大地立つ
「あの、大丈夫ですか?」
呆れているような、心配してるような、案内AIの声が部屋中に響く。
「あっ、あ~忘れてください」
顔を赤くし、下を向く。
「では、最後に所属する国を選んでください」
案内AIは何もなかったかのように進行する。
「はい」
恥ずかしい気持ちを隠す様に、ウィンドウに目を向ける。
_____________________________
中央大陸 中級
素材もモンスターも平均的。
アバレタン王国
中央大陸の右側に位置する
ヒューマンが治める国、この国ではどの種族も平等に暮らし生活する。
アバレタン帝国
中央大陸の左側に位置する
アバレタン王国から独立ヒューマンが治める国、ヒューマン至上主義
_____________________________
左上大陸 上級
生息するモンスターは多種多様で強力。
オニヒ国
左上大陸の右下側に位置する。
鬼人が治める国、タツノヒ国との戦争と言うなの喧嘩が大好き
タツノヒ国
左上大陸の左上側に位置する。
龍人竜人が治める国、オニヒ国との戦争と言うなの喧嘩が大好き
_____________________________
左下大陸 中級
植物系の素材が豊富。
リーフ王国
左下大陸の左上に位置する
エルフが治める国。魔法・魔道具の研究が盛ん
ホープ魔導国
左下大陸の右上に位置する
魔人が治める国。魔科学・料理が盛ん
カザス王国
左下大陸の下側に位置する
獣人が治める国、畜産が盛ん
_____________________________
右上大陸 中級
鉱石が豊富。
ジンスタン国
右上大陸の上側に位置する
巨人が治める国、
ドドワ国
右上大陸の下側に位置する
ドワーフが治める国、鍛冶が盛ん
_____________________________
右下大陸 下級
モンスターの種類が少なく弱い。
多くの動物が生息している。
ムルーララ神国
右下大陸の右下側に位置
神龍を崇める
コーラリア連合国
右下大陸の左下側に位置
小人が治める国が連合を組んだ
_____________________________
海中 上級
バルキーオ海王連合国
魚人が治める国が連合を組んだ
各大陸に港を持ち海の中に国がある
_____________________________
「ん~、大陸は行き来できるんですか?」
「はい、行き来する手段はあります」
行き来出来るんなら、最初だし、平均的な中央大陸にするか。
「なら、アバレタン王国でお願いします」
「わかりました。
あなたが今から降り立つ村はソロプレイ専用のオフラインエリアになります。
村の門に触れると外の世界に行けます」
「わかりました」
「それでは、いってらっしゃい」
白い光に包まれた後、暗転する。
目を開けるとそこは既に部屋の中だった。
部屋を見渡す。
木造作りの部屋だった。
部屋には、ベットとクローゼットに大きな宝箱が置いてある。
大きな窓から外が見える。
廊下に繋がる入口が一つある。
「ふふっ、長かった。楽しむぞーー、アハハアハハハハハ」
ピーンという効果音と共にウィンドウが現れる。
【チュートリアルクエスト メニューを開こう】
クエストをタッチすると詳細が書かれていた。
「メ二ュー」
書かれていた通りにメニューと声に出す。
するとウィンドウが現れる。
メ二ュー____________
財布
ステータス 身体能力 スキル
装備
イベントリ 本棚 地図
クエスト
フレンド チャット メール
メモ帳
ヘルプ
設定
ログアウト
_________________
ピーン 【チュートリアルクエスト メリューを開こう クリア 】
チャリン 【500G 入手】
「おお、えっ終わり次は」
次のクエストが現れず仕方なくメ二ューをチェックする。
財布には500Gが入っていた。
装備は茶色い布服に黒い布の長ズボン、茶色い布靴、イベントリと連携している指輪。
この指輪はメニューを開かずにイベントリを使うことができるみたいだ。
イベントリには30マスある。
1マス5個まで、少ないな。
