婚約者になれば愛されるのが当然と思わないほうがいいとあなたが言った。その言葉を私は今あなたにお返ししたいですわ王太子殿下。
「婚約者だからって、愛されるのが当然と思わないほうがいい」
「……」
「これから愛しあっていけばいいなんてそんな考えは甘いと知るがいい」
私は婚約者となった王太子殿下から初対面でこのお言葉をもらいました。
私は今、この言葉をささやいたあなたに言いたい。それはあなたもでしょうと……。
真実の愛とやらがどこかで転がっているはずだと頭がお花畑の王太子のお守りをして今一年が経過しようとしています。
私が婚約者に選ばれた理由は、頼りない王太子をなんとかできそうという陛下の推挙だったそうです。
まあ殿下の好みがかわいいタイプとやらで、私はまるきり違いました。
冷たい関係が続いて一年、何か浮かれた殿下に言われたのが真実の愛に目覚めたという……。
真実の愛の相手とやらは私の7歳下の妹でした……。
私は今18歳、殿下は今19歳、いやまあ10年後ならあり得ない年齢差じゃないのですけど。
「……」
わがまま放題、甘やかされ放題の妹です。適齢年齢は16歳からですし、さすがにちょっと……。
私が黙り込んでいると、婚約を破棄したいと次にあなたはいいましたが……。
「婚約を破棄したい、真実の愛に私は生きるんだ」
「……婚約者になれば愛されるのが当然と思わないほうがいいですわ」
「え?」
どうしたってバカだわと思います。
フリルとお花が似合う妹ですが、かわいい外見をしていますが、その中身は最悪です。
妹だから許してきましたが、悪さを隠そうとすることも多く、中々外見とは違うずるがしこい性格の持ち主でした。
「あれを制御できるとか、あれに愛されるとは思わないほうがいいですわ」
「……」
私はあれが自分の外見を生かして、可愛いお願い♪ とやらをしているのもしっていますし、なになにがほしいと年上の男性に甘えていろいろ買わせたり、お金をもらっていることも知っております。
それを完全に隠せていると思っているようです。両親も騙されていますしね。
「あなたはあれの趣味ではないのですわ……」
「自分の妹のことをあれとか」
「そうですわね、エリザベスは姉の私より手ごわい子です。確かに悪知恵といった点では王太子の相手にはふさわしいでしょうが、あなたでは多分制御できませんわ」
お金大好きのあの子ですから、王太子というのは魅力でしょうが、実際、王家にはお金がない。
貴族のほうがお金を持っていると思います。
火の車の財政の王家、肥え太る貴族。これは貴族の力がつよいという弊害によってでした。
我が家のほうが王家より豊かな生活をしているので、王太子というのは身分以外の魅力はないでしょう。わがまま放題でいつもこれほしーいと私のものを取り上げる図々しい子ですわ。
「……私の愛は絶対にエリザベスに通じる!」
「まあ頑張ってください」
私はもう諦めました。この方の趣味は薄々はわかってはいましたが、私とてあの子がまだ11歳でなければ仕方ないですわとかいって譲っていたのかもしれませんけど……。
幼女趣味の男性なんてこちらからご免こうむりますわ。このあと、陛下に私がそのままを申し上げたら廃嫡になりましたわ。当たり前です。婚姻年齢は16才からですわよ。幼女趣味が発覚してそのままでいられるわけありませんわ。エリザベスに迫る前にお縄になりましたわよ。次の王太子殿下は第2王子で11才、エリザベスを次の候補におすすめしましたわ。もうあんな騒ぎごめんですの。
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