束の間の幸せ
皆様初めまして、サロメと申します。今日からこのサイトで自分が書いた作品や練習を投稿することになりました。外国人なので日本語の使い方は少し変かもしれませんが、もしそれでも読んでくれたら幸いです!初心者なんですがこれからも頑張ります!どうぞよろしくお願いいたします。
じゃ、早速本編へ、レッツゴー!
ーーー「すず、雨、ラムネ、夕焼け、そして映りだした君の笑顔。」
春の雨
私の妻は病気のせいで足は動けなくなりつつある、最近は車椅子やステッキを使わないと移動できないようになって、私は台所に立つ唯一の人だ。
施設行ってもいいと、妻が言った。
四月だった。
鈴は春風と共に舞い、一粒一粒の雨は人の心を引き、安心感を与える。
「できたぞ。」ご飯を出来上がった私は妻を呼ぶ。
「あ、はい。」窓の隣で緑を打たる雨を見る妻がゆっくり体を支え、ステッキでテーブルまで歩いた。
ご飯の途中、私は問い話した。「本当に行きたいのかい」と。
彼女はちょっと戸惑いに沈んで、微笑んで答えた。
「そんなわけでもないけど...」
「じゃ、私が家事やればいい。」
「えっ?」妻が少し驚いた様子で私を見つめる。
そう、私がやれば、妻はずっと側に居られる。
「任せとけ。」私は妻の目の中の不安に応えると、彼女はホッとした顔になった気がする。
そう、私が妻の代わりにやればきっと。
春の夜はいつもと同じく星が遍く、もし瞬きさえしなければ、とある有名な美術家の傑作として鑑賞できるのだろう。
「ね、あなた。」妻は眠れないようだ。白色に少し滲まれてる髪が川のように荒れた手まで流れる。
「ん?」彼女の目を見て、深夜の涼風に揺らされる鈴の清い声も聞く。
「ありがとうね。」彼女が感情込めて言った。
感謝、だけでなく、それぞれ異なる感情が込まれる一言のように。
妻の瞳は海の底。
風は鈴を遊ぶのは足りないと思うように、門の狭間を通してこっちまで吹いて来た。妻の髪も優しく踊る。
「ありがとうはこっちの言葉だ。」
些か涼しい春はいつの間にか暖かくなった気がする。
夢でまた会いましょうと、心で勝手に約束した。
その晩、妻が私と一緒に舞踏する夢を見ました、彼女は私と初めて踊った時と同じく、雪を欺けるような白さに染まり込まれた清雅なるドレスを纏い、軽いステップで美しい一線を踏みながら、私をそっと抱えた。
その瞳に映し出すのは、愛慕。
チクタクと地面と戯れるガラス靴の煌めきは純白色。
含羞む顔と寄り添う赤色が愛情深く。
私の胸を潤す、君の微笑み。
——————「君は美しかった。」
夏の遊歩道
囀りと隣り合う鬱蒼とした朝、露と繋ぎ合う浅色の薔薇は趣深いパノラマを紡ぎ出す。
まだ夢で遊んでいる妻の顔を撫でて、ひっそり一つの口付けを額に添えた。
ドアーは響かれ始める。
どうやら静寂なる夏の朝に、未知なる者からの訪れもあるようだ。
「あの、夢月さん?夢月さんいますか?」
男の人の声だ、彼はドアーをノックして、扉が開くまでずっと待っている。
前も何回ここに訪れ、名前は白瀬という背が高くてしっかりしている若者だ。
「ご無沙汰しております。」彼は礼儀正しく挨拶し、私に微笑む。
「おう、福利厚生からの方は私みたいなもうすぐ死神とお茶会するくらい衰えている老人に何のご用があるのかい?」私は冗談ぶりしながら彼を席まで案内した。
「そんなこと言わないでください、夢月さんはまだまだ丈夫ですから。」白瀬は席に座し、部屋の周りを見る。
「どうだい?私の部屋に何か希望に添えぬ点がおるのかい?」
「いいえいいえ、夢月さんはホントに冗談好きなんですから。」白瀬は笑って、元気の様子はまるで…
「ただ、やはりこの部屋ってきっと思い出がいっぱい込まれていますよね、何せ昭和時代から残した建築ですから。」
「そうだよ、ここには家族の記憶はすべて宿っている大切な場所だ。」
私にとって、この家と妻は人生に残している僅かな宝だ。
「お茶いるかい?入れてあげるよ。」
「いいえ、それはありがたいですが、調査をしたら離れますので、そこまでのもてなしはしなくても…」
「ハハハハハ、お前も一応ここの常連様だから、そんなに口を慎まなくても良いぞ。」
