私は女の子だったよね?
短めです。
スランプさんなので……
トランプさんじゃないよ……
学園とは、勉学をし魔術を習い戦闘訓練を行い最低限のマナーやダンスなどを教わる所のはずだ。
「み、ミロード様!マドレーヌを焼きましたの!よろしければ受け取ってください!」
「私はクッキーを」
「私はマフィンを」
な、何故私は女子にモテている?
勿論可愛いお嬢様方のくれる物は美味しくて嬉しいのだが、このままでは太ってしまう。
「あ、ありがとう」
それでも受け取ってしまうのは、女の子を無下に出来ない優しさか?
ただの食いしん坊………ええ、美味しそうなお菓子にトキメキましたが何か?
戦闘訓練の実技で零士君とやりあっているとすかさず黄色い悲鳴が轟く。
「お姉様~頑張って~」
「ミロード様~応援してますわ~」
ええ、少し前まで零士君の応援をしていた女の子達の声援です。
私が手を抜かなくなったのと、ダイエットがてら本気で零士君とやりあった結果がこれだ。
零士君は着実に実力をのばしているが、私は人気だけがのびている。
解せぬ!
放課後、部活の時に零士君にきいてみた。
「零士君、私は女の子だったよね?」
「そうだと思い込んでいたが違うのか?」
「思い込みじゃなくて、事実女の子なんだよ。残念なことに」
「残念?」
零士君がわけが解らないといったような顔を私にむけた。
「私は〝可愛い〟が大好きなの。女の子達皆可愛い!そして、私は男の子ではないんだよ」
零士君は暫くだまると苦笑いを浮かべて言った。
「小鳥さんは男じゃない。女の子は皆可愛いんだろ?なら、小鳥さんも可愛い」
突然の零士君の言葉に私は驚いてしまった。
て、天然タラシがいるよ!
「小鳥さんも可愛いから残念じゃないだろ?」
私は顔に熱が集まるのが解った。
「零士君、君は危険な生き物だよ」
「小鳥さんに言われるのはしゃくなんだが」
や、私は物理的な危険生物………自分で認めてしまった。
思わず項垂れると零士君に頭をポンポンされた。
「何故?」
「頭を出したから撫でられたいのかと思った」
いやいや、撫でてないよね。
むしろ叩かれたよね?
まあ、痛くも痒くもないけどね。
「まあ、良いけどね」
零士君はニコッと笑うとまた頭をポンポンしてきた。
ポンポン好きなんだろう。
「君たちはなにやってるんですか?」
紅茶を持った鬼エルフが呆れたように聞いてきた。
「頭をポンポンしてもらってる」
「見れば解ります」
じゃあ、何が知りたいんだ?
「………紅茶、飲みますか?」
「うん!あ、アーク様クッキー食べる?」
「小鳥がいただいた物は小鳥が食べた方が良いと思いますよ」
私は鞄からクッキーを出しながら言った。
「違う違う。女の子達のお返しにクッキー焼いたやつの残りだよ」
「お返し?」
「もらってばっかは悪いからお菓子くれた人にあげてるんだよ。いっぱいあるからアーク様にもおすそ分け」
「………」
アーク様はクッキーを受けとるとジーッとクッキーを見詰めた。
「毒なんて入ってないよ」
「………じゃあ、いただきます」
鬼エルフがゆっくり包みをひらき1つ口に放り込んだ。
「………美味しいですね」
「本当?ありがとう、零士君もいる?」
「ああ」
私は零士君にもクッキーを渡した。
美味しい紅茶に美味しいお菓子で私は幸せな気持ちになったのだった。
ああ、何故か鬼エルフをいじってしまう……
ごめんよ鬼エルフ……




