになったんだからな!!」

 ちょっと嫌味を言ってやれば、すぐ手が出るのが男子です。それは、いつの時代も変わらない絶対です。

「ナーシャ!?」

 イーシャが助ける前に、わたくしは投げ飛ばされ、頭から落ちたのでした。





 目を覚ますと、ベッドの側が大変なこととなっていました。

 わたくしに散々な悪口を言って、手を出してしまった皇族の子どもたちは、皇帝陛下と大人の皇族たちに囲まれて、正座させられています。

「真の皇族の殺害未遂だ」

 うわ、思ったよりも、大事となっていました。わたくし一人の怪我で、皇帝陛下、容赦ないですね。

 それもこれも、わたくしのベッドに縋りつくように泣いている筆頭魔法使いアイシャールのせいです。アイシャール、わたくしが頭を打って意識を失ったと聞いて、発狂したそうです。

 筆頭魔法使いは、皇族に絶対服従です。だけど、魔法使いたちはそうではありません。契約紋を施されるのは、手に負えない妖精憑きであるアイシャールだけ。それを除く妖精憑きは、道具を使えば、制御出来るので、あえて契約紋の儀式をしません。

 万が一、魔法使いたちが反乱を起こしても、筆頭魔法使い一人で抑え込めるので、問題ありません。だけど、この筆頭魔法使いが裏切った時、魔法使いたちは止められないのです。

 今回、それが起こりました。魔法使いたちは反乱し、筆頭魔法使いアイシャールは契約紋に逆らったのです。

「ナーシャ様、ご気分はいかがですか?」

「頭がものすごく痛くて、気持ち悪い」

「なんてこと!? ナーシャ様は大切な方だというのに、皇族はなんてことをしてくれたのですか!! 皇族の全ての命でもっても、ナーシャ様の価値には足りないというのに」

 美しい顔を怒りで歪める。それでも綺麗だな、アイシャール。

 わたくしはアイシャールの手を握る。

「これは、わたくしから皇族と妖精憑きへの試練です。間違ったことをした時、どういう行動をとるのか、見極めただけです」

「そんな、御体を犠牲にしてまですることではありません。逆らう者は全て、皇帝陛下が処刑してくださいます。そうですよね?」

 笑顔でいうアイシャール。皇帝陛下はというと、気まずいながらも頷く。あー、約束させられちゃったのねー。アイシャールが本気になれば、皇帝陛下を骨抜きにするのなんて、容易いものね。

 それを聞いた子どもたちの親は真っ青だ。だって、子どものちょっとした喧嘩程度、と思っていたのだ。それが、命を脅かすことになるなんて、思ってもいなかったのだろう。

「では、その子どもと、子どもの親兄弟を処刑してください」

 残念。わたくしは酷い女なのです。容赦しません。

「子どもがやったことではないですか!? あなただって、酷いことを言ったと」

「最初にわたくしや兄の陰口を言ったのは、そこにいる子どもたちです。実際は、もっといっぱいいるでしょうね。順位をわかっていない者は危険です。そういうものは処刑するべきです」

「お前だって、子どものくせに!!」

「子どもの教育を失敗したダメ親が何を言っているのですか。子どもの陰口は、親も言っているということです。お前たち親が言ったから、この子どもたちは死ぬのです。どこにいっても、発言には気を付けるべき、という教訓となったでしょう。ここにいない子どもたちは、これを教訓に、口を慎みなさい」

 早口で言ったから、今にも吐きそう!!

 わたくしの状態はあまり良くないのは、見ていればわかる。アイシャールは泣きそうになる。

「ナーシャ様、あまり無理をしないでください。さあ、ゆっくりお休みください。後は、皇帝陛下が良いようにしてくださいますから」

 そんなわけがない。この皇帝陛下は、謝罪で済ませようとしている。わたくしのこと、まだまだ軽く見ている。

 わたくしがいう処罰に、皇帝陛下は真っ青になっている。それはそうだ。隙がないのだもの。

 帝国では、皇帝が一番上だ。その下に筆頭魔法使いがいて、その下が皇族だ。わたくしのように皇族の儀式を終えていない人は、さらに下の扱いだ。

 だけど、わたくしは、神によってつくられた真の皇族。真の皇族は、神が作った、帝国の絶対的支配者だ。皇帝って、実は、真の皇族の代理のようなもの。本物が出てきてしまったら、代理はただの皇族に落ちるしかない。

 これまで、皇帝陛下として握っていた権力をわたくしが奪えるのだ。わたくしがちょっと言ってやればいい。「交代しよう」と。逆らえば、帝国中にある魔法具や魔道具が動かなくなる。ついでに、帝国の城が無意味だ。

 これ、だったらわたくしを殺せば解決だろう、なんて考える人がいるのよね。でも、これ、どうなるのか、わたくしもわからない。だから、そこの所は、皇帝陛下にも言ったのだ。道具が使えない状態でわたくしを殺しても、元に戻る保証はない、と。

 わたくしは、曖昧な存在だ。皇帝陛下には、試す勇気も根性もなかった。

「皇帝陛下の判断でいいですよ。わたくしが皇帝ならば、そうします。だけど、今の皇帝はあたなだ。わたくしの判断を全て正しいと思ってはいけません。わたくしの判断が間違っている時もあります。わたくしは、絶対ではないのですよ」

 そういう弱虫な皇帝陛下に全てまかせる。ここで、処刑しても、しなくてもいいんだ。どちらも、正しいのだ。


 結局、処刑は見送られた。普通は、そうだよね。




 でも、この出来事から、お兄様のわたくしを見る目も、そして、皇族を見る目も変わったと思う。何か、深慮している感じだ。そういう姿も、かっこいい!!