窓の外には、長い飛行で疲れ、のんびりと浮遊する白雲が遍く青空から降りて地面で食を探すハト;まるで夏の芳香を世間に伝わるように、満開の樹の枝に憩いを求める蝉は力入れて喚き、この季節だけの宛転なる歌を人々の心まで響き渡す;風鈴は夏の熱風に遊ばれる一方で、朝日に挨拶をかけるように体をもっと楽しく動き、その「おはよう」に応じて、朝日の光が優しく風鈴を包む。多分その情熱には耐えないでしょう、溢れた温かい日当たりが窓を通して私の顔を撫でる。
上がり花を手に持ち、透明なガラスに注がれた浅緑の液体を揺さぶりながら、私は白瀬を見る。
「で、本番をそろそろ言うところなんだが…私は譲れないよ。毎回も言ったが、例えどんなおいしい条件出しても私は行かない、同意もしない。」
「ですが…」
「心配していることは良いだが、私はまだそういう崩れそうな年ではな…」
「ホントにいいでしょうか?これで。」
白瀬は両手を握りしめる。
さぁ、どうだろうなあ。
「夢月さんは、これでいいんですか?」
彼の声は少し沈んで、苦しく聞こえる、まるであの子みたいだ。
あの二度と触れられない愛しい子よ。
「ああ、そうだよ、これで…」
これで十分。
「まだ知りませんでしたか?夢月さんの妻はもう…」
両手を更に強く握る白瀬。
「白瀬。」
「ですが!」
「もう結構だ、今の私は何も望んでいない、ただ昔の穏やかな日々をもう一度過ごしたいだけだ。」
そう、今の私は幸せだ、だからこれでいい、妻が側に一緒にいてくれるならもう十分だ。
二度と失いたくない、大切な物が二度と奪われたくない。
「クッ…」息を吞む白瀬。
「白瀬、ありがとう。でも君はここに来られなくていい、ここは君のあるべき場所じゃない。」
お茶がいつの間にか飲まれつくした。
彼が離れる際、あの子のお線香を。
「さようなら、白瀬夢月さん。」
妻の声が響き渡るまで、心の奥をそっと叩き込むような優しい最後の言葉が私の頭の中で漫遊する。
「ありがとうな、白瀬じゃないのに。」
「あなた?もう起きたの?」
妻がゆっくり体を支えながら、私の居場所を知りたいように、眼であちこち探している。
「あぁ、先ずは朝ご飯だ。」
朝、味噌汁の濃厚な味と納豆ごはんの風味が部屋に蔓延る。
「あら、おいしいね。」
味噌汁を飲むと、まるで雨の恵みを受け入れた花々のように、妻の顔にも一花が咲いた。
「お、うん、そうか、良かったね。」少し赤くなった私の顔では、喜びと安心感が満載している。
やはり、「いただきます」と「ご馳走さま」だけじゃ足りないんだよなぁ。
ご飯を終わり、当日の午後私達は公園の近くにある遊歩道でお散歩した。
樹々の緑葉は天然な暑さの避難所を作り上げ、自然の芳香が湧いてくる。熱烈な太陽光はその狭間を通し、光の斑となって煌めく。夏の風が吹いて、緑も光りも共に舞う。
妻は車椅子に乗り、この素敵で美しい光景を見て楽しみが溢れるくらい笑顔が綻びる。
「どうだい?こっちの風は。」彼女を見つめて、私も幸せになってしまった。
「あぁ、凄く心地良いわ、あなたと一緒にこういう静寂で気持ちいい時刻を楽しめるのは満足よ。」
「そ、そうか。」
嬉しいね、こう言われると。
「ねぇ、夢月くん。」
妻は冗談ぶりしながら、ふざけて昔私に対しての呼び方を真似して言った。
全く、相変わらずだな。
昔もそうだ。
愛想笑いが浮かべる彼女の顔とあのいたずらっ子の性格。いつでも自らの敏捷性を借りて鈍い私の不意を狙ってからかいする。そんな風にこの道で歩いていた二人の純粋な、ラムネ味日常だった。
「ねぇ、夢月くん。」と、彼女はいつでも私に言った。
今私の前の彼女はまさしく以前の可愛くて、大切なお宝。
あぁ、変わったのはただ…
「あなた?どうした?」妻は私のことを心配しているようだ。
妻の声は動かずただ佇んでいる私を目覚めらせる。
「なんでもないよ、あ、そうだ、ラムネはどうだい?」
「どうしたいきなり…」
「たまにはいいじゃないか?以前の時よく飲んだもんだ、今は懐かしい味を思い出すのにちょうどいい。」
車椅子を推し、私と妻はいっぱいお話しした、途中で止まって薫る花を取ったり、ぜみの歌声を聞いたり。
風と香りが遍くこの記憶の遊歩道で。
————————「夏というのはラムネ味だな。」
秋の夕焼け
一日の仕事は終わり、人々は次々と家に帰る。上司に罵られたサラリーマンでも、部活終了したら一緒に家まで付き合っている高校生達でも、子連れの母でも、皆は自分のあるべき場所へ向かってこの一日を終わらせようとしている。疑問なく、秋は農民以外の人に対しては憂鬱の季節だそうだ。
