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うん、この話  作者: うんこマン
本編
1/11

うんこ中

 現在運航中である。

 うんこ中ではない。


 オッス社会の底辺のクズども。今日もセコセコ生きてるか?

 ま、お前らの近況なんかどうでも良い。


 俺の名は池面太郎。池面・太郎ではなく池・面太郎だ。

 高学歴、高収入、高身長で足も長く当然のようにイケメンだ。わかりやすく言えばお前らと対極の存在ってことだな。

 俺とお前らとの共通点なんて地球人同士だってことくらいしかねーかな。ま、そこら辺はどうでもよかろう。


 俺が何の仕事をしてるのかは知らんがとにかくお前らとは違って色々とスゲー事やってると思っておけ。

 そんな俺は仕事の関係で海外に飛ぶこともあるのだよ。面倒な話だがな。


 で、飛行機だが俺は当然ビジネスコースだ。お前らが海外旅行とか言って円の一桁単位を安くしようとするレベルのセコイ旅行なんぞとは違って金持ちたる俺様は最高のサービスに見合った金を払い満足いく空の旅を満喫することが出来るわけだ。

 ほんの数時間でも金をかけるべきところにかけることが出来る、これも全てを持った俺と底辺で何も持たないお前らとの違いの一旦と言ったところか。


 それはそうと現在この飛行機はハイジャック中らしい。

 アホ臭い事に。

 なんかこいつらの国の犯罪者の親玉のクズを解放しろだ土地を返せだの要求だがそういうのは他所でやれといいたい。


 ぶっちゃけると俺はそんな些事に関わっている状況ではないのだ。

 前の国で食べた物が当たったのかなぁ……めっちゃ腹いたい。うんこしたい。


 とっととうんこ行きたかったが飛ぶまでは動けなかったし、動けるようになった途端にこの騒ぎだ。

 うざい。


 ま、どうせ失敗するハイジャックなんぞより今は俺の腹具合の方が重要よ。

 てなわけで席を立ったのだが


「うごくな」


 つたない日本語でかかる静止の声。

 ここは他と比べ席が少ない分見張りも二人しか居ないがどうやら下っ端らしいな。日本語もこんな下手糞なやつしかいないとは。


「うっさいボケ。俺は腹痛いからうんこしたいだけだ」


 奴らにわかるように向こうの言葉で言ってくれたわ。

 俺はイケメンなので複数の国の言葉を流暢に話せるのだ。そのせいで外国での仕事に対しては真っ先に俺が行かされるわけだが。そのせいでこの状況だし日本に帰って落ち着いたら転職でもすっかね。


「うるせえ! 座ってろ!」


 しかし奴ら、言葉は通じても会話を成立させる脳が無かったようで。

 一人は席の後方で銃を構えて、もう一人は前方からズカズカ歩いてきている。脅しのつもりか知らんが素人丸出しだ。



「手間かけさせんな」


 んで、バカ二人を即効で無力化させさっさとうんこしようと思ったら


「あんた、何て事を!」

「自分が何やったか分かってるのか!」

「ドラマじゃないんだぞ!」


 周りの席のオッサンオバハン無能クズ金しか脳の無いうんこ共が喚き散らす。

 銃を持ったハイジャックにはビビッて顔を青くして震えていたようだがイケメンたる俺に対する態度を知らんのか。


「うるせーな。んな事より今はうんこしてーんだよ」


 ギュルギュル鳴る腹を押さえる俺には低脳どもと会話する時間さえも惜しい。


 だからトイレに行こうとしているのに


「おい、どうした!」


 部屋の扉を開けやってくる2人の男。両方とも銃を所持しているが片方は手にトランシーバーみたいなのを持っている。

 ふむ、無力化した奴らを見れば同じ物を片方が所持しているのでこいつらは仲間内で定期的に連絡を取り合っていてその連絡が無ければ何か問題があったのではと見に来たわけか。


「ッ!? これは! 誰がやった!」


 最初の馬鹿に比べれば若干ましな日本語で吼える低脳犯罪者。どうせ失敗は目に見えてるんだからその過程なんぞ気にすんなよと言ってやりたいよ。


「あいつです!」


 そう思っていたらビジネスクラスの客全員が指をそろえて俺を指す。

 なんてクズだこいつら。


「ちっ、ヒーロー気取りが!」


 銃を構える二人の男。めんどくせー。




「も、マジ限界」


 アホ二人も無力化に成功。

 後はトイレでうんこすれば終わりだよヤレヤレ。

 そう思ってた頃が確かに俺にもありました。


 しかし最初の二人は不意打ちに見えたから大したこと無いと思っていたのか。次の銃を持った二人の男を俺が無力化したことで何を思ったか周りの客どもは俺に事態を解決しろとか言ってきやがった。

 うざい。


 俺はうんこすると言ってるのに言葉が全然届きやしない。

 それどころかクズどもが持ってた銃も有るし早くしてくれとかアホな要求をしてくる始末。


 そういうのはハリウッド映画の中だけにしとけよ。

 俺はうんこを……と、思っていたが言ってる場合ではなくなった。


 すでに4人からの連絡が途絶えたことでハイジャックも真面目になりだしたのか、すぐに部屋に入ってこないがこちらを覗いている気配を感じた。

 出入り口の数は限られているので気配を探ればある程度察知できたが面倒な事に残りの連中はそこそこやりそうだ。

 いや、全員がそういうレベルというよりは指揮者が多少頭が動くと思ったほうが良いのか。

 どちらでも関係ない。


 重要なのはこのままでは俺はおちおちうんこも出来んということだ。


「くそっ」


 悪態をつきつつも俺はもう先にハイジャックを片付けた方が早いと計算できてしまった自分の頭脳がちと憎くなった。




 俺はイケメンである。

 ゆえに大概のことはこなせる。

 俺はイケメンである。

 ゆえに何をやっても無様を晒すことはない。


 その結果、俺は20分も便意に耐えることが出来た。これは賞賛されてしかるべきことであろうよ。

 飛行機の中のハイジャックどもも全員無力化しているがこれは俺以外でも出来ることだからどうでも良い。


 荷物に爆弾を仕掛けていてその解除方が胴とか言ってたがそんなもんは拷問でもして吐かせればいいのだ。

 もはや俺のやることではない。


 何よりも今はうんこだ。

 とっととトイレに行きたいというのに、最後の一人を倒した場所がエコノミーコースのエリアであったことが俺にとって最悪の災いよ。



「やった! 助かったんだ!」

「ありがとう! ありがとう!」

「わーい、おじさんカッコイイ!」

「や、やるじゃないか……ぼ、ぼくが出る幕も無かったようだね」


 何度でも言おう。

 うぜえ。


 お前ら低脳に構ってる暇はねーんだよ。

 だから俺はトイレに行こうとしたら


「英雄を胴上げしようぜ!」

「キャー! 名案!」

「よーしやろうぜ!」

「そうら祭りだ!」


 馬鹿な真似はやめろ!


 こっちはもうメルトダウン寸前なのだ!

 てかこんな狭い客席で胴上げするスペースねーって!


 だというのに……


「わっしょい! わっしょい!」

「わっしょい! わっしょい!」

「わっしょい! わっしょい!」


 ……あ、もう、だめ……



 ぶりぶりぶりー(うんこ中)



 しばしの沈黙。

 ふ、ふふふ……


「ぎゃー! うんこだー!」

「うわ汚ッ!」

「いやー! 汚物よー!」


 逃げ惑うアホ度も。

 残された俺。


 アハハ、俺終わった。

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