表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Knights VS Undead  作者: 神崎
第一章 東京隔離
16/54

十三話終わる、作戦第一フェイズ

―シャドウタイプが大量出現し、戦況は一気に不利になる。不死体(アンデッド)に喰らわれ、騎士団員が犠牲となっていく。神崎瞬は藍河静理と、怪我をしている三條瑠華を隔離し、たった一人で敵勢に立ち向かう。二度と破られぬ、隔離壁を以って―

更新遅くてすいませぬ。誤字脱字があるようならば、ご指摘を・・・・・・!

戦況はまさに不利そのものであった。突風により何人もの騎士団員が吹き飛ばされ、動けなくなったところで不死体(アンデッド)に喰らわれる。そして、不死体(アンデッド)化した後に、また他の団員に襲い掛かる。制圧作戦どころか、これでは防戦一方。しかも、その突風の正体というのが、今我ら聖騎士団(ガンナイツ)が最も警戒している不死体(アンデッド)、即ちシャドウタイプの事なのである。前線で戦う神崎瞬が感じた前回とは大きく異なるもの、それは不死体(アンデッド)の形態変化だ。


先日の駆逐作戦の時も、シャドウタイプは形態変化をした。その時は、瞬の隔離圧縮により、一度は完全に倒したはずだったのだが、形態変化により、瞬の隔離壁を破壊して再び出現し、戦慄を覚えさせたが、孤影の力により撃滅。難を逃れた。だが、今日のそれは先日見たものとは違う。瑠華が倒したシャドウタイプや、冴場が倒したシャドウタイプ、秋川が大気に還したシャドウタイプ。そのどれもが、あっさりとやられすぎているのだ。考えすぎかと、己で自重するが、自重の意味など皆無、別のシャドウタイプが、すでに周りを取り囲んでいた。数の検討などおおよそつかない。


~騎士領北門付近~

「瑠華!!伏せろっ!!!!!」

瞬の言葉虚しく、体重の軽い瑠華は突風に吹き飛ばされた。

「きゃあっ!?」

「三條!!」

宙を舞う瑠華の体を静理が抱きとめ、不死体(アンデッド)のいない少し離れた場所に着地する。だが、シャドウタイプはそんな静理の方向に高速突進する。

「静理さん!!後ろ!」

「何っ!?」

刀を右手に後ろを振り返る静理。正直その動きは、突進に対して大きく遅れている。かろうじて防ぐ事が出来た静理だが、間髪入れずにもう一撃が別の方向から静理に向かう。

「くっ……!!このままでは!」

「静理さん、そこから動かないで!!」

瞬が静理にそう指示を出した。どうする手立てもない静理は、従うままにその場に固まる。だが、それでは突進を防ぐ事が出来ない。一瞬焦りの表情を浮かべた彼女だが、文字通り、それは一瞬だけの事だ。突如、静理と瑠華の周りに壁が出現し、すぐに彼女達を周りから切り離した。さらに、頭上も蓋され、完全に周りから隔離された。

「これは……隊長の隔離能力。私達を隔離したのか……」

隔離された異常は、外の様子は窺えない。それどころか、音も聞こえないため、次に外に出られるのは、瞬が勝利した時、あるいは、その逆かのどちらかだ。静理はそれを考えると、不安になる。

「静理様、神崎様が心配ですか?」

か細い声で、未だ静理に抱きかかえられたままの瑠華がそんな事を聞いた。静理は、いつになく真剣な顔になって、小さく呟く。

「隊長を見ていると、まだ、不安になる事がある。ただそれだけだ」

そこには、まるで弟の心配をする姉のような、子供の心配をする母親のような、静理らしくない表情があった。瞬を見て不安になるのは、自分が瞬を認めていない証拠か。それとも……

