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相談相手をかえてみました

 ルッカ先生が結婚するって話は瞬く間に学校中に広まった。

 男爵令嬢はワザワザ私のところまで来て叫んだ。


「この、泥棒猫!」

「意味が解らない」

「貴女でしょ!ルッカ先生をタブらかしたの!」

「いや、ルッカ先生のプロポーズの相手はルッカ先生と十年ぐらい付き合ってたボッキュッボンのフェロモン美人です」

「な、なんですって~」


 もともと見込みなんて無かったんだよ。

 って言って良いだろうか?


「そ、そんな………」


 ショックをうけている男爵令嬢をほおっておいて、私は王子の部屋に向かうことにした。

 男爵令嬢がそれを許してくれるはずもなく王子の部屋の前で捕まった。


「話は終わってないわよ!」

「いや、終わってるでしょ?それに、私は貴女の命の恩人ですよね?からむの勘弁してもらって良いですかね?」


 男爵令嬢は顔を少し赤らめて言った。


「私はアークライト様か、零士様に助けられたかったの!それなのに………」


 パンツ丸出しで二人に助けられたかったのか?

 その時だった。

 男爵令嬢の後ろからマクスさんが歩いてくるのが見えて慌てて男爵令嬢を盾にして隠れようとしたが、隠れるのは無理だったようだ。


「小鳥様?」

「………」


 うぅ~~まともに顔が見られない。

 目をつぶり男爵令嬢の背中にしがみついたが、あっさり逃げられた。


「ちょっとなんなのよ!」


 男爵令嬢に逃げられた瞬間ヒョイっとマクスさんに抱え上げられビックリした。


「逃げないで下さい」

「は、はい」


 私の返事にマクスさんは蕩けそうな笑顔を作った。

 ああ、何で可愛い顔すんの?


「ちょっと!人の目の前でイチャイチャしないでよ!」


 マクスさんはそんな、男爵令嬢を無視して王子の部屋に入ってしまった。

 部屋に入ると部屋には王子とエリザちゃんが驚いた顔で出迎えてくれた。


「ルッカは居ますか?」

「今日は居ない………そんなことより小鳥を離してやってくれるか?」


 マクスさんは思い出したように私をおろすと頭を撫でて言った。


「ルッカが居ないようなのでまた」

「は、はい」


 マクスさんは何事も無かったように部屋を出ていった。


「小鳥」

「……はい」

「顔真っ赤だぞ!兄ちゃんが話聞いてやろうか?」


 王子の兄貴面に若干ムカつくが愛する人のいる人に相談できるのはありがたい。


「鬼エルフは?」

「なんだ?アークが良いのか?残念だが、アークは今日宰相に呼ばれて昼で帰った」

「良かった」


 私は深いため息をついて、王子とエリザちゃんに二人に告白されたことを話した。

 勿論、マクスさんにキスされた話はしていない。


「おお、アークも頑張ったな」

「王子も知ってたんだ」

「あんなに解りやすいのに気が付かないのはお前ぐらいだ」


 そ、そうなんだ。


「アーク様がそんな風に見てるなんて知らないし!」

「お前がアークを男として見ていないのなんて、アークが一番知ってるよ」


 王子が苦笑いを浮かべるのをエリザちゃんが困ったように見つめている。


「アークはそれでも、小鳥が可愛くて仕方ねぇんだよ」

「アーク様の気持ちは嬉しい。けど………私の中でアーク様は理想のお母さんなんだよ」

「「………」」


 王子もエリザちゃんも鳩が豆鉄砲くらったような顔をした。


「流石にアークライト様が可哀想ではありませんの?」


 エリザちゃんの呟きももっともだ。

 

「だって!アーク様って、常識人で口煩くてお茶を淹れるのが上手くてムカつく事もいっぱいするのに嫌いになれなくて………世に言うお母さんみたいなんだもん」

「世に言うとは、どういうことですの?」 

 

 エリザちゃんが首をかしげた。


「うちのお母さんは世間一般のお母さんとはかけ離れてるから、アーク様が憧れのお母さんって感じで………ごめんなさい」


 私がシュンとしてしまったのが解って王子は私の頭を撫でながら言った。


「たぶん、アークは気が付いてそうな気がするぞ。まあ、母親と思われてる可能性は考えてねぇと思うがな」

「じゃあ、何に気が付いてるの?」

「フラれるってさ」


 わ、私はアーク様をフルのか?

 あんなに私に良くしてくれるアーク様をフルのか?


「小鳥、好きという気持ちは自分が決めるものだ。アークに対する気持ちは恋愛においての好きではないのだろ?」

「………うん」

「なら、アークにちゃんと言わないとな」

「うん。ありがとう王子………王子もちゃんとエリザちゃんに好きだって言ってね」


 見ればエリザちゃんの顔が真っ赤だ。


「俺は好きな女に好きだって言えない男ではない」

「………王子は、ほどほどにしなよ」


 エリザちゃんがアワアワしている。

 可愛いがきっと王子の好き好き攻撃を知っているからの反応だろう。

 私はあんな可愛い反応出来ないよ。

 私がまたシュンとすると王子がまた頭を撫でてくれた。


「何を悩む事がある?お前は好きなようにすれば良い。アークにはちゃんと母親みたいに思ってるって言ってやれ!そしたら、アークだってマクスみたいな男は許せないって母親面して言えんだよ」

「反対されるの?」

「反対ぐらいさせてやれよ!結局決めるのは小鳥なんだからさ」


 王子はイタズラが成功した子供のように笑った。

 エリザちゃんがキュンキュンしているような蕩けた顔をしている。

 王子、横見て!

 エリザちゃんが可愛い顔してるから!

 私は思わず王子に心の声で叫んだ。

 まあ、とどかなかったが………


「アークはちゃんとフッてやれ」

「………解った」

「アークが凹んでたら俺がちゃんとからか………慰めてやるからよ!」


 今、からかうって言った?

 鬼エルフをからかったりしたら王子どうなっちゃうんだろ?

 怖くて想像したくないって本気で思ったのは誰にも秘密だ。

 

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