生活は大事
生活道具を求め、村を歩く。
そういや、キッチンに調理道具があったか確認してなかったな。
どうしようか。
「・・・・・・」
何か食わなきゃな。
あるのは雑草と肉か、やばいよな。
ギルドに行く時に通った居酒屋が目に付く。
あそこにするか。
居酒屋の暖簾をくぐり、戸を開ける。
「いらっしゃい」
どうやら、居酒屋の盛り上がりのピークは過ぎて、居酒屋は静寂に包まれていた。
カウンターを挟んで二人のおっちゃんが静かに酒を飲み交わしていた。
二人の視線が刺さる。
「やってますか」
「ああ、やってるよ」
「安くて腹にたまりそうなの、ありますか」
「ああ、小人の腹ぐらい満たしてやるさ、任せとけ」
「あっですよね」
小人だったの忘れてた。
いや、そもそも小人だと必要な食事量が減るのか。
「おう、こっち座りな」
「ありがとうございます」
「何にするか。ん~、安くて腹がたまるのだろ。
唐揚げ定食でいいか。
ウサギの唐揚げとサラダ、スープにごはんでどうよ。
280Gだが、小人サイズで200Gでいいぞ」
200Gだと、安い。
しかも、まけてくれるなんて。
「お願いします」
「おう、待ってろ」
おっちゃんは、鍋に火を入れ、野菜を切り始める。
待つ間にメニューを開き、ヘルプから知らない情報を集める。
おっちゃんが唐揚げを揚げ始める。
数分、のんびりした時間が流れる。
「待たせたな」
「おおぉ」
大きい唐揚げと山盛りのサラダ、どんぶりに盛られたごはんとスープ。
どんぶりと言ったが小人から見たらって意味で、普通のサイズだ。
サラダから箸をつけ、口に放り込む。
シャキシャキしてて、新鮮なのかな。
次に唐揚げに狙いをつける。
俺が小人だからか、一口では収まらない大きさだ。
これは、食べるのが好きな人は小人にした方が得だな。
唐揚げにかぶりつく。
・・・・・・美味い。
最高だ。
スープはどうかな。
うん、…普通に美味い。
全部美味い。
料理上手なんだな。
このおっちゃん。
結構、量が有ると思ったけど、気づいたら大きかった唐揚げも最後の一口だった。
「うまかった」
「おう」
財布から200G取り出し、カウンターに置く。
「まいど、また来な」
「はい」
居酒屋を出て、道を歩く。
200Gであの満足感、最高だ。
「さて、どうしようかな」
悩みながら道を進み、開いてる店を見る。
「あっ、ここかな」
雑貨屋を見つけ中に入る。
「いらっしゃいませ」
お店には羊の獣人のおねぇさんがいた。
この店は、商品が棚に並べて置いてある。
食器や調理器具、生活用品が置いてある。
「ん~」
そこから石鹸とタオルを買うことにした。
石鹸 50G
タオル 100G
石鹸は服用と体や手を洗うもの合計三個とタオルを三枚買い450Gをおねぇさんに渡す。
お金が心もとなくなってきたな。
所持金総額108G
「金がない、ひとまず家に帰るか」
雑貨屋さんは、家に近かったようだ。
家に着き、ドアノブをまわして扉を開ける。
ガタッ「あっ鍵」
鍵を開け、今度こそドアノブを回して扉を開けて中に入る。
暗い廊下を進み、風呂場に向かう。
「あ~、忘れてた」
昨日、使ったまま放置していたタオルを見つけた。
「タオル洗わなきゃ、後にするか」
タオルと石鹸を置いて台所に行く。
台所の電気をつけキッチンを探る。
皿が二枚と箸が一膳、スプーンとフォークが一つずつある。
調理器具はまな板一枚とフライパンが一つだけあった。
「買わなくって良かったな。ま~、正確には、買えなかったんだけど」
石鹸置いて電気を消して台所を出る。
昨日使ったタオルを洗うため、再度風呂場に行く。
数分後、タオルを洗い終えて、寝室に向かう。
寝室の電気をつける。
「あっ、ニワトリどうしようか」
ニワトリはまだ寝ているようで目をつむっている。
いつ起きるんだ。
せっかく捕まえたから連れてきたけど、今日は早くフィールドに出て、Lv上げをしたいんだよな。
このニワトリに時間を掛けたくない。
家にこのまま放置しててもいいのかな。
食い物が無いけど。
「……」
逃がすか。
でもな自分でタオル持ってきて巣にするぐらいだしな。
コイツ頭良いんじゃないか、このままペットにするのも有りな気がする。
どうしよう。
ニワトリって何喰うんだ。
肉と雑草しかないんだけど肉食うかな。
雑草でもいいのかな。
でも、やっぱり穀物系だよね。
連れてきて餓死させるわけにはいかないからな。
てか、コイツ、オス、メスどっちだ。
メスなら、卵が確保できるけど・・・。
「ん~」
改めてニワトリを観察する。
立派なトサカに羽は茶色がメインで端の方が黒い。
だから何だって感じだが
「困った・・・・・・そうだ、鑑定してみよう」
ニワトリを鑑定する。
どうやら、こいつはオスらしい。
って立派なトサカがあるし、オスに決まってるか。
だが性別がわかっただけで何の解決にもならなかったな。
ひとまず、起こしちゃうかもしれないから電気消す。
前にハンガーにタオルを掛ける。
今度こそ、電気を消して部屋を出る。
そのまま家を出る。
玄関の扉にもたれ掛かって、考える。
「ん~、そもそも、クエスト対象じゃん」
気を使う必要はないか。
家に戻り、部屋に戻りベットに寝っ転がって寝るを選択する。
ウィンドウには何時間寝ますかと出る。
ニワトリが起きているだろう1時間後を選択する。
まぶたが勝手に閉じる。
今度は5秒もたたずにまぶたが勝手に開き、部屋の天井が見える。
部屋はまだ暗いが窓から光が入っていた。
隣を見るとニワトリは居なかった。
どうやら起きたようだ。
起き上がりニワトリを探す。
「居た」
ニワトリは廊下を歩いていた。
「コケ」
「おはよう、じゃぁ、早速いくぞ」
ニワトリを抱えて門に向かう。
門を抜けてフィールドに足を踏み入れる。
ニワトリを放す。
「さらばだ、ニワトリ」
「こけ」
「そうだ自由だ」
「コケ」
「じゃあな」
ニワトリは林に向かい歩き出す。
「さらば」
また捕まえればいいしな。