私と妻はベランダで夕焼けを観賞する。
すべての景色はコーヒーが満ちるティーカップに移し込む。
カラスは哀れそうに嘆く、まるでこの秋めく日々に命のエレジーを捧げ、ただでさえ悲しい季節をもっと重くさせるように。
もしこの時に雨が降ったらきっと絶景になるだろう。
茫漠たる秋空、目的なくあちこち彷徨う夕雲は温かい薄紅色。
枯れる落ち葉は既に命が失われ、ただ秋風に弄ばれるのみ。
西の夕日は煌びやかな黄色、ゆっくり落ちる様子は昔の精力が衰える老人みたいに、或は衰弱しつつある王国の結末。
だが、もうすぐ棺桶に踏む太陽は孤独の存在に非ず。
子供の嘆き、詩人の悲しき口ずさみ、すべては陪葬品。
夕焼けは葬送の羽衣、オレンジ色を纏い、太陽と一緒に漆黒に沈む。
例えどんな結末が待っていても、悲しみはない、あるのはただ新たな出会いの期待。
「いい景色だ。」妻は言う。
「そうだね、秋だって美しいのう。」私は妻の顔に見つめ、つい笑った。
コーヒーの苦さはちょうどいい、わたしの心に溶け混ざる。
「なぁ。」
「なーに?」妻はまだそのあまりにも美しい夕焼けを見ている。
「あんたは似てるね。」
「何が?」
「夕焼けと似てるよ。」
「嫌だね、こんなおじいちゃんになってもよく言うね。」
妻の顔も赤くなって、宛ら落日。
あぁ、君は夕焼けだよ。
——————「そして私は秋の虜囚。」
冬の舞踏
「ねぇ、踊りましょう。」
外は雪が降っている、それは天使の翼と同じ潔白に染め、世間に尋ねる。子供が作ったスノーマンが笑顔を綻ばせ、この純白の世界に挨拶を。街に歩いているカップルはペアのハンカチーフを着用しながら、恋の火花を生み出す。冬日は夏の時には及ばないが、その放たれた光が凍える心を解かせるだろう。
部屋内、典雅な香りが燃える柴から生み出し、片隅まで満ちていく。
でも、いくら良い香りも今の私の心を落ち着かせない。
「なんだって…?」
「だから、踊りましょうよ。」妻がねだる。
「そっか、あんたが踊りたいの?」
「そうよ、昔みたいに。」
彼女は支障なく、自然に佇んで私に手を伸ばした。
「一緒に踊りませんか?夢月くん?」
一瞬で頭のなかで走ったのは数年前の妻も模様だ。
「夢月くん、私と踊りませんか?」
その記憶で最も印象深い一言が私の愛を引く。
胸が鼓動し始めた、犇めきたぎるわたしの思いはしがらみを乗り越えようとしているように、どんどん強く響いていく。
顔が火照る、焼かれるように。
そう、私は初めてから、こんなに君のことが好き。
好きだった、そのはずなのに。
「あなた。」妻が笑い、私の手を繋いだ。
「あぁ、舞おう。」
だがこれでいい。例え夢でも、例えこれが束の間の幸せでも、私は信じる。
どこから古典な舞曲が演奏し始まり、そのリズムに乗って、二人が踊る。
二人は一歩一歩舞い上がる、美しい線を描き出す。妻の顔は薄桃色、私を楽しませる。
ちょっと下手な歩法をしながら、私は目の前の妻を見つめる、いつの間にか、彼女は若くなって、やがて少女の様子に。
私は驚かず、丁寧に彼女を抱えて、そっと踊る。彼女は徐にステップを踏み、微風と共に愛しい愛慕を示す。
時は熱烈、まるで燃え上がる炎;時は優雅、迸る情熱を秘める赤バラが如く。
舞踏の些細な音は釣り鐘のチクタクと合わせて絶妙な旋律を編み込む。
やおらやおら、君と過ごしたすべては私の目の前に走っていく。
窓の外では、満天の綺羅星が煌めく、ゴッホの星空より美しく末永く。
夜は長く、しかし永久ではない、だからせめて。
——————「今宵の舞台は私とあなた二人だけで。」
読んでくれてありがとうございました。いかがでしょうか?もし感想があったら是非是非教えてください!
初めての投稿なので未熟なところがいっぱい存在しているものの、これからも頑張ります!
この小説の内容は基本的に「私」と妻の日常生活ですけど、実は妻は既に他界し、悲しみで仮想の妻を作り上げ、彼女と一年生活した。
物語の最後、「私」はようやく真実に向き合い、妻と一緒に最後のダンスした。
こういう日常の暖かさと些か悲しさが感じられる作品を書いてみました、もし好きになってくれたら嬉しいです!!!