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家の親は国家機密です

(゜ロ゜;

 ええ、零士君との一戦はやり過ぎました。

 自覚はあります。


「ミロード様!お姉様って呼んでも良いかしら?」

「お姉様~お友達になって~」


 ええ、駄目です。

 何故って?面倒臭いから!

 私は靴に魔法をかけて逃げました。

 しょうがないよね。





 ええ、零士君との一戦後から私は女子生徒にモテモテです。

 ええ、嬉しくないです。

 せめて男子生徒だったら………いや、面倒臭い事に代わりないです。

 男子生徒には睨まれています。

 何故って?

 零士君が男子生徒にモテモテだからです。

 騎士団に入りたい生徒からすれば、騎士団長の息子にもかかわらず己の強さを求めて頑張る姿に憧れるらしい。

 いや、零士君が格好良いのは認める。

 だが、敵意を向けられるのは理不尽だ。

 私は魔法使いのトップの娘だが、魔法使いの中でも魔法研究所と狩人は表舞台には出てこない部署のため私がエリートな親の娘だと知っている生徒はごくわずかなため零士君を倒したってのは男子の精神を逆なでするものだったらしい。


「おい!ミロード・アーツ!」


 女子生徒から逃げ切って安心したのもつかの間、今度は零士君信者の伯爵令息とその取り巻きに絡まれた。


「何でしょうか?」

「お前、調子に乗ってるらしいな!零士様がお前みたいな女に本気を出すわけがないだろ!分をわきまえろ!」


 零士君、この伯爵令息は零士君が大好きだよ!

 騎士に男色が多いって本当ですか?

 騎士団に女子が居ないのはそのせいだって本当ですか?

 現実逃避してみた。

 気にはなるけど、今は関係ない。


「あ、はあ、そうですね」


 私が言った言葉に伯爵令息は顔を真っ赤にして怒鳴り付けた。


「何の爵位も持たない平民が!なんだ、その態度は!」


 私はハッとした。

 この人私を平民って言った!

 素敵!

 私が感動していると後ろから声をかけられた。


「小鳥さん、大丈夫か?」


 零士君だ。


「大丈夫だよ」

「俺のせいですまない」


 零士君の登場で伯爵令息は顔を赤らめて姿勢をただした。


「お前ら、小鳥さんに迷惑をかけるな。俺は本気で戦って小鳥さんに負けたんだ。俺が手を抜いたなんて俺を侮辱する気か?」


 伯爵令息の顔色が青くなった。


「滅相もない!自分達はそんなつもりじゃ……」

「なら小鳥さんに言いがかりを付けるな解ったか?」

「「「「はい!」」」」


 体育会系の上下関係、凄まじいな。


「小鳥さん?」

「あ、いや、零士君は人気者だね」

「いや、そんな事は………小鳥さんも人気者だろ?」

「私のは人気者とは違うと思う」

「………小鳥さんの魔法は見たことのない物だった」

「へ?あれ?あれは悪魔用の魔法だから普通の魔法使いは使わないよね」


 私の言葉に零士君は苦笑いを浮かべた。


「霧子さんが使っているのを見たこともない」

「お母さんは強化魔法しか使わないよ!パワーで砕くのが好きな人だから」


 そう、お母さんは魔物を倒すのが好きだ。

 その代わり、頭の良い悪魔を相手にするのが苦手だ。

 まあ、考えさせる前に殺せば良いと思っているから負ける事はない。


「霧子さんは………そんな感じだな」

「零士君はお母さんによく会うの?」

「親父が霧子さんと手合わせしたいらしくてよく連れてくる。まあ、勝ったとこを見た事ないがな」


 ああ、だろうね。


「お母さん、化け物だから………」


 後ろで私たちの話を聞いていた伯爵令息が慌てたように口をはさんできた。


「零士様、その女の母親は?………」

「国家機密だ」


 零士君はニコッと笑った。

 伯爵令息の顔色が白くなったのが解った。


「零士君、彼は私を平民だって言ってくれる貴重な人なんだから苛めないでよ」

「小鳥さんが平民?………小鳥さんは平民だったっけ?」

「爵位もないよ」

「でも、王子殿下が小鳥さんの父親の言うことだったら国王も二つ返事で許可するって………え?」

「………お父さんはたたの過保護な親だよ」

「城のけっ」

「はい!国家機密!」


 私は慌てて零士君の口を手で押さえた。

 そうそう、お父さんの部下が城に結界をはってます。

 あくまで部下が、です。

 ちなみに、ルッカ先生も結構凄いことをしている人なんだけど学園なんかにいて良いのだろうか?

 零士君の顔が赤くなったのに気がついて私は口と一緒に鼻もふさいでしまったと思って手をはなした。

 その瞬間だった。

 背後に気配を感じてふり返ろうとした。

 その時には、背後から抱き締められていて驚いた。


「会いたくなったから、来ちゃった」


 私は強ばった体の力を抜いた。


「離して東雲さん」

「嫌だ」

「子供か?」

「俺の事子供扱いするくせに。しかも、浮気するとか泣いちゃうぞ!」


 私は横で驚いている零士君に苦笑いを向けた。


「お母さんの部下の東雲さんです」

「小鳥の恋人の東雲です」

「東雲さんと付き合うって言ってないですよ」

「ええ~良いじゃん!」

「東雲さん、私に勝てたっけ?」

「………精進します」


 東雲さんは私の背後から離れるとニコニコしながら言った。


「ドキドキした?」

「はぁ?」

「ちょっとぐらいしてよ!」


 そう言うと東雲さんはニーっと悪い笑顔を作った。


「そんな顔されるとキスしたくなっちゃうんだけど」


 私は今どんな顔をしていた?

 まあ、いいや。

 私はポケットから父特製の携帯通信機を出すと母に連絡をした。


「お母さん、東雲さんがサボってる」

『小鳥の所に居んの?』

「うん!迎えに来てあげて」


 東雲さんの口元がひきつった。


「霧子さんが来るの?」

「逃げてね東雲さん」

「くっそ!今度、小鳥の風呂のぞいてやる~」


 東雲さんはアホな事を叫んで姿を消した。


「家のお風呂はお父さん特製の城よりも強固な結界がはられてますよ」


 私はもう聞いていないだろう東雲さんに向かって言った。

 まあ、家のお風呂のぞける人…物理的に一人も居ないと思う。


「小鳥さん大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ!家にはお父さんとお母さんが居るから!東雲さんがどんなに頑張っても家に近寄れもしないよ」


 勿論、その後東雲さんが家に現れることはなかったのだった。

娘まで高熱だしただと!

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