紫水晶瞳 ~天使達の読む童話~2
この話は、連載している私の長編小説「紫水晶瞳」のベースとなる、天使達に伝わる童話を文章化した物です。
「1つの灯」で、赤い角のシフォルゼとオレンジ色のティクエルがちょっとだけ語っています。銀天使の数が少なかった理由、更に貴族が作られた理由となります。
読んだ方にとっては反復になりますが、こういう話が伝わる世界だという事で触りとしてどうぞ。
神は魂を守り導く者として、
宝石や鉱物で天使を創造しました。
金と黄玉、銀と青玉、銅と紅玉、鉛と緑玉、水銀と水晶
いろんな組み合わせで作られた天使達は、
神の御許で、人を導き、幸せに暮らしていました。
金と黄玉で作った金天使は光を人に導き分けました。
鉛と緑玉で作った緑天使は春を人に導き分けました。
銅と紅玉で作った紅天使は夏を人に導き分けました。
水銀と水晶で作った青天使は秋を人に導き分けました。
銀と青玉で作った銀天使は冬を人に導き分けました。
残った宝石で作った黒天使は闇を人に導き分けました。
天使達はその時期の恵みを人に与えます。
光は辺りを照らし、道を導きます。
闇は疲れた体を癒し、安らぎの眠りを。
春は美しい芽生えを。
夏は豊穣を約束し、
秋は豊かな恵みを刈り入れます。
ただ、冬は。寒さと厳しさを。
人間は思います。
『冬が無ければいいのに』
2人で一対に作られた天使達。
いずれ人間が増えれば天使も増えていきます。
その中で人間は思いました。
「銀の天使が増えたら……厳しい冬が必ずやってくる」
それを嫌った人間は銀天使の1人に言いました。
『雪うさぎが血を流して苦しんでいる、助けておくれ』
心優しい銀色の天使。
彼は人間を疑いませんでした。
冬は厳しいが、その時期の雪は山に水を貯えさせ、
土地を休ませ、春に迎えさせる芽吹きの為の序章。
決して人間を苦しめる為ではありませんでした。
雪に覆われた大地に点々と零れた血。
それを辿って行くと、樹に吊り下げられた兎が可哀想に死んでいました。
その兎を樹から降ろそうとした時、人間は銀色の天使を捕まえ、
兎と同じように樹へ吊るして、殺してしまいました。
天使の血で濡れた大地は冬が明けると砂漠になりました。
雪も降らず、休みのない大地はだんだんと痩せていき、
人間が暮らせなくなりました。
そこでやっと人間は冬の大切さを知りました。
残された銀天使は悲しんで、冬を紡ぐのを止めてしまいました。
相手の天使も居ないので、仲間を増やす事もできません。
神も銀天使を慮り、もう一度、対の天使を作りたかったのですが、
残りの宝石は全て黒天使を作る時に使ってしまい、
何も手元にありません。
神は考えた末、自らの血と銀天使の涙を混ぜ、
対となる天使を育みました。
そして冬はまた紡がれるようになりました。
ただ、神の血が四散する事を許さず、
銀の天使は他の一族に混じる事は出来なくなりました。
また、人間が自らの都合で天使を犯さないよう、
天使は人の世界に降りる事を限られるようになりました。
時間を持て余すようになった天使達は、
自分達の世界を築くようになりました。
神はその中、戒律として、金、銀、紅、緑、青、黒、
中でも血の混じらない者に、貴族の称号を与えました。
世界が美しく回る様、6色を欠かさない事を義務付け、
これが守られない時、
天使世界の全てが壊れるという枷を作りました。
全てが壊れた時、その瓦礫は人間に降り注ぐのです。
人間が再び季節や時を故意に消さないように作った枷でしたが、
天使達は血を守るという困難を与えられたのでした。
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