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小鳥様を好きな理由 マクス目線

マクスさん目線です。


 自分が小鳥様を好きになったのは、いつの事だったろうか?

 自分は学業において飛び抜けていた。

 16歳の時には飛び級で学園を卒業。

 そのまま魔導師団に入り、一年後には魔法研究所所属になっていた。

 魔法研究所にはたまに顔を見せる幼く見える女性が居た。

 それが小鳥様だ。

 小鳥様はたまにフラリとやって来てルッカや、マリッサと魔法の話をして帰っていくような人だった。

 まだ10歳ぐらいにしか見えないのに、誰よりも緻密な魔方陣を描く人。

 その頃の自分は自分が負けるなんて事があり得なかった。

 それなのに、小鳥様には勝てる気がしなかった。

 自分にとって小鳥様は雲の上の人。

 無条件で憧れてしまう小さな天才。

 小鳥様が大きくなるにつれて憧れは恋心に変わった。

 変わったところで、自分の存在が小鳥様の中でどうこうなりたいとは思わなかった。

 だって、天使か神様みたいに思っているのに信仰はすれど、恋人になりたいわけではなかったのだ。

 




 月日は流れて、ルッカが逃げ出し仕事が増えたころ高等科の制服姿の小鳥様に会った。

 小鳥様が高等科の一年生になったと聞いて驚いた。

 小鳥様は顔が幼いだけでもう少し年上だと思い込んでいたからだ。

 自分とは6歳ぐらい下ってことか?

 高等科なんて、小鳥様なら3ヶ月で飛び級できるだろうに。

 小鳥様は天使から女神にクラスチェンジをしていて美しい女性になった。

 何にも染まらない人。

 ずっとそう思っていた。

 あの日、小鳥様が怪我をしているのを見て血の気がひいた。

 怪我をした小鳥様を誰にも見せたくなくて人気のない場所まで運んだ。

 がらにもなく小鳥様に怒りながらキズを治した。

 自分の手に頬擦りする小鳥様を見た瞬間、天界の人のはずの小鳥様を捕まえてしまいたくなった。

 小鳥様の唇を自分のでふさいで、確かめるように何度もキスをした。

 痺れるように刺激的な感触にもうダメだと思った。

 小鳥様が愛しくてたまらない。

 自分の手の中に閉じ込めてしまいたいと強く願った。

 小鳥様は本当に驚いた顔をしていた。

 驚いた顔も可愛くて、女神が人になったのを見たような気がした。

 何度もキスして想いを告げる。

 小鳥様は真っ赤になって考えさせてほしいと言った。

 突然襲ってきた自分の事をちゃんと考えてくれると小鳥様は言ったのだ。

 あまりにも可愛い小鳥様を独り占めしたくて、キスしたことを秘密にしたいと思った。

 小鳥様は了承してくれた。

 これでフラれても一生あの時の小鳥様を思い出して生きていける気がした。




「リリック」

「………何でしょうかマリッサ?」

「リリックは子供欲しくない?」


 子供?

 小鳥様との子供は欲しい。


「私と子作りしない?」

「しません。ルッカに言えば良いのでは?」

「うん。ルッカが駄目だったらリリックとの子供が良いな!」


 自分はマリッサから少し離れた。


「その反応ムカつく」

「ルッカは絶対にマリッサを拒否したりしません。だから、大丈夫です」

「何その自信」


 ルッカはドMだ。

 だから、マリッサに命令されたら逆らえないに違いない。


「兎に角、ルッカが駄目だったらお願い」

「無理です」

「私が小鳥ちゃんに見える薬飲ませてあげるから!」


 な、それは悩む。

 小鳥様が自分のものにならないなら、夢の中だけでも繋がってしまおうか?

 ………いやいや、相手はマリッサだ。

 弱味を握られてたまるか!


「無理です」

「うちの子で何しようとしてるって?」


 そこに現れた局長にマリッサは真っ青な顔をして慌てて逃げていった。


「マリッサにも困ったね」


 局長はニッコリと笑った。

 これは、悪魔の微笑みだ。


「リリック、君は小鳥が好きかい?」


 ここで怯んでは小鳥様は自分のものにはならない。


「はい。小鳥様を愛してます」

「ハッキリ言ったね」

「怯んではいられないので」

「そっか………一回死ぬ?」

「いえ」


 局長はニコニコしながら言った。

 

「リリックは僕に似たところがあるからな~」

「そうでしょうか?」

「好きだからって突っ走らないでね。僕は霧子に鼻の骨折られたことあるから」


 怖い。

 局長は何か知っているのだろうか?

 局長とやりあったら、たぶん負けると思う。

 

「………一回死んでおいた方が良いですか?」

「やましいことがあるのかな?」


 どうやら墓穴を掘ってしまったようだ。


「………」

「娘を泣かしたら復元できなくなるほどミンチにするから覚悟しといてね」


 血の気がひいた。

 局長は自分の肩をポンポンと叩くと去っていった。

 その時、小鳥様との思い出があるなら局長に殺されるのも本望かも知れないと本気で思ってしまったのは自分だけの秘密だ。

何だか、すみません。

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