いざ、フィールドへ
門の前に立つ。
門は二枚扉、村を囲うように3mほどの柵が建てられている。
門に近づき触れる。
するとウィンドウが現れる。
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外の世界に向かいますか。(オンラインしますか)
フィールドに出ますか。
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オンラインは、体にもう少し慣れてから行こうと思う。
フィールドを選択する。
門がゆっくりと開き始める。
「いざフィールドへ」
の前にステータスチェックしとこ。
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名前 イカダ 男 Lv1
種族 ダブル〔 小人・獣人【狼】 〕
身長 (75㎝)
ステータス
HP 90 MP 10
攻撃 9 防御 8
魔攻 8 魔防 10
素早さ 18
運 22
適正属性 土 風
身体能力
視力 Lv 1 聴覚 Lv10
嗅覚 Lv 1 声量 Lv 2
握力 Lv20 腕力 Lv20
肩 Lv 1 器用 Lv 5
体幹 Lv 5 腹筋 Lv 1
腰 Lv 1 健脚 Lv10
跳躍 Lv 8 体力 Lv 5
柔軟 Lv 5 バランス Lv 5
寒冷 Lv-3 温暖 Lv-6
スキル (6P)
土魔攻見習いLv1 風魔法見習いLv1
種族特性
素早さ1.4倍
聴覚1.2倍 嗅覚1.2倍 跳躍1.5倍
握力1割減 腕力1割減
気配(小) 変化(狼)
装備
訓練用短鉄剣 攻撃力 137
布服 防御力 3
布長ズボン 防御力 5
布靴 防御力 6
収納指輪
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「ヨシッ、いざ」
気合を入れて、門をくぐり、フィールドに足を踏み入れる。
フィールドは林だった。
高さのある木が間隔をあけて生えて、視界が開けている。
門を出たまま、まっすぐ進み林に入る。
林は歩きやすく、気持ちも昂る。
小走りしながら辺りを窺う。
林に入り10分、大事なことに気づいた。
どれが薬草だ。
ちらほらと葉の形状が違う雑草が散見する。
「どうしよう」
ひとまず、それっぽいのをイベントリに入れるか。
目に入った草を引っこ抜きイベントリに収納する。
イベントリを確認すると【謎の草】とでてる。
うわっまじか。
どうしよう。
鑑定のスキルを取るか。
いやっ、でも風と土の魔法のスキルを取ったけど使い方がわからないだよな。
そういや、案内AIもスキルを覚えるだけじゃダメって言ってたし、ギルドにいたおっさんも本が要るみたいなこと言ってなかったっけ。
「あっ」
ウサギの解体はどうすれば…。
「……」
無理っぽかったら、イベントリにそのまま入れよう。
入るかな。
今、そんな心配しても意味ないな。
さっ、探すぞ。
林を進む。
林を真っ直ぐ、進んでいると雰囲気が少し変わった。
メニューを開きヘルプを見る。
フィールドにはエリアが割り振られてるみたいだ。
村や町・都市を中心に基本円形状に広がっていく。
村の周囲はエリア1、堺を超えるとエリア2に入ることになるようだ。
今、受けてるクエストはエリア1で済むはずだから、行く必要はない。
故に右に回る。
「あっ」
地図を忘れた。
しょうがない。
自分の方向感覚を頼りに、方向を変えるときは村の方向を確認して進む。
真っ直ぐ進んできたおかげで迷子にはならないと思う。
その間もよく見かける草、見かけない草関係なく、イベントリに収納する。
救いは何の草かわからなくてもイベントリが同じ草ごとに仕分けしてくれていることだ。
品質を考え、短剣の鞘で草の根の周りを掘ってから、程よい所で回収する。
草集めもいい加減、飽きてきたころ灰色のウサギっぽい、生物を見つけた。
ウサギっぽい生物は一匹で草を食っている。
ぽいが付くのはゲームの世界なのとピントが合わないからだ。
種族特性に気配(小)がついてるが、やっと見つけたウサギを逃したくはない。
慎重に行こう。
息をひそめ、右手に訓練用短鉄剣を持ち構える。
火力はないが、素早さ特化。
首を狙えば確実に行けるはずだ、ウサギの耳が向きを変えた瞬間に静かに尚且つ素早く走る。
ウサギが気づいた時には、切っ先が脇腹付近を捉えていた。
首を狙ったのだが外した。
まぁ初戦一撃で沈めることに成功したから結果オーライなのだが、血の飛沫から感触まで結構リアルだった。
……よし気持ちを切り替えて解体するか。
か・いたいする。
そうだった。
忘れてた。
解体どうしよう。
やったことね~。
ひとまず、血抜きだよな。
ウサギに訓練用短鉄剣を突きつける。
するとウィンドウが現われる。
ウィンドウには選択肢が書かれている。
