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勇者製造シリーズ

勇者製造ノ過程ヲ説明スルト~女神さまは元勇者のために隕石を落とします~

作者: kokusou.

タイトル通り、あのカオス小説の続きらしきものになっております。

シリアス??何それどこ行ったの、なノリでございます。

・・・作者は連載中の小説の展開に行き詰ったため、暴挙に走ったのです!!!

さぁみんなで・・・メテオストライクだぁあぁ!(爆)

時と場合と作者の心的状況によっては続きがあるかも?なんてことがおきたりするかもしれないです。





 太陽が嫌味なくらい燦々と降り注ぐ午後。

 



 息も苦しく一人の少年が駆けていく。

 田舎の舗装されているとも言えない道を、躓きそうになりながらも必死で足を前に運ぶ。

 森の入口に差し掛かった時、奥に進むことに必死で足元を見ていなかった彼の視界が突然がくんと揺れた。


 

「っ、あっ!」


 

 足をひっかけられたと思った時には時すでに遅し。

 顔面から少年は地面に突っ込み、したたかに体を打ち付けた。


 

「うぅ・・・」


 

 余りの痛みに、少年は体を縮こませ、最もダメージが大きかった鼻をまだ小さなその手で握った。

 まだ動けない少年に、五つの彼とさして変わらない影が近づいていく。



 

 

「へへん、こんなたんじゅんなワナにひっかかるなんて、お前ほんとーにまおーか?」

「おまえのそのめ、おっかぁがあくまっていってた!」

「あーくまっあーくまーっ!まおーっ!まおーっ!」

「はやくやっちまおうよぉ、なんかしてくるかもしんねーし!」



 

 

「ち、ちが・・・」



 

 

 泣くな、昔誰かにひどくそれを言われたというのに、彼の涙線は既にゆるゆるだった。

 誰か分からないその人に、とても怖かったその人に、心の中で謝りながら少年はぎゅっと目を瞑った。


 

「あくまはな!ばっせ、ん?ばっす?ば・・・ば・・・っああもうわかんねぇやっ!とにかく、ばっすられなきゃいけねーんだっっ」


 

 ぶん、と勢いよく振り上げられた棍棒よりもっと高い、高い位置で。

 何かがきらりと光る。






 

 

 

 

 

 

 ・・・ひゅぅぅぅぅぅぅぅうううぅぅぅぅうううううう。




 

 

 

「?・・・なんのお」

 





 

 

 きらり。

 





 空に光るそれは一直線に少年たちへ向かっていきー

 





 

 




 

 

 ・・・っずどぉおおぉぉぉぉおおおぉおぉぉんんんん!!!







 

 

 

「ぎ、ぎやぁあああぁぁぁあああぁぁ!!」



 

 顔を焦がさんばかりの熱風。

 吹き飛ぶ森の木々。

 地を揺るがす地響き。

 快晴の空に吹き飛んでいく森の諸々。

 目の前で起こる超常現象。


 


 

 以上の結果、悪餓鬼達の脳内は正確に『退避』の二文字を叩き出し、悲鳴ともつかない声を上げながら一目散に逃げ出して行った。

 



 

「え?」



 

 

 そこにはぽかん、とした顔をした少年が取り残された。
















 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ふふふふ・・・・」


 

 あたり一面がじんわりと光り輝く世界。空が快晴なのは、先程いた彼の世界と同じである。

 ふわり、と彼女の黒髪が広がる。広がるといってもその先は大気のように霞んでいるため、若干その表現には語意があるかもしれない。

 体を隠すには心もとない布を体に巻きつけた容姿の彼女は、体を震わせる。彼女の体を隠すためにか、薄絹とはまるで勝手が違う鎧を所々身に付けている姿は戦乙女のごとく。

 彼女がその細く白い手を身に絡ませ、体を揺らす度に小さく金属のぶつかり合う音が響く。


 彼女の声は、段々と大きくなっていく―――そう、堪え切れないといわんばかりに。



 

 

 

「・・・ふふふっ、っ!あははははは、ふはははあはあははははははあぁははは!!!!やってやったわこのくそがきぃ!!!シヴィルに手を出そうなんて一億万年早いんだよぉおぉぉ!!!」

 



 

 次は隕石じゃ済まないわよぉぉぉ!!

 と高笑いする彼女は、その美貌のせいか悪の親玉のようである。

 まだ笑い足りないと声高く笑い続ける彼女。

 




 

「パメラぁあぁぁぁ!!!またおまえかぁあああぁぁ!!!」

 



 そこに猪突猛進!と言わんばかりに駆けてくる一つの人物。その声は天地を揺るがさんばかりに響き渡り、彼女のいる場所ー地面ではないーをぐらぐらと揺らした。

 ・・・いや、正確には人ではない。



 彼女はそれを目にとめ、直ぐに眉を顰めた。



 



 


「あぁん?なによ、カミサマ?」


 


 その「カミサマ」という台詞と彼女の態度は、全くかみ合っていなかった。


 彼女の手前で急停止したそれは、その透けた細い指を彼女にびしっと突きつけた。その爪は長く延び、指にはこれでもかと装飾品がつけられている。


 すうっと息を吸い込むと、彼は一気にまくしたてた。


 


「っ何勝手に隕石なんか落としてんだバカ!!あぶねーだろうがっ!!」


 


「危なくないわよ、ちゃんとシヴィルに当たらないように調整したもの」


 


「そういう問題じゃねーよ!ってかほかはどうでもいいのかっ」


 


「どうでもいいわ」


 


「即答か!!!」


 


「わたしのシヴィルを殴ろうとしたなんて、百回殺しても足りないわ」


 


 凄絶な笑顔を浮かべて、彼女はくすくすと笑う。


 


