ヤマネ編Ⅱ
「やまねー起きてるー? 起きてないねー」
しゅーっとすいこまれる感じがして、わたしはいつの間にかベッドの中にいました。
首だけ動かしてあたりを見回すと、白ちゃんがコーヒーをもってきてくれていました。
「白ちゃん! ビルは? 食べられちゃった!?」
「食べ……? ビルならさっき帰ったよ」
「ほんと!? ぶじ? 黒いのは?」
「黒いの?」
「さっきいたの! 黒いへんなの!」
「もう居なくなったみたいね」
「そっかーよかったぁ」
ほっとしたらなんだかねむたくなってきました。
「あーまだ寝ちゃだめっ! お風呂入るからこれ飲んで!」
あわてて白ちゃんはわたしにマグカップをわたしてきました。
白ちゃんがつくるコーヒーはにがくなくて、ミルクがたくさん入ってメイプルのかおりもしておいしいです。
これをのむとわたしはすこしだけながくおきていられるようになります。そのあいだにはみがきをしたりおふろにはいったりします。
おふろは入ってる時にねちゃうとあぶないからって白ちゃんが毎日いっしょに入ってくれます。
おゆにつかってるあいだはシャボン玉をとばします。
「それでその黒いのがわたしに手をのばしてきたの! なんでビルには見えないのかなぁ」
「やまねは他の人より少し視力が良すぎるのね。だからビルには見えないのよ」
「いつもビルは、ゆめだからこわがることないってゆうのよ。でもわたしのせかいはバラバラでメチャクチャになっちゃったからどれがほんものかなんてわかんないもん」
公園を歩いてるとおもったら、つぎのしゅんかんにはベッドにいて、なんでってかんがえてたらこんどは教会にいたりしてすっごくこまる。
「ふふ、せっかくなら俺が守ってやる! くらいは言ってほしいわよね。……やまねは今楽しい?」
「うん、だっておはなしできるし、シャボン玉きれいだしおふろあったかいから!」
「じゃあ、それは現実だわ」
「へんなの。ゆめよりげんじつのほうが楽しいなんて」
「でもそれって超かっこいいと思うわ」
「チョーカッコイイ?」
「逆さまの世界に生きるなんてどこかのお伽噺みたいじゃない?」
「わたしそれしってる!」
まだせかいがこわれてなかったときによんだ、あの教会のおねえさんと同じ名まえの女の子が出てくるおはなし。
「さ、もう出ましょう」
「えーもうちょっとー」
「でももう眠いでしょう?」
そういわれたとたん、目をあけていられなくなりました。
「ねむく……な……」
言いきるまえにわたしのいしきはなくなってました。
白ちゃんはどんなまほうをつかったの?