「あっ違ったわ」
5キロか、訂正5キロ荷物が詰めれるみたい。
本棚には5冊まで収められるみたいだ。
クエストには三つの欄があり同時に三つ受けることが出来るようだ。
「ん~~」
メニュー確認をしながらベットに腰かける。
「うぉ」
ウィンドウが現れる。
【寝ますか】の文字が書かれている。
いいえを押して確認を終えたメニューを閉じる。
ベットから立ち上がり宝箱に触れる。
「こっちは何かな」
宝箱が開き、3枚のウィンドウが現われる。
ウィンドウの上にアイテムボックスと書いてある。
ウィンドウ一枚一枚に横10縦20のマスがある。
一枚にアイテム200種類仕舞える様だ。
「こっちは重さの制限は無いみたいだな」
クローゼットに近づき、開ける。
クローゼットの中にはハンガーが掛かっていた。
部屋を出て、廊下に出る。
廊下には、3つの扉が見えた。
廊下を進む。
突当りに1つの扉があって、その手前の左右に扉があった。
左右の扉を覗くと、右はトイレと風呂場だった。
左にはキッチンがあった。
確認を終えて廊下を進む。
「ここは」
突当りの扉を開けると外に出た。
昼だな。
時間軸はリアルと同じなのかな。
後ろを振り返る。
家は周りの家より少し小さく分かりやすい。
家の場所を頭に叩き込む、迷子は嫌だからな。
周りを見渡す。
一応、メモしておこう。
村は中央に大きな道が一本あり、道を挟むようにに木造の家が立ち並ぶ。
道の先を見る。
「門ってあれかな?」
ぼんやりと門が見える。
反対の道先には、周りより少し大きい家が建っている。
村を歩く人を見るとデカく感じる。
小人を選んだことを再認識する。
さて、どうするか。
ピーン 【チュートリアルクエスト ギルドに登録をしよう】
ウィンドウが現われる。
文字をタッチし詳細を読む。
このゲームには、冒険者ギルド・生産ギルド・商人ギルドの3つのギルドがあって、プレイヤーはどれかのギルドに入りギルドカードを入手する必要があるらしい。
ギルドカードは身分証になるみたいで、それがないと他の町や都市に初めて入る時に身分証明が出来ずに入れなくなるようだ。
また、武器や道具にも規制が掛かるらしい。
冒険者ギルドは、素材採取やモンスターの捕獲、討伐、生態調査がメインのクエストが受けられる。
看板は盾を後ろに剣と槍が交差している。
生産ギルドは、生産メインのクエストが受けられる。
看板はトンカチとビーカー
商人ギルドは、商売メインのクエストが受けられる。
看板は馬車にお金の絵が描いてある
「じゃあ、冒険者ギルドに行くかな」
冒険者ギルドの看板を探しながら歩く。
村だからか、人が少ないおかげで小人でも周りを見て歩く余裕がある。
ただ小人からするとヒューマンでも十分大きいから、これ以上増えたら視界を確保するのが大変になりそうだ。
視力も眼鏡やコンタクトがあるわけじゃないから近寄らないとピントが合わないし、なる早でLv上げないとな。
「おっ、あった」
冒険者ギルドは門の近くにあった。
冒険者ギルドに入るとカウンターに3人いる。
見た目受付嬢らしい人が2人とガタイのいいおじさんがいる。
カウンターに近づくが、カウンターが高い。
カウンターの下に足を掛けられるバーを発見した。
足を乗せ手を付け体を持ちあげることができた。
「あの登録したいんですが」
「はい、登録ですね」
黒髪の可愛らしいギルドの職員さんに話しかける。
「こちらのウィンドウに手をパーにして押さえつけてください」
ウィンドウが現れる。言われた通りに手を出てきたウィドウに押さえつける。
「何か、書いたりしないんですか」
「このウィンドウは触れた相手のステータス情報と遺伝子情報を読み込んでいるので、必要ありませんよ」
10秒ほど押さえつけると。
「はい、もういいですよ。登録が完了しました。少々お待ちください」
「わかりました」
ギルドの職員さんがカウンターを離れ奥にある扉を開けて奥に消えていく。
時間つぶしにギルド内を見ていると、ガタイのいいおじさんが近づいてくる。
おじさんは短髪で顔だけ見れば迫力のない顔だが、身長差でか近付かれると迫力が増してちょっと怖い。
