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順番はまもりましょう

 王子の部屋は居心地が良い。

 部屋に入ればお茶とお菓子が自動で出てくる(鬼エルフが出してくれる)

 だが、入るまでが大変。

 とくに私。

 エンジェちゃんもエリザちゃんも良いところのお嬢さんで、爵位が高いから王子との交流は周りも許してくれるが私は違う。

 庶民とは何故か貴族の紳士淑女の皆様から見下される傾向がある。

 そんな見下している庶民が王子と愉快な仲間たちと仲良しなのは許せないみたいだ。


「邪魔よ!」


 あ、今のは男爵令嬢だよ。

 食堂の列に並んでたら割り込みされたよ。

 邪魔よ!じゃないよね?

 私の前に割り込むとか後ろに並んでる貴族の方々にも失礼じゃないか?


「また貴女なんですの?小鳥さんの前に割り込むとは何事何ですの?」


 エリザちゃんも私の後ろに並んでた人の一人だ。

 エンジェちゃんは先に裏庭に行っている。

 また、男爵令嬢vsエリザちゃんのバトルが始まってしまった。

 不味いな。

 そう思った時だった。

 

「何を騒いでいるんだ?」


 現れたのは王子と鬼エルフ。


「王子様!公爵令嬢がいちゃもんつけてくるんです!助けてください!」


 男爵令嬢の言葉に周りも私も唖然とした。

 

「私は、貴女のモラルの無さを注意しただけですわ!」

「怖~い」


 王子はため息をつくと言った。


「エリザベート、俺にめんじてここは引いてくれないか?」

「!………はい」


 男爵令嬢が勝ち誇った顔をした。

 ムカつく!

 王子をぶん殴ってやろうかと思ったその時、王子は優しい笑顔を作りエリザベートちゃんの頭を撫でた。


「君は正義感が強くて素敵だが、少しは俺にたよって良いんだぞ」


 エリザちゃんの顔が一気に真っ赤に染まった。


「あ、あの、ご迷惑をお掛けするわけにはまいりませんわ」

「俺はエリザベートになら迷惑をかけられたいぞ」


 王子の甘いオーラに周りも赤面している人がチラホラ出てきた気がする。


「エリザちゃん、王子蹴って良い?」

「だ、駄目ですわ!」

「小鳥、邪魔するな」


 蹴り飛ばしたい。

 そう思った瞬間、鬼エルフが王子に蹴りをいれてくれた。

 あいつ、なかなかやりよる。

 まあ、体勢を崩しながらもエリザちゃんの頭から手を離さないのがすごいな王子。


「アーク蹴るな」

「食堂でイチャコラされると困ります。後々ご自分のお部屋にでも連れ込んでなさってください」

「歯止めがきかなかったらどうする」

「その時は小鳥に殺しに行ってもらいます」


 鬼エルフのニッコリに王子はジト目で私を見た。


「エリザちゃん泣かしたら楽に殺してやらないからね」


 私も鬼エルフと同じように笑ってやった。

 

「………くそ」

「殿下、手を離してくださいませ」


 頭の上の手を気にしたエリザちゃんの言葉に王子は一度エリザちゃんをギュッと抱き締めてから離れた。

 真っ赤なエリザちゃんは可愛いが、王子はムカつく。


「王子、ぶん殴ぐるよ」

「エリザベートが可愛いのが悪い!」

「子供か!エリザちゃん、王子から離れて」


 周りの生徒たちもザワザワし始めた。


「王子、ど、どういう事?」


 男爵令嬢がショックを隠しきれないように言った。


「エリザベートは昨日俺の婚約者に決まったんだ!お似合いだろ?君も、エリザベートが可愛くて憎く思うのかも知れないが絡むのは止めてくれ」

「な、違」

「エリザベートは貴族という者の存在理由を理解しているから、君の努力を見れば何も言わないはずだ。君も、エリザベートのような素敵なレディーになれよ」


 王子はニコニコしながらエリザちゃんの肩を抱いた。

 エリザちゃんが真っ赤でオロオロしている。

 可愛い!

 しかも王子はエリザちゃんの肩を抱いたままその場を去ろうとする。

 

「ちょっと!エリザちゃんはご飯買うんだから連れてかないでよ!」

「一緒に食うから問題ない!」

「問題ある!エリザちゃんとエンジェちゃんとご飯食べる約束してるの!エンジェちゃんが場所取りしてるんだから!」

「飯食わせてやるからエンジェリナ連れて来い」

「了解!エリザちゃん先に行ってて」

「え、あの、困りますわ!」

「鬼エルフも一緒に行ってくれるから大丈夫!アーク様、王子が暴走したら蹴り殺して良いから」

「勿論、エンジェと小鳥の友達のためなら王子の一人や二人蹴り殺せますよ」

「アークてめ~」


 私は大満足でエンジェちゃんのもとに向かったのだった。

久しぶりに仕事した。

背中が痛い。

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