平凡って良いよね
またまた、見切り発車です。
宜しければお付き合い下さい。
私は小さい頃から父に連れられて魔法研究所に出入りしていた。
魔法研究所は魔法使いの中でも限られたエリートしか出入りの出来ない特別な場所。
私がそこに出入りしていられたのは、父がここの局長だったから。
「局長!また、小鳥ちゃん連れて来たんですか?後でマリッサに怒られますよ!」
「だって、霧子が悪魔狩りに行っちゃったから、小鳥一人でお留守なんて可哀想でしょ」
私の母である霧子は、魔法使いの中でも武芸に秀でた『狩人』という職場でその中でも達人と呼ばれていた。
魔法使いは治安を護る要で、主に悪魔や魔物と戦う。
それ以外は騎士団が取り締まっている訳だ。
「きょ~く~ちょ~!」
「やあ、マリッサ」
「何がやあ、マリッサですか!あれだけ危ないから小鳥ちゃんをここに連れてきたら駄目だって言ったじゃないですか!」
「でもね、霧子が狩りに行っちゃって………狩りに連れていかれるより安全でしょ?」
父のいうことも解るが母に連れていかれても母がそんなヘマをするとは思えないし、母の方についていけば狩人の皆さんが魔物の殺し方をやたら教えてくれる。
試しに魔物の首を落としたら、連れていってもらえなくなった。
母いわく理由は〟狩人のメンツ〝ってのがあるらしい。
よく解らん。
「マリッサさんにルッカさん、ごめんなさい」
「「小鳥ちゃんは悪くないよ~」」
ルッカさんにマリッサさんは父の部下でかなり優秀な魔法局員さんだ。
ルッカさんは茶色い髪と目をしたイケメンさんで私を膝にのせて、お絵描きするように魔方陣を書く。
マリッサさんは赤毛に赤茶色の瞳の美人さん。
お茶を淹れるって言って私を連れていき、魔法薬の入ったお茶を淹れて二人を実験に使う。
私が持っていくと疑わずに飲むから良いらしい。
私には甘くて美味しいお茶とケーキをくれるから逆らえない。
他にも、魔法を研究する人は何人か居るが構ってくれるのは主にこの二人に父だけだった。
こんな生活を何年もしていると、私だって色んな事を覚えてしまうわけで………
16歳になった頃には私は大抵の魔術が扱え、大抵の魔方陣が書けて魔法薬にも詳しくなった。
魔法研究所には最近は近寄っていない。
何故って?
手伝わされるからだ。
母についていって武術の訓練も今はしていない。
母と一緒で大男を泣かす小柄な私は鬼のように見えるらしいので数年前から家で母に教わることにしている。
そんな私も今年から国立マリクール学園高等科に進学だ。
私の目標は、目立たないこと!これに限る。
初等科、中等科と目立たずに来れたんだ。
このまま目立たないようにすごして、簡単な事務職にでもなって平凡な人と結婚したい!
何故って?
魔法使いって面倒臭いから!
父と母にそれに関わる色々な魔法使いを見てきたけど、魔法使い面倒臭い。
私は平凡に生きたい。
だから、高等科を出たら普通に就職しよう。
その時の私は、マリクール学園がどのような学園であるかも解っていなかった。
自分は夢も希望も持ち合わせた普通の学園生になれるとその時は思い込んでいたのだった。
頑張ります!