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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恐怖の階段

作者: プププ

 俺は会社から帰宅するために、電車に乗らないと

いけない。


 会社の近くに駅があって、いつも通りの雨に濡れ

ない帰り道を歩いている。


 駅に近づくほど人の数が増えて行き、俺は人の流

れに合わせて進んでいった。


 階段をおりて道を進み、改札口から駅の構内に入

る。


 いつも通りのことだ。


(人の流れが速いな)


 左右にいる人達が次々と俺を抜かして行くのをみ

て思っていた。


 階段の前に立つと駅の明かりが一瞬だけ消える。


 俺は明るい時に階段を一段おりて、消えたら止ま

るを繰り返しておりた。


 おりている最中に、明かりが消えてから点くと、

前にいたはずの人達が消えている。


 俺はいつも通りのことだから、気にしないでおり

ていく。


 次に明かりが点滅すると、隣の人達が消えた。


 そして、俺は次の点滅が起きたと同時に、後ろを

振り返った。


 隣の列に並んでいた人達が消えていて、俺の後ろ

は全員無事だ。


「おせーよ」


 後ろの人がそう言って俺の横を通り、俺の後ろに

並んでいた人達も舌打ちをしてから抜かしていく。


 俺の視界が黒に染まって色を取り戻すと、俺は周

りを見渡して見るが、自分の他に人はいなかった。


(いつものことだ)


 俺はそう思って階段をおりていると、あと一歩で

階段が終わるところまできていた。


(ここからが怖いんだよな)


 俺は地面からうめき声が聞こえると、耳を塞いで

歩き出す。


 柔らかい肉を踏んでいる感覚が足に伝わり、駅の

地面とは違う感覚を味わう。


 不安定な足場を歩く度に、人が苦しんでいる声を

聞く。


 俺は駅のホームで、自分がおりる予定の階段に近

い乗車口まで歩くと、不安定な地面は途中で歩きや

すい駅の地面に変わっていた。


 電車が来るまで待っていると、電車のアナウンス

が聞こえて、数秒後に電車が来る。


 俺はすいている電車に乗った。


(人が少なくて椅子に座れる。ラッキー!)


 椅子に座れて運が良いと思ったが、俺は右手でつ

り革を掴み、椅子には座らない。


 俺のあとに滑り込みで乗ってきた人が俺の背後に

立つと、俺の柔らかい胸とお尻を触ってきた。


(いつものことだ)


 痴漢に体を触られても、俺は気にしない。


 俺は触られて自然と口から嬌声がでると、恥ずか

しくなって声が漏れないように、左手で口を押えて

痴漢が満足するまで我慢する。


「私の可愛い子猫ちゃん」


 俺は痴漢の優しくて綺麗な声を聞いて、脳に電流

が走った。


(現実とは違う怖い場所を通って不安になっていた

から、体を優しく触って現実だと教えてくれる。こ

の人が好き)


 目的の駅に到着すると、俺は震えた足で電車をお

りる。


 痴漢の人が俺の後ろをついてきて、階段をのぼっ

て改札口からでると、駅の構内から外へ出た。


 外はまだ雨が降っている。


 俺は家まで歩いて帰ると、痴漢の人が家の中まで

ついてきた。


 雨に濡れたので痴漢の人を気にすること無く風呂

へ入り、痴漢の人に体を洗われる。


 俺は風呂から出ると、ピンクのネグリジェを着て

ベッドの上でペッタン座りになった。


「これをみて」


 痴漢が五円玉に紐を通した物を見せてくる。


(ご飯を作って食べないと)


 俺はお腹を空かせていたが、五円玉を見ないとい

けないので、ご飯は後回し。


「私はお姉ちゃんだよ」


 五円玉が揺れると、俺の頭も揺れて俺の意識は飛

んでいった。


(俺に姉なんていたのかな?)


 俺は夢の中で疑問に思うと、お姉ちゃんが頭を撫

でてくれたり、お尻を叩いて揉んで撫でてくれた記

憶が入ってくる。


(お姉ちゃんがいたよね?)


(俺はお姉ちゃんが好きで……)


 夢が終わりを迎えると、俺はベッドの上で目を覚

ました。


(寝たのに体の疲れが取れてない。体が重い)


 さっきから誰かに胸を掴まれているのが気になっ

ている。


 顔を動かして後ろを見ると、寝ながら俺の胸を触

っているお姉ちゃんがいた。


(え? ってことは寝ている間ずっと体を触られて

たのかな? 俺の服と体が濡れてるから確定かな)


 俺は一人で風呂に浸かって寛ぐ。


 風呂から出て白いネグリジェに着替えると、お姉

ちゃんが起きていて、納豆と白いご飯、味噌汁と焼

き鮭さらに卵焼きを作っておいてくれた。


 俺は椅子に座ってから手を合わせて、用意された

ご飯を頬張る。


(おいしいぃ)


 美味しいご飯を食べたことで俺の頬が緩むと、お

姉ちゃんも喜んだ。


(そろそろ、仕事に行く時間か……)


 俺はご飯を食べてから食器を流し台に運び、白の

ブラウスと白いスカートに着替える。


 玄関で靴下をはいてから靴を履くと、お姉ちゃん

が仕事の鞄を手渡してくれた。


「いってらっしゃい」


 お姉ちゃんは俺に送り出しの挨拶をして、俺は言

葉の代わりに手を振る。


 俺がいつも通りの駅で電車に乗ると、満員電車の

中でつり革を掴む。


 いつも通りにお尻を触られたので振り向く。


 何故かお姉ちゃんが同じ電車に乗って、俺の体を

触っている。


 目的の駅に到着すると、俺は駅を出て会社まで歩

いた。


 そして、いつも通りの会社でいつも通りの仕事を

する。


 休憩中に親友であり同僚の子が俺に話しかけてき

た。


「疲れてるみたいだけど大丈夫?」


 俺は小さい声で大丈夫と答えて、優しいお姉ちゃ

んの自慢話をする。


「一人っ子で一人暮らしじゃないの? 両親と仲が

悪くなって一人暮らしだよね?」


 俺が親友の言葉を聞くと、お姉ちゃんはいると教

えた。


「今度紹介してよ」


 仕事中もずっと俺のお尻を撫でていたお姉ちゃん

を、前に出して誇らしげにする。


「その人は最近付き合い始めた恋人でしょ? 催眠

術ができるんだっけ? その人に気を付けた方が良

いよ」


 親友は何か言っていたが、うまく聞き取れなかっ

た。


 そして、休憩時間が終わり、俺はいつも通りの仕

事をする。


 仕事が終わる時間になると、俺の頭がグチャグチ

ャになって、帰る事以外は考えられない。


(帰らないと)


 俺はゆっくり歩き、いつもの道を通って帰った。

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― 新着の感想 ―
[一言] えーと……お姉ちゃんはお姉ちゃんじゃなくて、本当は男性なんですかね。 あれ? 主人公、俺って。 あ! 俺っ娘か! そうだ! そうに違いない! 読んでて恐怖です。 催眠術で心も体も操られる…
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