「……」

瑠華は、そんな彼女を見て優しく弱々しくも、大丈夫ですよ、と微笑んだ。


「いくらなんでも、被害が大きすぎる。だからこそ、俺は……」

手にした拳銃(ハンドガン)はいつも通り二丁。体も軽いし調子は絶好調。先日の疲れなど、とうに忘れた。なら、今自分がやるべきは何か。そんなのは決まっている。

「何があってもこの作戦、必ず成功させてやるよっ!!」

駆け出す。いや、実際には駆け出す意味もないのだろうが、地面を走る。シャドウタイプの軍勢は真っ先に瞬に狙いを定める。そして、一斉に突進する。その速度、常人ならば、互い違いに挟み殺されて即死であろう。

「ちっ……!多方向からの挟み殺しか!でも、俺には通じない!!」

瞬は即座に宙へと飛び上がる。不死体(アンデッド)達は、突進の勢いのまま互いに激突し合い、鈍い音を響かせる。肉と肉がぶつかる音だ。瞬はそんなもの気にも留めず、しっかりと今視界に移る不死体(アンデッド)の数を数える。数えた後、宙に隔離壁での足場を作り出す。

「高速で突進したんだ。反動が大きくて動きは取れないだろ」

地面を見下ろす瞬は、ぶつかり合って身動きを取れていないシャドウタイプに対し、ゆっくりと右手の手のひらを向けた。そして、その手を力強く握り、小さく呟いた。

「隔離圧縮……」

不死体(アンデッド)を、隔離壁が隔離し、外界から切り離す。隔離壁によって立方体が生成し、その立方体は瞬の手の動きに比例するかの如く、一気に圧縮された。もちろん、隔離されている訳だから、血が噴出したり、骨の砕ける鈍い音が聞こえたりもしない。だが、これで確実に数体の不死体(アンデッド)は圧縮された。しかし、瞬が警戒するべきなのは、一度倒した後の第二形態への形態変化だ。

「いやいや、形態変化なんて出来るわけ無いね」

先日の通りなら、圧縮された後、莫大な力を伴ってシャドウタイプの形態変化が起きるはずなのだろうが、瞬の言葉通り、形態変化は起きない。それどころか、圧縮された隔離壁の立方体を解いても、第二形態のシャドウタイプが出てくることは無く。大量の黒い血がしぶき出すだけだ。

「ざっと数えて四体……撃破完了」

瞬は、余裕の表情でそう言い、次の標的を探す。四体の駆逐が完了したとは言え、高速で移動する黒い影が居なくなったわけではない。

「言い忘れてたけど、俺の隔離能力は、経験した事の無い未知の力を、一度でも経験(・・・・・・)すれば(・・・)、それ以降二度と破られる事はない」

以前に説明したと思うが、これが、隔離能力の欠点である。自分の経験した事の無い、隔離能力を破壊する力を「経験」する事で、それを「学習」し、次に破られないよう「成長」する。まだ力の全てを理解しきっていない瞬は、隔離能力の性能も成長段階であるが、それは、これから先まだまだ強くなれるという期待にもなる。


そういう意味では、この欠点は利点としても扱えるかもしれない。

「正直、周りの皆が軽々とシャドウタイプを駆逐していくものだから、ハッとなったけど、それでも俺は、特攻部隊の隊長なんだ。負けてられないよ」

瞬が微笑を浮かべると、その瞬間、周囲一帯に、立方体がいくつも出現した。同時に、突風が止み、黒い影の動きも収まった。恐らく、瞬が全てを隔離してしまったのだろう。

「それに……俺、今尋常じゃないくらい怒ってるから気をつけなよ?」

微笑を浮かべたままの瞬だが、その微笑は、冷徹なものであった。彼の怒りの原因が何なのかは検討もつかないが、微笑む彼からは明らかな怒りが感じられる。

「一回俺の隔離能力を破ったからって、調子に乗りすぎだよ。そんなに俺に殲滅させられたいの?」

瞬が両手を前に出し、その手を強く握り締めた。すると、それに反応するかのように、周囲の立方体は「圧縮」されていった。ほんの数秒で、風は止み、黒い影が視界から消えた。彼の力で圧縮され、粉々に砕けた、あるいは、「形」そのものを無くした不死体(アンデッド)が、形態変化する事は出来ない。そのため、「圧縮」された時点で、すでに勝負はついており、突如として現れたシャドウタイプ(数は分からない)は瞬一人で殲滅させられた。


