友達の婚約に立ち会いました
放課後、王子の部屋にエリザベートちゃんとエンジェリナちゃんと向かった。
王子の部屋につくと、ドアの前に男爵令嬢が立っていた。
私達は物陰に隠れた。
「男爵令嬢何してるのかな?」
私の言葉にエンジェリナちゃんがクスクス笑った。
「あの子ウザい」
エンジェリナちゃん、怖いよ。
「どうなさるんですの?」
不安そうなエリザベートちゃんに私は笑って言った。
「普通に入ろう」
私はエリザベートちゃんの腕をつかんで王子の部屋に急いだ。
ドアの前に来ると男爵令嬢が驚いた顔をしたが、無視してドアをノックした。
「小鳥だよ!」
私が名のると鬼エルフがドアを開けてくれた。
「いらっしゃい。おや、エリザベート嬢もいらっしゃい」
振り替えるとエンジェリナちゃんが居ない。
私は慌ててエリザベートちゃんを鬼エルフに預けてエンジェリナちゃんを迎えにいった。
エンジェリナちゃんは気を使わなくて良かったのにみたいに言ってたけど引っ張って行って王子の部屋のドアを閉めた。
勿論、男爵令嬢が呆然とする横で全てをやってのけた。
この部屋は特殊で外の音は聞こえるが部屋の中の音は外から絶対聞こえない。
そういう魔法がかかっているのだ。
たぶん、ルッカ先生の魔方陣が使われているのだろう。
だから、男爵令嬢がドアに耳をくっつけて聞いていても聞こえないのだ。
「エリザベート嬢火傷は大丈夫か?」
王子は私達を気にすることなくエリザベートちゃんに話しかけた。
おい、あからさまだな。
「お陰さまで痕も残らず大丈夫ですわ。御心配ありがとうございますわ」
エリザベートちゃんは王子に失礼にならないように頭を下げてお礼をいった。
「そうか、傷が残らずにすんで良かった」
王子、格好良く言ってるけどエリザベートちゃんは王子に恋心的なものを持ってないから赤くもなってくれないぞ。
何だか、王子が可哀想に思えて鬼エルフ兄妹を見ると二人とも肩をプルプル震わすていた。
あいつら大爆笑じゃないか?
王子可哀想に………笑われてるぞ………
「ミロードさんが治癒魔法をかけてくれたので……」
「小鳥は魔法なら何でも出来るからな」
「………ミロードさんは何者なんですか?」
エリザベートちゃんの言葉に王子はチラリと私を見て言った。
「知りたいか?」
「まあ」
「教えても良いがそれを聞いたらエリザベート嬢の未来は決まってしまう」
「………」
「まあ、結婚相手が決まるぐらいだ」
王子の言葉にエリザベートちゃんは目を見開き呟いた。
「それは、悪い意味でですの?」
王子は苦笑いを浮かべた。
「悪いかどうかは解らん」
「どんな方ですの?」
王子は下を向いて頭をかいた。
「………ミロードさんの事は聞きませんわ!」
「聞かないのか?」
「私は家のために政略結婚する義務がありますわ!ですので、誰よりも家のためになる旦那様を探さなければなりませんの!」
私は思わず笑って言った。
「家の親、魔法使いの中でも国に直接関わるトップの役職についてるの。父は存在すらトップシークレトの特殊機関のトップなんだよ」
エリザベートちゃんは呆然とするとプルプル震えて叫んだ。
「な、何で言っちゃうんですの~!」
私は盛大に笑った。
「エリザベート嬢」
「な、なん何ですの!」
王子はわざとらしく申し訳なさそうな顔をしながら言った。
「エリザベート嬢、薬で記憶を消されるのと俺の嫁になるのどっちが良い?」
エリザベートちゃんはキョトンとしてから言った。
「誰の嫁ですの?」
「俺の」
「お、俺とは?」
私はエリザベートちゃんの肩をポンポンして言った。
「この国の第三王子の嫁だよ」
「わ、私につとまるわけございませんわ!」
「そんなことないよ。エリザベートちゃんは頑張りやさんだもん!私は王子にお似合いだと思うよ。だから言ったんだもん」
私がそう言って笑うと王子が私の頭をポンポンした。
「エリザベート嬢、俺は貴女を一生愛すると誓う。だから、俺の妃になってくれないだろうか?」
エリザベートちゃんは一気に真っ赤に染まった。
可愛い。
「わ、私につとまるわけ」
「関係ない、俺は貴女が良い」
エリザベートちゃんはオロオロしている。
そんなエリザベートちゃんをずっと見ていたエンジェリナちゃんがゆっくりとエリザベートちゃんの左手を握った。
「私も賛成です。エリザベートさんのサポートは私と小鳥ちゃんがするから安心してください」
「エンジェリナ様」
私もエリザベートちゃんの右手を握って笑った。
「ミロードさん」
「小鳥って呼んでよ」
「………じゃあ、私もエリザと呼んで下さらない?」
エリザベートちゃんに愛称を呼ばせてもらえるようになった!
「二人ともズルいです!私もエンジェって呼んで欲しいです」
私達三人は手を繋ぎながらニコニコと笑いあった。
「君達三人が仲良しなのは解りましたが、王子殿下がかまってもらえず拗ねてますよ」
鬼エルフの言葉に王子を見ると壁に寄りかかっていた。
何だあれ?
可愛いとでも思ってるのか?
「王子殿下、こんな私で宜しければ王子殿下に嫁がせていただきたいですわ」
エリザちゃんは顔を真っ赤にして王子に向かって叫んだ。
可愛い!
王子は壁から離れるとにっこり笑ってエリザちゃんを抱き締めた。
「幸せにする」
「殿下、人に見られてますわ!」
それを見ていた私とエンジェちゃんはムカついて王子を蹴り飛ばしたが、許してほしいと蹴った瞬間思ったのだった。
なんか、思ってた感じにならない。




