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お昼に仲を深めます

 男爵令嬢は魔力が高い。

 魔法や魔方陣の扱いは雑で周りに迷惑をかけるレベル。

 最近零士君にベッタリくっついて魔法を教わっているみたい。

 零士君は優しいから一から教えてあげてるけど、零士君は魔法が得意じゃないから結構大変そうだ。

 ルッカ先生にも率先して聞きに行ってるみたい。

 勉強熱心なのに何ですぐにエリザベートちゃんの方に危害を及ぼす失敗をするんだろうか?


「小鳥ちゃん、本気であの子が真面目だと思ってるの?」

「………ち、違うの?」


 エンジェリナちゃんが呆れたようにため息をついた。

 何でだ?


「あんなの、顔の良い有力者に取り入ろうとしているだけだって気づかない?」

「………取り入ろうと?え?零士君は解るけどルッカ先生は?」


 ルッカ先生が魔法研究所の人間なんて誰も知らないはずだ。

 

「ルッカ先生は顔がよくて教え方が上手で爵位が伯爵でしたわよね?」


 エリザベートちゃんの言葉に私は唖然とした。

 ルッカ先生、伯爵なの?

 知らなかった。

 いつものように裏庭の奥でエンジェリナちゃんとエリザベートちゃんとお昼御飯を食べているとそんな話になった。

 有力者に取り入ろうとする男爵令嬢。

 

「結婚願望が高いのかな?」

「いろんな男性にちょっかいかける女性をビッチって言うらしいですよ!」

「………エンジェリナちゃん」

「お兄様や王子様にまでちょっかいを出そうとしているみたいでイラッとするんですよね」


 ああ、王子にタックルしてたの見たな~。


「まあ、王子様やアークライト様まで!」

「あ、王子がエリザベートちゃんが大丈夫か心配してたよ」

「へ?」

「熱々ココア事件を気にしてるんだよ」

「恐れおおいですわ!」

「王子に後で元気な姿を見せに行く?」


 エリザベートちゃんは困ったような顔を作った。


「王子殿下にご迷惑ですわ」

「いや、顔を見せたら喜ぶよ」

「王子殿下はお忙しい人なんですのよ!」


 王子がエリザベートちゃんの事好きだから顔見せたら喜ぶって言ってやりたい。


「エリザベートちゃんは王子と仲良くなりたくないの?エリザベートちゃんも庶民と仲良くなりたくないタイプの人でしょ?王子なんて仲良くなりたいんじゃないの?」


 エリザベートちゃんはお弁当のサンドイッチを手にしたまま固まった。


「わ、私は庶民と仲良くなりたくない訳ではなくて、貴族の絆を深めるのに庶民と仲良くしている暇がないだけですわ」

「どういう事?」

「家は、お父様が優しすぎるんですの」


 どういう事?

 私は黙って先を促した。


「お父様はすぐに騙されてしまう類いのお人好しで信用できる貴族を見極めないとまた騙されて借金を背負うなんて御免ですわ」


 エリザベートちゃんはどうやら苦労をしてきたらしい。


「エリザベートさん、何か困った事があれば私に言ってください!そしたら直ぐにこの国一の策士のお兄様が助けに行ってくれますから」

「国一の策士」


 エリザベートちゃんの口元がひくっとした。


「鬼エルフならエリザベートちゃんのお父さんを騙そうとしたやつを返り討ちにして逆に騙し返してくれるよ」

「こ、心強すぎて怖いですわ」

「エリザベートちゃんのためなら、私だって知り合いの貴族の皆さんにエリザベートちゃんの事宜しくねって言っといてあげるよ」

「ミロードさんの知り合いの貴族の皆さんってどんな方ですの?」


 エリザベートちゃんが苦笑いをすると、エンジェリナちゃんがクスクス笑った。


「エリザベートさんは凄い味方が出来ましたね!小鳥ちゃんの知り合いの貴族の皆さんは実力者しか居ませんから」

「実力者?」

「はい!下は魔法使いのしたっぱ貴族から上は国王陛下までですから」


 エリザベートちゃんは手に持っていたサンドイッチを落としそうになった。

 勿論風の魔法で浮かせてみたけど。


「貴女何者何ですの?」

「国家機密」


 エリザベートちゃんは深いため息をついた。


「きっと、それを知ったら恐ろしいことが起きるんですのね」

「大丈夫!記憶を無くす薬も作れるから、いざとなったら」

「なん何ですのそれ?怖すぎますわ」

「大丈夫だよ!エリザベートちゃんは友達だもん!」

「食欲が無くなりましたわ」


 エリザベートちゃんは浮いているサンドイッチを掴むとお弁当箱にもどした。

 

「私ね、人を見る目はあるんだよ。だから、エリザベートちゃんとは一生仲良くなれるって解る。エリザベートちゃんも有力者と知り合いになっといた方が良い。放課後王子に会いに行こう?」


 エリザベートちゃんは困ったような顔をしてから言った。


「解りましたわ。王子殿下と友達になってやりますわ!」

 

 私とエンジェリナちゃんは満足してして頷きあったのだった。


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