「ねえ、ナーシャ、どうして、そんなに嫌われることばかりするの?」

 優しい人だからだろう。わたくしに対して、そういう見方をするお兄様イーシャ。

「気のせいです」

 心底、そう言うわたくし。

「嫌われてばかりじゃないか!! 今、君はどういうふうに見られているか、わからないわけじゃないだろう!!!」

「考えすぎです。ただ、皇族の勢力が二分してしまっただけではありませんか」

「やっぱり、何か企んでるんだ!?」

 怪我も治って、でも、外に出ると、大変なことになったので、暇なわたくし。だけど、特に何もやっていないのだ。

 だって、本当に何もしていない。勝手にやっているだけですよ。

 わたくしの両親は、皇帝よりも上の子を持つ親として、威張り散らしているだけだ。特別な血筋だ、なんて言いふらしている。それに従う勢力が、周りで煽っているだけです。

 それと対抗するのは、今の皇族の血筋を重要視しよう、という勢力です。ちょっと考えればわかります。真の皇族が出てきてしまうと、今の皇族の立場がない。わたくしは、扱い方によっては、皇族という存在を崩壊させてしまうのです。だけど、帝国をこれまで支えていたのは、皇族です。その自尊心があります。たった一人、たまたま誕生した真の皇族のために、皇族がこれまで培ってきた歴史と権威を失墜させるわけにはいかないのだ。

 というわけで、二つの派閥が内部で戦っているわけです。

「ですが、殺し合いをしているわけではありませんし、問題ないでしょう。勝手にやっているだけですよ」

「それもこれも、ナーシャが煽ったから!!」

 机をバンバン叩いて責めるお兄様。もう、わたくしに対しては優しいお兄様ではない。ちょっと厳しいお兄様です。かっこいい。

「このままでいくと、ナーシャ、暗殺されちゃうよ」

「そう、そこが困りました。今のわたくしには、筆頭魔法使いの加護がついていません。今だに、ただ、真の皇族であるだけです。無力なのです」

「わかっているなら、大人しくしてなよ!!」

「わたくしは大人しくしています。大人しくしていないのは、お父様とお母様です」

 本当に、あの両親はダメだ。他人の力を利用して、もう、皇族の中でも最高権力者みたいな顔をしている。大したことも出来ないくせに。

「それもこれも、あと少しですよ」

「皇族の儀式が通ったとしても、ナーシャは無力な子どもなんだから、大人の力にかかれば、あっという間だ。ともかく、部屋から出るんじゃない」

「お兄様も、儀式が終わるまで、一緒にいましょう」

 外はとっても危険です。だから、お兄様も部屋から出られません。

 本来ならば、お兄様、皇族教育の講義のために、外に出ないといけません。だけど、わたくしが皇族教育を終わらせるとすぐ、お兄様も皇族教育を終わらせてしまいました。よっぽど、仲間外れがイヤだったのね。この、さびしんぼめ。

 無力な小娘です。もうすぐ皇族の儀式なので、大人しくしています。だいたいのことは終わったので、あとは、儀式が終わるのを待つだけです。

 外は大変なことになっていますが、部屋の中は別世界です。何もわかっていないラーシャは玩具で遊んだりしています。

「お兄様、これからも、ラーシャのことは、よろしくお願いしますね」

「わかってる。皇族の儀式が終わったら、ナーシャも忙しくなるからな」

「はい」

 皇族の儀式が終われば、もう、ただの子どもではいられない。皆、何かしらやらなければならないのだ。五歳で役目を与えるって、ちょっと早すぎない? でも、それから皇族教育が始まるのだから、役割はあるのよね。わたくしは、もう終わってしまったから、その先の何かをしないといけないけど。

 大人も子どもも、皇族の儀式が終わった後、わたくしがどうなるのか、好き勝手話しています。当の本人の考えなんて、誰も聞きません。

 みんな、わたくしが皇帝になる、なんて思っているのですよ。五歳の子どもに向かって、皇帝だって。おっかしい!!