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オート
マニュアル
オリジナル
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「おぉ、救いよ」
真っ先にオートに選択する。
すると体が勝手に動き早送りのようにウサギをさばき終わる。
イベントリを見るとウサギの肉が入っていた。
肉かよ。
でも何とか解体の問題は解決したな。
それからも森をさまよいウサギを13羽狩ることに成功し毛皮を5枚、肉を8切れ獲得した。
クエストのウサギの毛皮を確保したから、今はニワトリを探して森を進む。
「居ないな、ニワトリの方が見つかりやすそうなのにな」
見つかれないストレスをぶつぶつと文句を吐きながら解消していると。
ドサッ
後ろから物が落ちた音が、……後ろを向く。
蛇がいた。
結構な大きさの蛇、ってか俺より大きい1~2メートルほどの黒い蛇がいた。
蛇は、こちらを見据え舌をぺろぺろしている。
どうしよ。
一応訓練用短鉄剣を右手で抜き構える。
蛇と見つめ合い始めて数秒。
先に動いたのは蛇の方だった。
顔を引いたと思った瞬間に蛇の開いた口が目前に迫っていた。
なんとか転ぶように避けて、蛇に視線を向ける。
蛇は伸ばしきった体を巻き、とぐろを作る。
「クソッ」
どうする、今までは不意を突いての一撃だったからな。
しかも相手はウサギだったし、初バトルだな。
スピードに任せて首ねらうか。
「いくぞ」
小さく呟いて右手に持った訓練用短鉄剣を握りしめて、走り出す。
グザッ
「ヨシッ」
蛇は顔を引いたが、その時には訓練用短鉄剣が首を捉えていた。
蛇は訓練用短鉄剣で斬り付かれた衝撃で後方に吹っ飛ぶ。
蛇は顔を倒し寝転ぶ、首元は酷く抉れている。
頭を切り飛ばすつもりで斬りつけたが、訓練用短鉄剣の切れ味の問題か、太刀筋か、それとも両方かな。蛇の鱗に阻まれ斬り飛ばすまでには至らなかった。
蛇にゆっくりと近づく。
近づいても蛇は動かず、沈黙している。
警戒を解かずに首元の傷口に駄目押しの一撃を加える為に訓練用短鉄剣を振り上げる。
タイミングを見計らっていたのか、蛇が僅かに動く。
「ぐっ」
気付いた時には蛇が尾を振り払い。
俺の胴体を捉えていた。
吹き飛ばされて倒れる。
「いって」
顔を上げて蛇を見ると、蛇は顔を上げてこっちを睨んでる。
すぐに立ち上がり、反省する。
クソッ噛みつきばっかり、警戒してた。
警戒のし過ぎで体が硬くなって反応も遅れた。
蛇は傷が酷いらしく、フラフラしている。
フラフラしながらも、睨む様は流石である。
再度走り、数歩手前で思い切りジャンプする。
蛇を超え後ろを陣取ると即座に向きを直し、蛇の傷口に今度は斬るのではなく突きをみまう。
グサッ
傷口を狙ったおかげで鱗に阻まれる事もなく、訓練用短鉄剣が蛇に深く突き刺さる。
蛇は今度こそ完全に沈黙する。
「やったか、フゥゥーー」
大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
「ダメージは」
ステータスを確認する。
90あったHPは60になっていた。
しかし少しずつHPが回復していく。
「HPは回復するのか、ラッキーだな」
蛇に訓練用短鉄剣を突き刺す。
ウィンドウが現れ、選択肢が表示される。
オートを選択する。
アイテムは蛇の皮だった。
敵が上にも潜んでる可能性が出て、上にも視線を向けながら、ニワトリ探しを再開する。
ニワトリ探しを再開して、10分ニワトリを木の上で見つけた。
「なんで木の上にいるんだよ、日も落ちてないのに」
小さく呟き、どう捕まえるか、考える。
ニワトリがいる木の高さは7メートルはある。
ジャンプでは届かない。
7メートルも離れてるのに、なんで気づけたのか、それは聴覚に10振っていたおかげだ。
にしてはさっきまで気づいてなかったとは言わないでほしい。
だってニワトリだよ、地面つついてると思うじゃん。
すごいタイムロスだったが、ニワトリは7メートルは上にいるわけで手詰まりだ。
石を投げようにもLv1だしな。
試しに石を投げてみたけど届かない。
けど、思ってたより飛距離あるな。
軽ければ飛距離は伸びるのか。
届かないから意味ないけど、どうしよう。
訓練用短鉄剣を抜き、足場にしようと木に突き刺すが力が足りず刺さらない。
「ん~、あっ」
剣を急いで確認する。
見た感じなんとも無かったみたいだ。
こんなとこで刃が潰れたりしたら大変だ。
訓練用でも丈夫だな。
いや、訓練用だからかもな。
気をつけよう。
スピードを生かすか。
石を持ち木から距離を取る。
ニワトリは気づいてるっぽいが逃げもせず動かない。
見とけよ。
距離を取って助走をつけ木に向かって走る。
木に迫るとジャンプし、さらに木を蹴ってより上にジャンプする。
そこから狙いを決め石を投げる。
「コケっ」
