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悪い事をしてしまった

インフルが息子にうつった!

 国家機密が学園内を歩いています。

 まあ、城に結界をはっている父の次に実力のある魔法使いのリリック・マクス・リー。

 あの人、何してるんだろ?

 マクスさんはあまり喋らない人だ。

 話しかけない方が良いだろうか?

 マクスさんは私が見上げるほどの身長に、濃い紫の髪の毛がお尻のあたりまであって、藍色の瞳の無口さん。

 イケメンだが、魔法で姿を消したりできるから見付けられたらレアだって言われて伝説の生き物扱いだ。


「マクスさん~」


 レアだし、声をかけてみた。

 マクスさんは私の方をチラリと見ると深々と頭を下げてきた。


「マクスさん!」

「ご無沙汰申し上げております小鳥様」

「いやいや、頭あげてください!マクスさんの方が身分が上ですよね?マクスさんって確か、侯爵様でしょ?」

「自分は尊敬に値する方にしか頭は下げませんので」


 それはそれで駄目じゃないのか?


「小鳥様も潜入調査中ですか?」

「潜入調査?」

「ルッカも潜入調査だとうかがっています」


 ルッカさん後輩に呼び捨てにされてますよ。


「私は潜入調査じゃなくて、ここに通ってるんです」

「?………小鳥様はおいくつでしたか?」

「16歳です」

「……………そ、そうでしたか………精進いたします」

「マクスさんは精進しなくても凄い人じゃないですか?」


 マクスさんは暫く黙ると言った。


「小鳥様にそう言われると報われた気がいたします」

「そんな大袈裟な」


 マクスさんは滅多にしない笑顔を作ると私の髪の毛を一つまみして、その髪の毛に軽いキスを落とすとシュルンと姿を消した。

 自分でやったことに照れるぐらいならやらないでほしかった。

 私まで照れちゃうじゃんか!

 マクスさんはたまに突拍子のないことをする。

 手の甲にキスをしてきたり。

 危ないからって軽々と持ち上げたり。

 私のうっかりミスで建物を吹き飛ばした時もマクスさんが全て一人で直してくれたり。

 ………ごめんなさい。

 迷惑をお掛けしているのは私です。

 そして、私に何かしてしまったって思うと姿を消してしまう。

 照れちゃうらしい。 

 いや、私の方が照れちゃうから。

 礼儀正しい侯爵家の次男坊で、あまり喋らないのにスキンシップはしてくる。

 不思議な人だ。

 父は私がマクスさんにお世話になっているなんて知らない。

 伝説の生き物だから………

 父の前だと姿を消さないってのも聞いたことがあるが私にはよく解らない。

 




 マクスさんを見付けた数日後また、マクスさんを見付けた。


「マクスさ~ん」

「!」

「また会いましたね」

「また、見付かってしまいましたか?さすが小鳥様です」


 私はマクスさんの腕にしがみついた。

 捕まえとかないと逃げそうだからだ。

 マクスさんは少し狼狽えたが逃げはしなかった。


「何しに来てるんですか?」

「ルッカから聞いていませんか?」

「ルッカさんは先生なのであまり話しかけないようなしてる」

「そうでしたか。ルッカの仕事を今自分が肩代わりしているので不具合がないかの確認に」


 ルッカさん、マクスさんに迷惑かけるなよ!

 私が言えた義理じゃないけど………


「マクスさんは怒った方が良いよ」

「仕事が好きなので」

「人の仕事までしてたら体壊すよ」

「………丈夫なので」


 心配だ。

 私もたびたび迷惑をかけてる人だ。

 無理して倒れたら困る。


「ご飯は?ちゃんと食べてますか?」

「………それなりに」

「マクスさん!」


 私が怒るとマクスさんは姿を消した。

 あいつ食べてないな!

 私は作戦を練ることにした。



 


 その日の放課後、私は魔法研究所に向かっていた。

 久しぶりの城だ。

 迷うことなく、魔法研究所にたどり着く。

 迷うように魔法がかかっているが、私にはきかない。


「お父さん!」

「おお!小鳥!どうしたんだい?」

「お父さん、今日忙しい?」

「………うん。家に帰れないかも………」

「じゃあ、お弁当」


 私がお弁当を差し出すと、父は泣いた。

 魔法研究所の人達皆で食べられるように五段のお重にした。

 まあ、全部おにぎりで段によって中味の味が違う五種類にした。

 

「皆で食べられるように全部おにぎりにしたよ」


 私の言葉に、何時もはあまり話してくれない人までありがとうを言ってくれた。


「僕にだけじゃないんだ?」

「お父さんは家に帰って来れたら食べられるようにご飯用意してあるからね」

「………小鳥が作ったやつ?」

「お母さんも今日は遅いみたいだから私が作ったよ」


 父がガッツポーズをしていた。

 母は料理が嫌いだ。

 苦手じゃなくて、嫌い。

 だから、母が作ると焼くの一卓になる。

 まあ、ワイルドなのだ。

 私は料理が好きだ。

 魔法薬の調合に似てて楽しい。

 まあ、今日はおにぎりだがね。


「皆~小鳥の差し入れだよ~」


 皆がおにぎりを食べているなか私はマクスさんを探した。

 マクスさんはもくもくと魔方陣を書いている途中でおにぎりをとりに来る気配がない。

 私は仕方なくマクスさんの所におにぎりを五種類お皿にのせて持っていった。

 話しかけたら邪魔だろうか?

 私はマクスさんが魔方陣を書き終わるのを待った。

 それにしても綺麗な魔方陣だ。

 うっとり見ていると、魔方陣を書き終わったマクスさんが私に気が付いてビクッと肩を跳ねさせていた。


「差し入れです」

「あ、ありがとうございます………美味しそうです」


 マクスさんは一つのおにぎりを両手で持ってモキュモキュ食べ始めた。

 こ、この人小動物みたいだ。

 可愛い。

 思わず見ていたらマクスさんは気まずそうに私に視線を向けた。


「お、美味しいです」


 なんだか感想を催促してしまったみたいになった。


「なら良いです」


 可哀想に言わせてしまった。

 まあ、モキュモキュ食べるの可愛いから得したと思うことにしよう。

 

「小鳥様、ありがとうございます」

「へ?」

「自分があまり食べていないと言ったから気を付かわせてしまったんですよね?」

「お父さんのついでです」

「………うぬぼれました。すみません」


 マクスさんの顔がみるみる赤くなり姿を消した。

 私はその時、可哀想な事をしてしまったと本気で思ったのだった。

 

私にもインフルがうつっゲフンゲフン…

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