隔離が解かれた時、解かれた理由は二つに分かれる。一つは、瞬が勝利し、周りから不死体(アンデッド)がいなくなって、安全が確認された時、そしてもう一つは、瞬が倒され、隔離能力そのものが破壊された時である。瞬に限って、後者になる事はまず考えられないが、それでも、隔離空間内の静理は、言い知れぬ不安を感じていた。

「あれからどれくらい経ったんだ……?」

胸元ポケットのアリスを取り出すが、電波は全く入っておらず、圏外扱いとなっている。それもそのはずだ。瞬の隔離能力は隔離したものを完全に外界から切り離すのだから。例えそれが目に見えぬ電波であろうと、α線やらβ線やらの放射線であろうと、はたまた呼吸に必要な酸素であろうと一切内部に侵攻させない。アリスに表示された時計は午後四時数分を指したまま止まっている。

「静理様。おそらくまだ数分も経っていないように思われます」

心配そうな表情を、隔離された時からずっと崩さない静理に対し、瑠華はいつもの落ち着いた声質で声をかける。

「む……そうなのか?というか、何故そんな事が分かるんだ?」

「簡単な事でございます。神崎様が私達を隔離した時より今この時まで、時間を数えておりました」

はて、不死体(アンデッド)の突進を真後ろから受けて弱っていた少女はどこの誰だったか。いや、そんな事は気にしてはいけない。

「いや、だがしかし、なぜ確信を持ってそう言えるんだ?」

「こう見えても遙香様に仕えるメイドであり、騎士道精神を常に重んじる者です。一分一秒と脳内では誤差など起きません」

静理は思わず、息を吐いた。別に瑠華に呆れて溜め息を吐いたわけではなく、純粋に感心して出たものである。普段遙香の下に仕えメイド業をこなす傍らに、三條家の人間として騎士道に生きる彼女は、日頃鍛錬を欠かさない。正直言って常人よりも遥かに時間を気にして動く必要がある。そんな彼女の脳内時計は、いつ何時も一分一秒の誤差が生じることはないのだ。

「何はともあれ、問題なのは神崎隊長だ。外界の様子が分からないと、どうも心配になる」

再び静理は不安そうな表情を浮かべる。それほど、不安で仕方が無い。言葉では「心配」と言っているが、実際の所は「不安」でいっぱい。言葉には表さずとも、表情から見て取れる。

「大丈夫です。神崎様は二度、同じ相手には敗北致しません。それは、静理様が一番お分かりでしょう?」

「それはそうだが、数が多いだろう?一体ならともかく相手が数体ならば……」

言葉の途中で、突如薄暗い隔離壁の中が明るくなった。いや、中が明るくなったのではない。外の光(・・・)が視界に入って来たのだ。これはつまり、勝負がついた証拠である。隔離壁が解かれた先に見えるのは、瞬の勝利か、それとも敗北か。

「隔離壁が解かれた……」

いきなりの明るさに、思わず目を細めてしまう静理と瑠華。

「へへ……勝利勝利。全部終わらせたよー……ふぅ」

次第に目が慣れてくると、目の前には、楽観的ではあるものの、かなりの疲れを感じさせる表情の瞬が、勝利宣言をして立っていた。その体には、黒い血が大量に付着しており、外界での不死体(アンデッド)の戦闘が壮絶だったという事を感じさせる。

「か、神崎隊長!」

「神崎様……!」

静理と瑠華は、彼の姿をしっかりと確認すると、ゆっくりと駆け寄る。だが、目の前まで来て、瞬は両手を挙げてそれを制した。

「ああ、二人とも待った。感染性のある血液がかかってるかもしれないから、今はあんまり近寄らないでくれ」

確かに、瞬の言う通りである。不死体(アンデッド)の体内には人間の細胞に入り込む事で、感染性のあるウィルスを体中に侵攻させる感染性細胞が存在するので、下手に触れれば傷口から感染する可能性がある。