「見たか」
運良く石を当てることが出来た。
石を当てられると思ってなかったのか、石を当てられたニワトリは声を上げ。
その声に他のニワトリが反応する。
ニワトリは三羽いたらしく、木の上から羽を広げ飛び立つ。
「あっ、まて」
一番近くのニワトリを追いかける。
10メートル以上滑空したニワトリが地面に着地すると、そのまま走り出す。
「だから、待て、逃げるな」
ニワトリとの追いかっけっこは、十数分掛かった。
休んでは、走るを交互に繰り返したが、とうとう終わりを迎える。
「こけ~」
足を止めたニワトリにダイビングキャッチが炸裂する。
ニワトリは走り疲れたのか声に力がない。
両手でニワトリを持つ。
「ヨシ、あと二羽だな・・・」
両手で持つニワトリを見る。
「・・・無理じゃん」
両手が塞がってる。
これまでの失敗を思い出す。
テンションが上がって冷静さを欠いたな。
反省だ。
「はぁ~、帰るか」
ニワトリはせっかく捕まえたし、持ち帰るか。
「どっちだ」
ニワトリを追いかけまわした結果は迷子だった。
林を見回すと、僅かに地面にニワトリを追いかける時に付いたであろう足後が・・・。
「ラッキー」
足跡をたどる。
「ん~」
「こけっ」
「シッ、静かにして」
小人故か体重が軽すぎて、足跡の付きが悪い。
「やっとか」
何とか足跡を追いニワトリを見つけた木の下に辿り着く。
木にはしっかり、訓練用短鉄剣で付けた新しい傷がある。
迷子になると目印がこんなにも大事なんだと実感するな。
たまたまだけど。
記憶を呼び起こし、大体の村の位置を掴み、歩き出す。
「だるっ」
足が重く感じる。
「なんなの」
足を止めて足を見る。
見た感じ異常はない。
また、歩き出すがまだ重く感じる。
「なんなの、もう」
ニワトリを抱えたまま、地面に座り込む。
靴を脱いで足を見るが、見た感じ問題はない。
ステータスを確認するが異変はない。
「フフッ」
だけど、HPが90になってる。
これで、蛇の最初で最後の攻撃は跡形もなくなったな。
靴を履きなおし原因究明の為、身体能力を見る。
「これか」
目についたのは健脚だった。
10振ったが足りなかったようだ。
原因も分り、村へと歩みを進める原因が分かればあまり気にならない。
・・・・・・嘘、気にはなるけど我慢するしかない。
日も落ちてきて失敗も色々したがとうとう終わり、柵が見えてきた。
向き合ってた。
どっち行くか、門は右か左どっちが近い。
右に回った時がこんぐらいの角度だったから、わからん・・・・・・左だ。
勘を信じて進む。
勘はまたしても当たり、門が見えてくる。
「流石、俺」
門に触れる。
門が開き、門をくぐる。
「今日はもう、帰って寝よ」
ギルドには寄らず、自宅に帰還する。
クエストにはGランクだからか期限は設けられていない。
自宅を見つけ扉を開く。
鍵閉めてなかったな。
ゲームだから、防犯対策とか無くてもいいのかな。
・・・あっ、鍵穴あるじゃん。
鍵は・・・・・・。
家に入り扉を閉める。
ニワトリを置き、靴を脱いで鍵を探す。
「あっ」
鍵はすぐに見つかった。
てか扉に二つ掛かってた。
「おぉ~、ドジ」
「コケ」
ニワトリは廊下を歩き出す。
「自由かっ」
扉に掛かっていた二つ鍵と訓練用短鉄剣をイベントリに収納してニワトリを捕まえて、風呂場に向かう。
風呂場にはシャワーが完備されていた。
小さな棚には四枚のタオルがある。
お湯もしっかり出てきた。
服を脱いでニワトリを軽く洗いタオルで拭く。
そして、自分の今日の汚れを洗い流す。
服を洗い、体を洗う。
服と体を洗い終え、タオルを手に取ると、三枚あるはずが二枚になっていた。
「ふむ、謎」
体を拭き、最後の一枚を腰に巻いて、洗った服を持って寝室に向かう。
寝室に向かうとベットにニワトリがタオルで巣を作って寝ている。
「せまっ」
ニワトリがベットに寝ていて気づいたが、このベットは小人サイズだ。
クローゼットを開く。
洗った服とズボンをハンガーを通してハンガーをタンスに掛ける。
アイテムボックスに近づき触れる。
イベントリに収納した鍵を一つ出してアイテムボックスにしまう。
それから蛇の皮、ウサギの肉をしまう。
アイテムボックスを閉じ、ベットに転がる。
ウィンドウが現れる。
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ログアウトしますか(時間はリアル進行です)
ベットで寝ますか (何時間後にスキップしますか)
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と文字が浮かぶ。
ログアウトの文字に触れる。
目が勝手に閉じ、暗闇に包まれ、ログアウトしていますの文字が浮かぶ。
文字が消える。
目を開ける。
「ふー」
見慣れた部屋だ、時計を見る。
キャラクタークリエイト始めてから、11時間経過していた。