「よう、新入りか?」
平常心を装いながら、というより強がりを発揮して。
「登録しに来たんだから新入りなのでは?」
「ハハッそりゃそうだな。コレ使いな」
そう言って、おじさんは手に持っていた台を地面に置く。
上しか見てなくて気づかなかった。
優しい人だった。
見た目で判断しては駄目だな。
イヤ、見た目で判断したわけではない。
ちょっと怖くて、テンパっただけだから小人の目線に慣れてないだけだから。
そう、テンパっただけだから。
いやっ、元をただせば見た目にビビった結果か。
認めよう。
反省。
そして感謝を。
「ありがとうございます」
「おうよ、なんか質問はあるか。相談に乗るぜ。……暇だし」
「ん~~?」
質問か。
なんかあるかな。
「あっ、クエストはいくつまで受けれますか」
「おう、三つ同時に受けれるぜ」
終わってしまった。
ってか、メニュー見た時に確認したばっかりだし。
どうする。
どうすれば…。
何か・なにか・なにかないか。
「あっ、お名前は…。俺はイカダと言います」
「おっ、自己紹介してなかったな。俺はギルバーってんだよろしくな」
「よろしくお願いします」
「もう聞きたいことはねぇか」
「そう、あっ、イベントリにある本棚は何で別になってるんですか」
「本棚か、あれはな本棚に収納した本の内容を本を開く必要なく読むことが出来る様になるんだ」
? が増えたな。
「ほほう、どういうことですか」
「ん~、いざ説明となると、そうだ、お前は解体できるか」
「解体ですか、モンスターとかのですか」
「そうだ」
「できないです」
「そうか、じゃあ、解体で説明するとだな。
解体にはオート、マニュアル、オリジナルの選択肢があってだな。
解体の専門書を収納していると、マニュアルを選択したとき解体手順を教えてくれるんだ。
わかったか」
「スキルは必要ないんですか」
「スキルがなくても大丈夫だが、常に本を収納してないと情報を呼び出せないぞ。
しかし、本と同ランクのスキルが有れば、一度でも得た情報は本を収納してなくても、何時でも情報を呼び出す事が出来るようになる」
「なるほど、わかりました」
「ホントか」
「あの、よろしいでしょうか?」
いつの間にかギルドの職員さんがカウンターに戻ってきていた。
「おう、来たか。またな」
ギルバーは自分が持ってきた台を指さし去っていく。
「では、また」
ギルバーが持ってきた台の上に立つ。
「お待たせいたしました。こちらがギルドカードになります」
ギルドの職員さんがカウンターにギルドカードを置き差し出す。
「ありがとうございます」
カードを受け取る。
カードは白く青い文字でGと書かれている。
「では、ギルドについてご説明させていただきます。
冒険者ギルドでは、素材の採取、モンスターの調査、捕獲、討伐がメインになります。
またクエストを受けるにはクエストランクと同ランクが必要になります。
冒険者ランクは上から、S・A・B・C・D・E・F・Gとなっています。
ここまでで質問はございますか。」
「大丈夫です」
「では、ギルドカードについて説明します。
ギルドカードは身分証として多くの場面で力を発揮します。
ですので大切に管理してください。
もし紛失してしまった場合、再発行には10000G掛かります。
ですので、紛失には充分気を付けて下さい」
「わかりました」
イベントリに急いで収納する。
「もう1つギルドカードについて説明させていただきます。
Fランクに昇格するとカードやランク文字の色を申請できるようになります」
「えっ、ランクによって色が決まってるんじゃないんですか」
「はい、昔はそうでしたが今は違います。
先ほど話したようにギルドカードは身分証の役割があり、多くの人の目に晒されます。
過去の話ですが、ギルドカードの色で実力を計られ、悪い人間に目を付けられて事件に巻き込まれたなんてことがありましたので、……それに人によって好きな色が違いますから」
ギルドの職員さんは静かに微笑む。
「そうですか」
なんかあったのかな……。