「特に瑠華は駄目だよ。不死体(アンデッド)の突進を後ろから受けて怪我してるし」

「安心して下さい隊長。少なくとも今この状況で隊長に飛びつくような馬鹿はいませんから」

静理は、敬語であるにも関わらず、とてつもなく冷たい目をしながら冷たい目をしてそんな事を言った。それを聞いた瞬は、後ろに大きく()け反る。

「そもそも、どんな状況であれ、隊長に飛びつくなど皆無でしょう」

バリーン、と何かが割れた音が聞こえた気がしないでもない。今のが決定的な言葉だったのか、瞬はしゃがみ込んで、俯いてしまった。

「酷い、酷すぎるよ静理さん……!」

「神崎様。お気になさらず、元気を出してください」

瑠華が優しく声をかけると、瞬は絶望の中から光明を導き出したかのように、ぱぁっと表情を明るくする。

「瑠華、お前はなんていい奴なんだ!」

「何があっても、私は飛びつきますから……」

頬に手を当ててもじもじとし始める瑠華。いや、本当にそうだとしたら、瞬からすると嬉しい限りだが、良く考えてみるとそれはそれで悲しい。何せ、瑠華以外に女性がいなくなるわけだし、加えて、一部の熱烈なファンから襲撃を受けそうな気もするからだ。つまり、結果論、何のフォローにもなっていない。

「瑠華……フォローになってないよ……!」

『神崎瞬!!応答しなさい!』

「うわぁ!?」

地面に膝をついて落ち込んでいると、途端に胸元のアリスから大音量で声が聞こえてきた。いきなりだったので、思わず飛び上がって驚く瞬。

『驚いてないで返事!』

「は、はいぃ!!」

『監視部隊から通達があるわ。制圧作戦、現時点を以って、終了よ』

声の主は細波。そして、連絡内容は、制圧作戦の終了報告だ。

「ほ、細波。それは本当か?」

『ええ。こちらから全部見せてもらったわ。半径数百メートル圏内の外界制圧は無事完了したから、指定範囲内に隔離壁を建てて外から不死体(アンデッド)が入らないようにしておいて頂戴』

こちらから、というのは、この作戦における待機メンバーが待つ教会から、というわけではなく、監視部隊の専門施設から、という事だ。監視部隊にはその名の通り監視に長けた電子機器などが充実しているので、大掛かりな作戦の時は、専門施設から作戦を監視する。当然、細波の場合は識別透視を使うことでそれぞれの地点の監視は直接行える。

「あ、ああ。了解した。関係の無い団員は帰還させていいか?」

『もちろん構わないわ。ただし、隊長格は戦況報告があるから、一旦隊長格室に集まるように』

「分かった。今すぐに帰還指示を出すよ」

そこで、監視部隊からの連絡は途絶えた。というか、一方的に回線を断ち切られた。恐らく、順次他の地点に作戦終了を伝えるためであろう。この場合に一斉通信を行えば、言葉一つで全体の動きに乱れが生じるからであろう。

「ふぅ……二人とも、帰還指示だ。これにて、作戦第一フェイズを終了する」

立ち上がり、静理と瑠華に向き直った瞬は、真剣な顔でそう言った。彼女達もまた、真剣味を帯びた表情で頷き、瞬の指示に従う。その際に、生き残った騎士団員にも帰還指示を併せて出し、瞬の代わりに団員達を引き連れて行った。勿論、死んだ団員達が所持していた銃や、それを収納するためのガンホルダーなど、形見となる物は全て持ち帰る。そう、死んだ者達の弔いが少しでも出来るようにだ。


「いいか。全部持ち帰れ。たとえどんな物であっても、それは死んだ団員達の意思となるのだから」

静理は、団員達に的確な指示を出す。瑠華もまた、それに従い、団員達の所持物(いし)を回収していく。集めていく中、知った名の記された物を何度も見た。それを見る度に、心が痛む。

「何故……犠牲者を出してしまったのでしょうか?私達は、力を持つ上で、その力で全てを変えなければいけないのに」

銃を手にとった瑠華は、酷く悲しそうに呟いた。まるで、自分達が無力だと、遠回しに言っているかのように。静理は、そんな瑠華の肩にそっと手を置き、同じく悲しそうに言葉をかける。

