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クッキーは好きですか?

喉がヤバイ!

もぎたい。

 マクスさんに悪い事をしてしまった。

 シャイなマクスさんにあんな言い方をしたらそりゃ姿を消すに決まっていたのだ。

 

「でね!マクスさんに何かしてあげれないかな?」

「僕から言わせてもらえるなら、リリックなんかに気を使わなくて良いって!」


 マクスさんの事を思うなら、一番長い時間を一緒に過ごしていたルッカ先生が一番だと思ったのでルッカ先生が学園から与えられている部屋まで会いに来たのに使えない。


「ルッカ先生はもう少しマクスさんの事を大事にして!」

「あいつは僕の弟子だよ?気なんて使わないよ」

「弟子?呼び捨てにされてるのに?」

「………」

「実力もマクスさんの方が上なのに?」

「………オブラートって言葉を知ってる?」


 ルッカ先生が拗ねている間どうするか考えた。


「じゃあさ、マクスさんの好きな食べ物って何?」

「………あのさ、小鳥ちゃんは何?リリックが好きなの?」

「好きだよ」

「…………どういう意味で?」

「人として?迷惑かけちゃったりしてるし嫌う理由がないよ……」

「恋愛的理由ではなく?」

「恋愛的?それってどうやったら解る感情?」


 ルッカ先生は深いため息をはいた。

 なんだ?

 失礼なオーラが出てる気がするのは何でだ?


「魔法研究所の人間は頭を使うから甘いものが好きなやつが多いよ………リリックは仕事がつまるとケーキをホールで食うから好きなんじゃない?」


 甘いもの好きなんだ。

 おにぎりもモキュモキュ食べてたけど、クッキーとかを食べさせたら可愛いかも知れない。

 私はクッキーをカリカリ食べるマクスさんを想像して思わず笑顔を作った。


「………リリックめ、ぶっ殺す」

「何言ってんの?ルッカ先生よりマクスさんの方が強いでしょ?返り討ちにあうだけだよ」


 ルッカ先生は頭を抱えて、ぶつぶつとなにかを呟いていた。


「くそ~僕の可愛い妹分にあんな社交性のない男なんて~ちょっと実力があって、顔が良くて背が高いだけじゃねぇか~」

 

 何を言ってるのか聞こえないし怖いから、何も言わずにルッカ先生の部屋を気配を消して出ていってみた。







 クッキーはよく作る。

 母が好きだからってのもあるが、お菓子は分量をちゃんと計らないと上手くいかないから好きだ。

 分量を計って混ぜて焼く!

 出来上がったクッキーのあら熱をとって小分けの袋に入れて出来上がり!

 魔法研究所に行くために城につくと城の中庭の垣根から足が生えていた。

 ………あれ、何?

 私はその足を引っ張ってみた。


「あ、ありがとうございます」

「ま、マクスさん?何やってたの?」

「小鳥様でしたか。実は垣根の向こうに魔法薬の材料になりそうな草を見付けまして思わず手を伸ばしたのですがスッポリはまってしまいましてどうしたものかと思っていたら小鳥様に助けられたという顛末です」

「草、とれたの?」

「はい。ですが、思っていた草とは違ったみたいです………すみません」


 シュンとしてしまったマクスさんが可愛い。

 可愛いと言えば、クッキーを持ってきたんだった。


「マクスさん、これ、あげます」

「これは?」

「クッキーを持ってきたんです。クッキーは好きですか?よかったらどうぞ」


 マクスさんは包みを開きクッキーを一つとると、一口で頬張った。

 !

 思ってたのと違う!

 もっとカリカリ食べると思ったのに!

 小動物食いしないとは!


「とっても美味しいです………な、何か?」


 思わず食べ方が違うからって睨み付けてしまっていた。

 私は深くため息をついた。


「自分は何かしてしまったでしょうか?」


 マクスさんが慌てて聞いてきた。


「私がマクスさんに過度の期待をしていたみたいです。ごめんなさい」

「な、何か期待を裏切ってしまったみたいで申し訳ない」


 私が勝手に小動物食いを期待しただけなのに、マクスさんは頭を下げてくれた。

 私が悪いのに。

 私はマクスさんに抱きつくと背中をポンポンした。


「私が悪いんで気にしないでください」

「………」


 私はマクスさんから離れると、鞄に入っていたクッキーを全て取り出すとマクスさんに手渡した。


「全部あげます」

「え?良いんですか?」

「マクスさんのために作ったので。全部食べてください」

「は、はい」

 

 私はマクスさんの顔もろくに見ずにその場を後にした。

 抱き締めるとか何やってんだ私!

 マクスさんだって戸惑ったに違いない!

 私は顔が赤くなるのを隠すように自宅に急いだのだった。

 

マクスさんカリカリ食わなかった……


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