13時限目 迷走
ハジマリノ編完結!
◇◇◇◇◇
どしゅっ。
「えっ……」
体育館に桜田の声が響いた。
桜田は気持ち悪い物を見るように音のした方向を観た。
ぽたっ……ぽたっ…ぽたっ……
鮮血。
「………嘘……」
赤黒く血で汚れ、鈍く輝く鎌が、桜田の腹部を貫いていた。
それを握っていたのは………
「い……」
桜田は声を震わせて言った。
「稲…川……くん?」
桜田が泣きそうな顔になった。
「ふっ、ふはははははははは!!!」
翔が恐ろしい瞳を桜田に向けた。
「な…んで……?」
桜田の唇から、朱い血がどろどろと流れ出した。
「……………………生」
そして翔は突然下を向く。
顔が暗い。
「うっ! げほ!」
桜田が真っ赤な血を吐き出した。
「さ……くら……だ………」
翔は途切れ途切れに言葉を放った。
たったったったっ
走る足音……
どしゅっ!
今度は桜田では無かった。
青”死神サン”の斬られる音だった。
あっさりと翔の片手によって首が落とされる。
翔はそれには一瞥もくれず、話す。
斬るときだけは鬼の様だった。
「俺……は………うっ……ううっ……お、お前……を……」
翔は嗚咽を漏らし始めた。
「稲川君……げほ! 私は……分かってる……分かってるよ……ううん、今……今それが分かった……げほ!」
桜田は何かを感じ取り、最期の口付けを交わそうという風に血だらけの体を無理に翔へと…………
「………、……」
「ありが……とう。桜…田…」
「……………、………!」
翔は頷いた。
「わかっ……た……か、必ず……」
翔は嗚咽を更に激しくあげ、しきりに頷いた。
「稲川君……ううん、翔……。翔に止めを刺されて良かった……」
………ありがとう………
現在時刻 不明
ゲーム終了
◇◇◇◇◇
『………………。オ見事デシタ。翔サン。勝者、及ビ生存者ハ稲川翔サンデス』
「……………………………」
無言。
『ソコデ、朝ノ7時マデオ待チ下サイ。食料、水分ハオ届ケシマス。朝ノ7時前ニナリマシタラ、詳細ヲ説明致シマス。トニカク、今ハ何モオ伝エ出来マセン』放送は途絶えた。
「…………………………」
さらに無言。
顔は下を向いていて分からない。
だが、握り締めた手が僅かに震えていた。それが、恐怖なのか、何なのかは判断出来ない。
「…………」
翔がゆっくりと立ち上がった。
すたすたすた。いつの間にかボロボロの上履き。脱ぎ捨て、”死神サン”の死体へ向かう。
そして何かを取り出した。
「『高』………」それはペンダントだった。
中央に『高』と記してある。
「…………ふんっ」
翔は顔を上げた。
ぞっとする様な顔だ。
まるで鬼人。青”死神サン”を斬ったときの比にならない形相だった。
憎悪と復讐の神。
そう表すのが最も適切と言えた。
◇◇◇◇◇
二○○五年 十月二十四日 午前七時
ここは浅川高等学校。
有数な名門校の中でも特に名高い学校だ。
その名門校から出てくる、一人の生徒がいた。
まだ朝の7時だというのに。
その者の名を稲川翔。
死のゲーム。
たった一人の生き残り。
個人的にはかなり謎を残しての第一章完結になったと思います。
この謎は徐々に解いていきたいと思っている所存です。
まだまだ二章三章と続きます。(多分)
今後とも狂室をよろしくお願いします。
それとおそまきながらPVが1200超え。これは喜ぶべきなのかどうかは分かりませんが、とりあえずひと段落です。(ユニークは500強でした。)
感想、評価等頂けると有難いです。
尚、一章完結したんでちょっと休みます。
短編を書きたいと思います。
まあ、すぐに狂室も書き始めると思いますが…