「三條……私達は無力だ。無力だからこそ、今は耐えるべきだ……」

「静理様……もしかしたら、私達は自分の能力に、溺れているのでしょうか?無力だから、能力に溺れるのでしょうか?」

二人とも、悲しく俯くだけで、言葉を発さなくなってしまった。

「それは違うよ、瑠華」

不意に後方から、隔離壁の調整を終え、帰還準備をしていたはずの瞬の声が聞こえた。振り向いて彼を見ると、いつもの楽観的な表情を浮かべている。明らかに場違いな表情をしている瞬に、静理は冷たい視線を送る。

「何故そう楽観的なんだ。人が死んでいるんだぞ?」

冷たい口調で話す静理に対して、瞬は背を向け小さく呟く。作戦終わりなので、敬語を使わない。

「無力だからこそ、能力に頼る。それが、今の俺達なんだ。溺れてるんじゃない。むしろ、能力という海に浮いて、大海を彷徨っているだけなんだ」

意味深な発言に、静理と瑠華は首を傾げる。瞬は背を向けたまましゃがみ込み、足下に落ちていた拳銃(ハンドガン)を手にし、言葉を続ける。

「力に溺れるどころか、そもそも力を使いこなせてない、のかな?だから、こうして犠牲者を出してしまう」

拳銃(ハンドガン)に刻まれた名を見る。もちろん知った名であった。駆逐作戦の時に、食堂で食券を渡してくれた団員。彼の事は知っている。察するからに、彼は昇格(ランクアップ)していたという事であろう。その彼の名が、拳銃(ハンドガン)に刻まれている。

「あいつ、あんなに張り切ってたのにな……」

彼も持っていたであろう能力。それを使いこなせずに殺されたとしたら、瞬の言葉は正論になる。だが、瞬も本心ではそんな事を思いたくなどないはずだ。

「そういう苦難を乗り越えて、俺達は強くならなくちゃいけない。これ以上、誰も死なせないために。だから、俺はこうして明るい楽観的な表情をするんだ」

二人に振り向いた瞬。笑顔を向ける彼であったが、瞳からは、涙が(こぼ)れている。自分でも気付いていなかったのか、彼は慌ててその涙を拭う。

「神崎……」

「神崎様……」

静理は、瞬の思考が理解できたのか、冷たい視線を解き、涙を拭っていた瞬に、制服のポケットに入っていたハンカチを渡す。

「軽率だった……真意を知らぬままに私はお前を軽蔑してしまった」

ハンカチを受け取る瞬は、若干を頬を赤く染めて顔を反らしている静理に優しく反応する。

「それが妥当な反応だよ。俺は、強がってるだけなんだし……ん、これ、今度洗って返すよ」

「む……そのまま返してもらって構わない」

「いや、洗うよ。汚れたし」

「構わん。いいから返せ」

「でも、血とかも一緒に付いたし……」

「だから、構わんと言っているだろう。返せ」

瞬からハンカチを取り返そうとする静理であるが、瞬はその行為を拒む。静理が引っ張ると、瞬はそれを離さず、逆に自分の下へと引っ張る。だが、それに対して静理が力を加えて引っ張る。しかし瞬は離さない。

「いやいや、俺が洗うって」

「駄目だ。私が持ち帰る」

結局、数分のやり取りの後、瞬が持ち帰ることとなるのであった。二人のやり取りを、横で一人見ていた瑠華は、小首を傾げて心で思う。

(はて……先程までのシリアスっぽい空気は何処へ……?)




一週間とちょっとぶりです。受験前で書き書きしにくくなりましてねーいや、ほんとすいません。受験が終わり次第、力を加えて頑張りますのでよろしくお願いします!そして次回予告。

―作戦終わり、一旦隊長格室へと向かう事となった神崎瞬とその他出撃メンバー。第一フェイズが正式に終わりを迎える中、緒代孤影は、秘密裏に言い渡されていた指令のため、一人外界へと向かう。それを知った神崎瞬は―

次回、十四話に乞うご期待?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