16時限目 開始
遅くなりました。
すいませんm(-_-)m
◇◇◇◇◇
二〇〇五年 十月二十四日 午後十二時四十五分
二年四組のクラスには既に十人の生徒、参加者が集まっていた。
あと十五分で第二のゲームが開始される。
一分一秒ごとに、十人の緊張が高まっていった。そして…………………
『♪♪♪♪緑のふーかきこの町の~。えーがおかがやーくブチッ』
今のはこの学校の校歌だったのだろうか?
翔は耳を澄ました。
ガラガラガラ
教室のドアが開く音。
「!!」
「!?!」
十人が一斉に驚いた。
翔は心臓が凍り付いた様に息が苦しくなった。
なんと、教室に十人の”死神サン”が入って来たのだ。
参加者側十人の中には、前のゲームの物であろう銃を震える手で構える者がいた。
『オオット。申シ訳ナイ。”死神サン”ノ入場ガアルトイウノヲ忘レテイマシタ。スイマセン。………ソレヨリ、皆サン、オ久シブリデス』
「ほんの数時間前のことだろ」
『ハハハ。ソウデシタネ。サッキオ会イシテイマシタ。ソンナコトヨリ、
コレヲ受ケ取ッテ下サイ』
声の主がそう言うと、翔達の目の前にいる”死神サン”十人がごそりと動いた。
それに敏感になる十人。
何人か後退りした。
『怖ガラナイデイイデス。彼ラハマダ危害ヲ加エタリシマセン』
”死神サン”達はポケットから何かを取り出した。
「……な、何だ……これは…」
”死神サン”の手にあったのは、薄い電子端末だった。
『コレハ、マダ世界ノ何処ニモ発表サレテイナイ、新型ノ携帯電話デス。開発途中デ、マダ簡単ナ操作シカ出来マセンガ』
こいつらは一体どれだけの財力を持っているんだろう。それに、まだ世界に発表されていない物だ。権力者である可能性も……
『サア、早ク受ケ取ッテ下サイ』
一瞬の沈黙ののち、次々と参加者が動き始めた。
翔もそれに続いた。
”死神サン”の手から、赤色の薄い携帯電話を受け取った。
近くにいくと、何か威圧感を感じた。
直ぐに離れて、大野田や今津へ近寄る。
「翔。これ、どうやって使うんだ? ボタンが無いぞ?」
今津は困惑の表情を浮かべて聞いてきた。
確かに、この携帯電話にはボタンが無く、液晶パネルのみだった。
画面には、待ち受け画面の上に幾つかのアイコンがあった。
電話の受話器アイコン。これは通話ボタンだろうか。その隣には正方形に網を張った様なアイコンがあった。これは何だろうか。
「多分これはタッチパネル式の携帯電話なんだ。ほら」
翔は通話アイコンを軽くタップした。
すると[番号?]と書かれた画面が現れた。
「! 成る程!」
今津はパネルを次々と叩く。
『全員ニ渡ッタ様ナノデ、ソノ携帯電話ノ説明ヲシマス。何人カハモウ気付イテイルヨウデスガ』
十人共が、この珍しい機器を持って騒いでいた。
『マズ、受話器ノ様ナアイコンガアリマスネ? コレハ通話ボタンデス。後程、電話番号ヲ全員ト交換シテ頂キマス。ソシテ、ソノ隣ノアイコン。コノ網アイコンハ地図デス』
すると一斉にあちこちから声が上がった。
「地図? 何の為に?」そんな声が聴こえる。
『皆サン、コノ学校ノ内部ヲヨク知ラナイ筈デス。ナノデ、道案内トシテノ物デス。場所ヲ機器ニ検索サセ、ソノ内部ノ地図情報ヲ記憶サセルコトガ出来マス』
これには翔も驚きを隠せなかった。
教室が騒然となった。
『ソレデハココカラ、本題ノルール説明ニ移リマス』
その言葉に、十人の目付きが変わる。
『ルールハ第一回トハ違イ、今回ハチーム別ケハセズ、皆サン全員ガ、一ツノチームトナリマス』
ということは……俺達の敵は減る……負担が軽くなった。
『皆サンニハ、«生キ残リゲーム»ヲ行ッテ頂キマス。制限時間ハ無制限。最後ノ一人ニナッタトコロデゲームヲ終了致シマス。現在コノ学校ハ拡張工事ヲ理由ニ閉鎖中デスノデ、オ気ニナサラズ。ソシテ今回皆サンノ敵トナルノハ、ゴ存知、”死神サン”デス。勿論、蠍モ徘徊シテオリマス。更ニ、今回ハ”死神サン”達ニ積極的ニ皆サンヲ探シテ頂キマス。見付カリ、捕マッタラ、ソコデ即アウト。云ワバ鬼ゴッコデスネ。ソシテマタマタ特別ルールトシテ、罰ゲームヲ受ケテモライマス』
「罰ゲーム?! それは何だ!」
大野田が叫んだ。
それ以外にも抗議の怒声が聴こえる。
『罰ゲームハ【罰部屋】ニテ行イマス。罰ゲームノ種類ハ全テ異ナリマス。尚、”死神サン”ニ捕マッタトシテモ、罰ゲームヲ受ケルマデニ脱出スルコトガ出来レバ、即座ニゲームニ戻ッテモライマス。ソノ際、逃ゲレタ褒美トシテ、10秒間”死神サン”ノ動キヲ停止サセマス。ソレカラ、罰ゲームヲ受ケテ生キ残ッタ、ソノ場合モ【罰部屋】カラ解放シ、10秒間ノハンデヲ与エマス。開始ハ1時。時間通リスタートシマス。アト、5分デス。デハ…………ブッ』
…………スピーカーからの声が途絶えた。十人は唖然とする。皆、互いに目を合わせる。
『失礼、忘レテイマシタ。電話番号ヲ教エアッテ下サイ。番号ハ、ソノ<設定アイコン>デ確認出来マス。デハ……』
「……み、みんな、とにかく番号の交換をしよう」
大野田が全員に指示した。
翔も番号交換の為に設定アイコンをタッチした。
[番号確認]という文字が真ん中に浮かんでいた。
あと3分……
「おい! みんな急げ! あと3分だ! 時間通りあいつらは始めるぞ!」
翔が皆を急かした。
翔は次々と電話番号を登録、送信する。
だが、初めてのタッチパネルに、少々煩わしさを感じた。指が引っ掛かる。
開始1分前というところで全員の番号交換が終了した。
気持ちの整理が出来ていない。これも奴等の策略だろうか。
二年四組に居た、そして今も居る十人は教室のドア付近で開始の宣言を待ち構えていた。
いつの間にか十人の”死神サン”はいなくなっていた。
開始まで約30秒を切った。
全員が全員に目配せを交わす。
心臓が高鳴る。どくん……どくん…どくんどくん…
手にはじっとりとした汗が付着する。
それをズボンの裾で拭き取り、もう一度拳を握り直す。
あと10秒……
『………ソレデハ…ゲーム…』
「皆! 生きよう!」大野田がみんなを見回して言う。だが、
「生き残りゲームだ。全員は無理だろ」
何処からかそんな声が聴こえた気がした……そうだ。
裏切りが………………………
『……ゲーム、スタートデス……』
遂に、戦いの火蓋が切って落とされた。
午後一時〇〇分
ゲーム開始
ゲーム開始から零秒




