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狂室  作者: みづ きづみ
オワリノ編
22/37

19時限目 蚊

 図書室から出た女子3人は”死神サン”と鉢合わせした。



逃げる間もなく、1人捕まる。

「助けて! あなたたち! 助けなさい!」

捕まったのは里宮であった。

肩に担がれ、抵抗する術もなく残った女子2人に助けを求めていた。

「………ごめん。助けたくない」

西川は先程の里宮の発言で気を悪くしていた。

隣にいる希崎も何も言わない。

「ちょっと! 早く助けて! 何してるの?! あなたたち最低ね! 絶交よ!」

「……初めから友達じゃないよ」

西川がうつむいた。

「いや! 助けて! ねえ! いやああああ!!」

里宮は一階へ消えた。


◇◇◇◇◇


 ここはどこかしら………【罰部屋】?

カチッ!

明かりが……

えっ?! 何これ?

透明の箱?

あんな所に穴がある…………

私への罰は何? そもそも罰って何?

私は何も悪いことしてないわ!


うっ! 何……これ……痛い……蚊?

あ……あああ! あああああああああああああああああああああああああああ


◇◇◇◇◇


 翔、大野田、今津の3人はやっと隠れる場所を見付けた。

それは部活休憩室だ。

ユニホーム等を洗う洗濯機や、喉を潤す為の自動販売機が置いてある。

ここは以外に人目つ着きにくく、3年間気付かない生徒もいる。

 何故ならサッカー部、野球部の部室と相撲部、陸上部の間に位置するからだ。

トイレと勘違いされることもある。

それ程存在感が薄い。

まるで学校の洗面台の所の石鹸の様だ。

「ここはいい。全然見付かる気がしないな。それに竹刀も見付けたし、ラッキーだった」

大野田は剣道部の竹刀を拝借していた。

「それに釘を刺してみろ。釘竹刀になる。殺傷能力二倍だ」

「グロいこと言うなよ」

「別にグロくねーよ」

「………おい、大野田、携帯電話……」

「!! 翔もだ」

3人の携帯電話の画面が動画に切り替わっていた。

映っているのはあの体育会系の女子、里宮だ。

「…まさかこいつ捕まったのか?」

「…らしいな。てことは、あの……」

「俺、もう観たくねーよ!」

「しっ! 静かに! バレる。観たくないんだったら観んな」

「……やっぱり観る」

どっちだ。

画面には不安の色を浮かべる里宮が透明の箱の中にいる様子が映されている。

不意に里宮が小さな悲鳴を上げた。

「!!!!!!! はぁ???!!」

「何じゃこりゃ」

里宮の視線の先には大量のうごめく何か。

「まさかこれ……」

「何か分かったのか?」

「虫なのは確実だ。で、この羽音」

これは……「蚊?!」今津はびくっと体を震わせた。

「声でかい! ……そう、蚊だろ」

「でも何で蚊?」

画面の中では蚊の大群が透明の箱の中に入っていくのか映し出されている。

『きゃあああ!!』

里宮は黄色い悲鳴をあげる。

必死に蚊を追い払う。

だが、約数百匹の蚊にはそんな攻撃は効かない。

背中に一匹の蚊が止まった。

そしてその針を突き刺す。

『痛い!』

針は太いのか、里宮は退け反った。

『……ああ、か……体が……しび…』

里宮は何かを言いながら地面にへたりこんだ。

もう抵抗出来ない様だ。

蚊が何匹も里宮を突き刺し、血を吸い続ける。

「翔、この蚊、何かでかくないか?」

「ああ。日本にはいない。あのゴキブリといい。外国の虫は人を殺すのが多いな」

里宮はもう息も絶え々だ。

『あああ。ううううう』

顔がどんどんと青くなっていく。

『たす……助けて……』

里宮は地面に這いつくばった。

同時に蚊がぶあっと拡がった。

そして透明の箱の穴から出ていく。

それと入れ替えに更に大きな個体が穴から入って来た。

それは里宮の手くらいの大きさがある。

真っ青で、ピクピクとしか動かない里宮にその巨体が(とど)めを刺す。

背中にずぶっと針が突き刺さり、その体を貫いた。

大量の血が出ると思われたが、あまりにも少量の血しか出ず、臓物が体から飛び出ただけだった。

最後に体を真反対に反らし、白眼を剥いた格好で里宮は死んだ。


現在時刻 午後二時四十分

ゲーム開始から約一時間四十分

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