 でも、神の試練は、これからなんです。これまでは、わたくしの準備のための時間なんですよ。





 皇帝の儀式に通過出来なかった事実に、筆頭魔法使いアイシャールは泣き崩れます。

「そんなことありえません!! 双子であれば、必ず、皇族です!!! まだ、血の発現が遅れているに違いありません。五歳は、幼すぎるという神の啓示です!!!」

 大昔から行われていることだ。今更、間違いである、なんて誰も思わない。

 この結果に絶望するのは、わたくしを祭り上げていた両親とその勢力だ。よりによって、わたくしが皇族ではないとわかって、アイシャールの嘆きすら聞いていない。

 そして、大喜びなのは、わたくしを危険視する勢力である。

「やはり、わけのわからない小娘であったか!! 皇帝陛下、この小娘は生かしておいては、後々、禍根を残します。今のうちに、処刑するべきです!!!」

 おおっと、五歳児を殺せ、なんて言ってきましたよ。いやー、物騒な勢力ですね。怖くて泣いてしまったではないですか、妹のラーシャが。

 わたくしは泣きません。ただ、あるがままです。ここで処刑されても、そこは仕方がありません。だって、それが運命です。きっと、ここで処刑されて、何か起こっても、それは神の考えですよ。

 だから、わたくしはただ黙って笑っているだけだ。それを見て、わたくしを処刑したい皇族たちは怯える。そんな、無力な五歳児なのに。

「待ってください!! アイシャールが言っています。これは何かの間違いだと。だったら、時間をおいて、やり直すべきです!!!」

「その小娘は、逆らった者を処刑するように言ったんだぞ。帝国は弱肉強食だ。強者こそ正義だ。今、それを証明するべきだ」

 武器に手をかける大人の皇族たち。今なら、筆頭魔法使いの加護がないので、大人だったら、簡単に殺せてしまいますよね。

 わたくしを助けようと前に出るお兄様。わたくしの両親はというと、遠くで誰かと相談中。こらこら、娘が危ないというのに、何やってるの。本当に最低な親だな。

 わたくしはあえて、お兄様の前に出ます。

「通例は通例です。わたくしは皇族の儀式に失敗しました敗者です。敗者は、皇帝の判断に委ねられます。皇帝陛下、わたくしを含む、皇族の儀式に失敗しました者たち全てをどうするか、お決めください」

 そう、この儀式、失敗したのは、わたくしだけではないのだ。泣いている子ども、それなりにいる。そして、その結果に悔しがる親だっている。

 まあ、貴族の養子にするか、平民の養子にするか、物騒な皇帝だと、処刑しますね。ほら、万が一、市井で皇族が発現しちゃったら、大変ですものね。皇族が発現する前に、処刑しちゃえばいいのよ。処刑、今だったら、誰だって出来ますものね。

 それに、どうしても処刑したい皇族はいっぱいだ。でも、処刑するということは、今、親しくしている皇族の子も処刑です。言えないのですよ、誰も。

 心の弱い皇帝は、アイシャールの恐ろしい視線を受けて、震えます。万が一、処刑なんて口にしようものなら、アイシャールを始めとする魔法使いたちが反乱を起こします。

 アイシャールは嫣然と微笑んで、皇帝の前に跪きます。

「皇帝陛下、どうか、ナーシャ様に皇帝位を譲位してください。そして、契約紋を作り直し、改めて、わたくしは筆頭魔法使いの儀式を執り行います。それで、全て、解決です」

 狂気に満ちた目で訴えるアイシャール。

 これは、正しいことだ。魔法使いの反乱を許してはならない。アイシャールが本気で逆らえば、皇族なんて皆殺しに出来るのだ。

 でも、こんなことをアイシャールに言わせたのは、皇帝が悪い。アイシャールを狂わせるほどのことを皇帝は契約紋を使って行ったのだ。この美しい女を好き放題蹂躙した。アイシャールにとって、わたくしは、唯一の救いに見えたのだ。契約紋に逆らってでも、その救いに縋りつきたい。

「アイシャール、やめなさい。わたくしが神から受けた役目は、皇帝となることではありません。下がりなさい」

 わたくしが意識して、力ある命令を行えば、アイシャールは簡単に皇帝陛下から距離をとり、がたがたと震えたまま、頭を垂れる。わたくしは、怯えてしまったアイシャールの前にしゃがみこむ。

「アイシャール、わたくしで契約紋を制作することは諦めなさい。わたくしではいけない、と神はおっしゃっています。だから、わたくしは皇族の儀式を通らなかったのです。これは、神が定めた運命です」

「そんなわけがありません!! 魔法具も、魔道具も、帝国中にいる妖精憑き全て、あなたの所有物ですよ!!!」

「神様が決めたことです。これから下す皇帝陛下の判断は、神の判断と思いなさい。いいですね」

「はい、はい」

 ボロボロと泣きながら頷くアイシャール。

 わたくしは改めて、皇帝陛下に向き合う。

「さあ、決めてください。猶予ですか? 追放ですか? それとも、処刑ですか? どれを選んでも、それは全て、神の言葉です」

 恐ろしいことを言ってやる。慎重に考えないといけない。どれを選んでも、この弱い男は神の代理人だ。

「あ、改めて、一年後、やり直す。それは、今回、皇族の儀式を通過しなかった者たちも含めてだ」

 猶予を選ぶ皇帝。それを聞いた、皇族の儀式を通過しなかった者たちは、笑顔を見せた。

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