表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/31

騎士団長の息子はいい子です

日刊ランキング一位!

あ、ありがたや~!

 今日は疲れた。

 お昼休みに一気に体力と精神力を奪われた。

 あの後、エンジェリナちゃんにお兄様の良いところをいい笑顔で語られて精神が擦りきれそうだ。

 早く帰ろう。

 疲れたから風呂入って寝よう。

 そんなことを思って立ち上がった私の目の前には真っ赤な髪の毛に金色の瞳の見知った男が立っていた。


「よう!小鳥」

「………ご無沙汰申し上げてございます殿下」

「堅苦しいのは嫌いだって言ったよな?」

「いやいや殿下私はただの平民でございますので」


 王子来たーーーーー!


「はぁ?お前が平民?ふざけんなよ鬼神」

「はぁ?変なあだ名付けないで下さいよ!」

「お前、自分がどんな存在か解ってんのか?」

「普通の平民」

「ふざけんな!………兎も角、小鳥ついて来い」


 王子に爽やかな笑顔を向けられた。

 移動魔法で逃げれば……

 その時、王子が私の腕を掴んだ。

 しかも、顔を寄せて小声で囁いた。


「俺がお前を逃がすとでも思ってんのか?言っとくが、移動魔法は難易度Sランクだから今ここで使えばお前は人気者だぞ」


 私は色々諦めた。


「……逃げないから離して」

「?何で?」

「マクロス様と手を繋いでたなんて噂されたらたまったもんじゃない」


 マクロス様は少しムッとした顔をすると私の横に立った。

 嫌な予感とともにマクロス様にひょいっとお姫様抱っこされた。

 何故だ!


「うわぁ!マジ怖い!ってか恥ずかしい!ヤバイ!学校来れなくなる~!」

「小鳥軽すぎ!飯ちゃんと食ってんのか?よし!俺が旨いもん食わせてやる」

「いや、話を聞け!」

「小鳥は甘いもんが好きだろ?」

「……うん…」

「小鳥はもうちょっと肉つけた方が俺好みだ」


 いや、何で王子好みにならなきゃならん!

 私はとりあえず王子の胸ぐらを掴むと移動魔法を使い、王子と一緒に教室を移動した。

 勿論人気のない場所や、王子の持ってる部屋などは調査済みである。

 なので、王子が学園に持っている部屋に移動した。

 

「移動魔法!」

「王子が使ったって思ってくれますよ」

「俺は10メートル圏内しか出来ん!」

「出来るんだから大丈夫ですよ」


 そこで漸く、王子の部屋にいる人達に目がいった。

 ああ、鬼エルフと騎士団長の息子。


「いらっしゃい小鳥」

「………」


 うわ、騎士団長の息子無口。


「お茶にしましょう」

「………では、俺は……」


 騎士団長の息子が席を立とうとして鬼エルフに首根っこ掴まれて席に戻されていた。

 

「いいから座りなさい」

「………」

「騎士団長の息子様だよね?」

「そうだ!零士(れいじ)だ」


 ほう。

 名前はじめて知った。


「零士様よろしくお願いします」


 私が零士様の向かいに座ると、彼は挙動不審にそわそわし出した。

 なんだ?


「零士は女性が苦手なんだ」


 王子がニヤニヤ顔で教えてくれた。


「おお!素敵男子」

「はあ、何でだよ?」

「え?誠実そうじゃないですか」

「俺らが誠実じゃねぇみたいだろ」

「………」

「なんか、言えよ」


 私は零士様に笑顔を向けて言った。


「私は空気だと思って下さって結構ですよ」

「………いや、ですが」

「零士、コイツはあの霧子の娘だ。そんじょそこらの女性達と一緒にしなくていい」


 王子よ、母の娘だからって普通の扱いをされないのは理不尽だ。


「霧子さんの………」

「母を知ってるんですか?」

「こないだ女性が苦手だって話をしてるときに霧子が通りがかって」

「何したんですかあの人?」


 零士様が何故か苦笑いを浮かべた。


「女性はすぐに壊れそうで怖いって言ったら、女はそんなにもろい生き物じゃねぇよ!って言って………手合わせすることになってな……」

「もう、良いです。零士様母がすみません。あれは、化け物なので女性の枠にいれるのは世の女性に失礼かと思います」


 王子の言葉に母が零士様をフルボッコにしたのは明白だ。

 謝っておこう。


「い、いえ、固定観念をうち壊していただきました」

「そうですか?あの人が女性らしいのは父の前だけですから……娘にも容赦ないし、こないだだって!回し蹴りに踵落とし繰り出したのに綺麗にかわされて………悔しい~」


 思い出して悔しがる私に、鬼エルフがクッキーを差し出して笑った。


「まあ、クッキーでも食べて落ち着いたらどうです?」

「いただきます!」


 私がクッキーを一つ口にほおりこむと、口のなかにバターの香りが広がった。

 しかも、琥珀色の紅茶まで差し出されて至れり尽くせりで私はゆっくり紅茶を飲んだ。

 ああ、いい紅茶だ。

 さすが王族御用達の紅茶だ。


「お前、よく霧子に回し蹴りとか踵落としとか繰り出すな」

「気配消せたらたまに当たるよ」

「「「!」」」

「まあ、その後死ぬ思いで逃げないと魔物も逃げ出す殺気で気絶しそうになるけど」


 次のクッキーも口に入れて堪能すると、鬼エルフに頭を撫で撫でされた。


「鬼って呼ばれているのがよく解りました」


 鬼はあんたじゃ無いのか?


「鬼神じゃなかったか?」

「私が鬼神だったら母は何なんです」

「あれは破壊神だろ?」


 ああ、納得。

 私は紅茶を優雅に飲むと言った。


「で?何で呼んだんですか?私がクラスで苛められたらあんたらのせいですからね!」

「苛められたらからって響くようなガラスの心なんて持ち合わせてないだろ?」

「失礼王子、私は目立たずに学園生活を終えようと思ってるのに!」

「無理だろ?」

「無理ですね」


 王子も鬼エルフも酷い。


「……目立ちたくないのは解ります」

「だよね!零士様いい人!」


 私が笑いかけると零士様は焦ったように息を飲んだ。

 そんなに怯えなくてもとって食ったりしないのに。


「小鳥は本当に質が悪い」

「王子に悪口言われた!」

「小鳥、マクロス様は悪口じゃなくて事実をのべたまでだよ」

「アーク様まで、零士様を見習ったら!」


 私の言葉に納得いかない顔の王子と鬼エルフ。

 

「あ、あの、小鳥さん、俺に〝様〟はいりません。同い年だし、呼び捨てで」

「でも、零士様って貴族でしょ?」

「関係ない、です」

「じゃあ、零士君で良い?」

「……はい」


 親の仕事が騎士団と狩人って仕事内容が似ているから、話が会うかもしれない。


「零士君、友達として宜しくね!」

「は、はい」


 こうして、私は零士君と言う友達が出来たのだった。

 


優しい皆様のお陰で助かってます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