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リトルセが寝付いたのを確認してから、エンディーンはそっと退室した。
懐に持っていた、折りたたまれた生成りの紙を取り出す。
望まぬことが書いてあるとわかっていて、彼はその手紙を開いた。いくつかの情報を、素早く目で追って再確認する。
その中にまったく予測していなかった事柄が書かれていたが、何度読み返してもその事実は変わらない。
(……こんな、ことが)
運命の皮肉と偶然と。
交錯するそれらに、エンディーンはわずかに自嘲した。
―――それでも彼には、守るものがある。
手にした鍵。
これだけが、約束の証だった。
血がにじむほどきつく握り締めた。
(……この裏切りをどうか)
忘れてほしい―――と、自分勝手に願う自分を情けなく思いながら。
それでも少女には、いつまでもただ笑顔でいてほしかった。