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要注意人物じゃありません

短めです。

 授業が終わり部活に向かおうとして席を立つと、目の前に東雲さんが立っていた。

 取り合えず無視して歩きだしたら、背後から抱きつかれた。

 それでも無視して歩き続けたら漸く東雲さんは口を開いた。


「小鳥、寂しい」

「東雲さん、離れて下さい」

「寂しい」


 私は構わず王子の部屋に向かった。




 王子の部屋まで来ると、鬼エルフが男爵令嬢に絡まれていた。


「すみませんが、僕は推薦はしません。王子殿下以外の面倒を見るつもりがありませんから」

「どうしてもですか?」

「どうしてもです」


 男爵令嬢がわざとらしくショックをうけて沈んだ演技を始めた。

 

「何あれ?」

「ああ、厄介な女だから関わらない方が良いよ」

「へ~」


 その時、殺気を感じて視線を向けると鬼エルフがこちらを睨んでいた。

 怖!


「小鳥、彼は誰です?」

「あ、俺?俺は小鳥の未来のダーリンです!ヨロシク!」


 鬼エルフの口元がヒクッとした。


「東雲さん」

「何だいハニー」

「私尊敬できる人としか付き合う気ないけど?」

「俺、結構エリートだぞ」

「囮しかできないのに?」

「俺、囮しか出来ないんじゃないよ?」


 私は取り合えず東雲さんを引きずったまま、王子の部屋に入った。


「小鳥、部外者を入れないで下さい」


 鬼エルフに注意されてしまった。


「アーク様、残念だけどこの人このぐらいの部屋なら簡単に侵入できるからここで追っ払っても無駄だよ」

「無駄だよ!」


 アーク様の口元が更にヒクヒクしていた。

 怒り心頭だ。

 私はそのまま気にせず王子の部屋に入った。

 鬼エルフも慌てて部屋に入りドアを閉めた。


「簡単に侵入で思い出したけど、小鳥の家の結界何あれ?」

「本気で侵入しようとしてたの?」

「風呂覗いて、添い寝してやろうと思ったのに!」

「犯罪だから。ってかお父さんに存在から消されるから」

「ってか近寄れなかったし!」


 東雲さんは私の背後から離れると言った。


「どうやって入れば良いのあれ?」

「入らなくて良いから」

「未来のダーリンに厳しくない?」

「ダーリン、早く帰んないとお母さんに殺されるよ」

「俺、今日夜勤だから大丈夫!」

「ダーリン、目障り帰って」

「冷たい!」


 私たちの攻防に鬼エルフはため息をつくと私にだけ紅茶を出してくれた。


「どうぞ」

「アーク様ありがとう」


 やっぱり鬼エルフの紅茶は旨い。

 思わず顔がほころぶ。


「ハニーそれは浮気だ!」

「じゃあ、離縁してねダーリン」

「そうじゃないよね!小鳥を笑顔にするのは俺でいたいの!」


 東雲さんは可愛く口を尖らせた。

 思わず頭を撫でてあげていた。

 東雲さんはヘニャと笑うと抱きついてきたから思いっきり背負い投げしてあげた。


「そりゃないよハニー」


 東雲さんは綺麗に受け身をしていた。


「私のダーリンになる前に私より強くなってよ東雲さん」

「………は~い。ぜってー惚れさせてやる!」

「無理な事言うよね」


 東雲さんは口を尖らせて言った。


「霧子さんに小鳥に苛められた~って言ってやる~」


 そう叫ぶと東雲さんは窓から飛び出した。

 鬼エルフが慌てて窓の下を覗きに行ったが、東雲さんの姿はなかった。


「あれは何ですか?」

「狩人のエース」

「………要注意人物ですね」

「要注意人物じゃないよ!大丈夫、私よりは弱いから」


 私の台詞を聞くと、鬼エルフは深い深いため息を吐き出したのだった。

東雲さん大暴走の巻。

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