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ファンって何ですか?

残酷描写あり。

 男爵令嬢はがんばっている。

 爵位が高いか、能力に優れていて将来有望な男性を見つけると媚を売る。

 あと、私を目の敵にしているらしくよく嫌がらせをしてくる。


「貴女がそんなに良い成績なのは、王子様やアークライト様に教えてもらってるからでしょ!ズルいのよ!庶民のくせに!」


 ハッキリ言えば、私が二人に教えてあげる事はあっても私が教わる事はない。

 魔法、魔方陣、戦闘術などなど私にかなう人はこの学園の中には居ないと思う。

 それに、最近貴族女性の中で私が格好良いと言ってファンになってくれる人が増えたから人気の面でも私は王子達には負けてないと思う。

 ?話がずれたかな?


「庶民は庶民と仲良くしなさいよ!」

「貴女には関係ないですよね?」

「庶民が口答えしないでよ!」


 なら絡まないでほしい。


「兎に角私が狙ってる男に近寄らないで!」


 いやいや、貴女がどの人を本命にしているのか知らないし。

 そんな事を思ったその時、学園内に警報が鳴った。

 学園内の警報は緊急事態だ。

 警報の音に学園内がザワリとした。


『学園内にオーガが浸入。至急生徒は避難してください』


 オーガと聞いて生徒が一斉に学園内を走り出した。

 女子生徒なんて泣き叫んで動けなくなる子までいる。

 私は急いで通信用魔具を取りだし母に連絡をした。


「お母さん、学園内にオーガが出た」

『あんたがヤレば良いじゃない?』

「武器がない」

『ルッカちゃんなら持ってんじゃん?』

「解った。お母さんも早く来て、何匹居るか解らないから」

『了解~野郎共!出撃じゃ~』


 お母さんのテンションはMAXだ。

 私は男爵令嬢を見た。

 男爵令嬢はオーガが出たのが何なのか解っていないようだ。


「オーガは人を食うから早く逃げた方が良いよ」


 漸く状況が解ったのか男爵令嬢が慌てて走り出した。

 私もルッカ先生の部屋まで走った。

 




 ルッカ先生は周りに居る泣き叫んで動けなくなってる女子生徒を説得しているようだった。


「ルッカ先生、武器ちょうだい」

「小鳥ちゃん、取り合えず避難して。僕は生徒の誘導をしないとだから」

「私が狩るからその方が安全」


 ルッカ先生は深いため息をつくと教師用のローブの中から長い刀を2本出してくれた。

 ローブの中に亜空間を仕込んでいるようだ。

 泣いていたはずの女子生徒は呆然と私を見た。

 

「大丈夫だよ。ルッカ先生なら貴女を無事に安全な場所に連れてってくれる」


 私の言葉に数人の女子生徒がルッカ先生に抱きついた。

 その瞬間、周りに爆発音が響いた。


「ルッカさん、魔方陣」

「了解。小鳥ちゃん無理しないでよ!小鳥ちゃんになんかあったら僕は局長に殺されちゃうからね」


 私は刀を両手に握り直して言った。


「誰に向かって言ってんの?」

「………だね」

「お母さんが来たら学園が壊れようが関係なさそうだからチャチャッとやっちゃうよ!」


 私が前を向くとすでに誰かがオーガに捕まってしまっているようでオーガが逆さ吊りになるように足をつかんで持ち上げていた。

 

「助けて~」


 見れば男爵令嬢だし、オーガと向かい合っている零士君と鬼エルフも居る。

 ああ、男爵令嬢パンツ見えちゃってるよ。

 可哀想。

 私は急いで走り出した。

 壁を蹴りあげて高さを取り、男爵令嬢を掴んでいる手を切り落とした。

 オーガの悲鳴が轟いた。

 鬼エルフは素早く男爵令嬢をお姫様抱っこしてルッカ先生の作った魔方陣の中に放り込んだ。

 

「小鳥、援護します」

「いらない~」


 私は刀を振り回して言った。


「ルッカさん、これ良いね~切れ味抜群!私が今使ってるのより良いよ!ちょうだい」

「良いよ。学園卒業したらね」

「ちぇっ」


 私は鼻息荒くこっちを見ているオーガに笑顔をむけた。


「さあ、肉片になってもらおうか?」


 オーガがドシドシ音をたてて向かって来た。

 足に魔法をかけ、高くジャンプした。

 そのままオーガの頭をはねるのなんかはたやすい。

 あまり頭の良い魔物ではないしね。


「小鳥、狩人を待とうとは思わないんですか?」

「アーク様、魔物は人を食うんだよ。時間稼ぎなんかするぐらいなら殺す方が安全だよ」

「ですが」

「お母さんが来てからだと片付け大変だよ。色々飛び散って」

「………ですね」


 アーク様は諦めたようだ。

 危険なことをさせたくないのは、私を妹のように思っていてくれるからだろう。

 それが嬉しいのだから、わたしもアーク様が嫌いじゃないって事だろう。


「ルッカさん、オーガはこれ一匹?」

「うん」


 良かった。一匹だけで、安心した。

 私が笑顔を向けるとルッカさんは手を出した。

 何だこの手?


「それ、学園側にバレると大変だから返してくれる?」

「くれるんじゃないの?」

「卒業したらね」


 私は渋々刀を返した。

 

「ミロード様」


 泣いていた女子生徒がウルウルの瞳で私を呼んだ。


「もう大丈夫だよ」

「ミロード様、素敵すぎです!お姉様と呼ばせて下さい!」

「………嫌だよ」

「そんな事言わずに」

「ダメダメ!」


 この後、私にファンクラブが出来たとか………

 何故だ!解せぬ!


スランプさん、また会いましたね………

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