「お前・・・一農民だってなぁ、世界にとってはな」


「関係ないわよ、だってカミサマ殺してもこの世界は廻ってるじゃない」


「お前が殺したんだろうがっ!!!」


「うん」


「うんじゃねえよぉおぉぉっ!」


 


 青年とも少年ともつかない容姿をしたそれは、世にいうカミサマというやつだ。


 彼もまた薄絹のような衣を身にまとっているが、彼女と違うのはその容姿もさることながら、まるで戦闘には向かない姿だということ。鎧など着けてはいない。その体を覆うのは世界中から集めてきたのかと思うほどの宝石だ。


 彼は壮絶な美貌だというのに、そのじゃらじゃらとした装飾だらけの手で頭を抱え蹲った。


 


「ったくよぉ、あの下っ端のバカがあんなことしなきゃ・・・おまえみたいなじゃじゃ馬が天界にくることもなかったってのにぃいぃぃ・・・」


「ああ、アイツ下っ端だったの。どうりで。人間だった時の私に負けたんだものねぇ」


 


 けらけらと笑う彼女に、彼は盛大な溜息を零した。


 


「おまえなぁ・・・神を殺したお前が異常なんだ。うん、俺は間違っていない」


「でもアイツ弱かったもの」


「それは否定しない。あいつは下位の中の下位の下位の下位だった」


「一番下だったのね、単純にそう言いなさいよ、ムカつくわね」


「・・・そうです」


「分かればいいのよ」


「・・・一番下でも神を殺せる人間が神になるとか、異常レベルになるってわかるだろ・・・何負けてんだよ、アイツぅぅぅ」


「何よ、私が負ければよかったっていうの?絞め殺すわよ」


「めっそうもございません」


「分かればいいのよ、分かれば」


「・・・・・・・」


 


 なぜ神の自分が元人間に頭を下げているのか。彼は疑問で仕方なかった。


 


「けどな、それとこれとは話が別だ!確かにお前は力があるし、少し他の神と事情が違うからって力を好きに使うなっ!」




 


 はぁ?





 


 と彼女は思いっきり顔を顰めた。



 


「私の力の全ては彼の為にあるというのに、それをしない理由が分からないわ」


「・・・現実世界で、もう少し台詞を変えたら、すっげぇ告白なのに・・・」



「シヴィルのあの可愛い顔に傷つけた時点で、本当なら殺しても良かった」



「こ、殺したらだめだっていってんだろーが!過保護にもほどがあるわ!」


「だって!見てみなさいよ、あのシヴィルを!人間の大人の時もそりゃぁワンコみたいで可愛かったわよ!頑張ってカッコイイ言葉使おうとして俺とかいってるのがもう、もう・・・!!シヴィルが転生したときに守るって決めたのっ!子供の今は更に可愛いしっ」


「そのお前の寵愛の結果があのオッド・アイだろうが!お前の力が顕著に現れやがって!それが理由でアイツ、はぶられてるだろ!」


 



 彼の眼に現れたのは、神になった彼女の顕現色と同じルビーレッドだ。本来の彼の色はサファイアであるから、よりそれが彼の容姿の中でも浮き立ってしまっている。


 神の御標みしるしはそこまではっきりとあらわれる事はない。

 だからこそ悪魔からの呪だと思われているようだ。

 彼女としては、地上に降りて行って叫び散らしてやりたいようだが、さすがに神のトップである彼の方がお許しにならない。

 彼女に力づくで言うことを聞かせられるのは彼の方だけだというのに、彼の方も彼の方で自分に世話を丸投げである。

 



 

「何よ!私の愛の形を馬鹿にするほうがわるいのよ!」

「お、ま」



 

 うるうると瞳を潤ませる彼女に、彼はたじろぐ。



 

「・・・シヴィルは悪くない。私に文句言えばいいじゃない」



 

 お前に文句言ったら隕石到来メテオストライクだよな。

 



 シヴィル(悪くない)に攻撃→隕石到来メテオストライク

 パメラ(諸悪の根源)に攻撃→隕石到来メテオストライク・・・注意:人類滅亡の未来が三分で訪れるでしょう

 




 

 ・・・。

 

 



「とにかくっ、あいつ等の親にも何かけしかけなきゃ。何がいいかな?局地ハリケーンなんてどう?シヴィルの家は村から離れてるし問題ないわよね」


「・・・上にはパメラの暴走って伝えるしかない・・・俺はわるくない俺はわるくない俺は」


「何ぶつぶついってるの。ほら手伝いなさいよ」


「俺もやるのっ?!」


「あんただってシヴィルが生まれた時喜んでたじゃない」



「そりゃ、同じ神が問題起こした勇者が無事に転生したんだし・・・」


「ほら!じゃぁ報復手伝いなさいよ!」


「神が報復ってだめじゃね?!」


「いいのっ」


「よくないっ」


「分かった。あんたが大事にしてるあの子、壊していいのよね?」


「っ?!?!」


「はい、交渉成立!いくわよ!」


「・・・・っ」


 


 







 おい、バカ見てるか?

 お前のせいで今天界は大変です。

 世界が滅べばよかったとは思いませんが、このままでは両方滅んでしまいそうです。

 お前が選んだ勇者は、神になりました。

 けれど、悪魔です。

 俺は毎日命が縮む思いです。(寿命なんてないけど)




 

 そしてこれから、彼女に彼が再び勇者であること。

 お前が作ったルートのせいで今度は転生したお前が勇者で、彼と旅をすることを、こいつに伝えねばなりません。

 俺は世界の終りの前に死ぬかもしれません。

 神が死ぬとかどうなんの?

 お前はルートにのまれたけど、俺はどうなんのかな?



 

 神の言葉を記せる紙はないので、おれは心の中でエールを送ります。

 おれにだぜ。

 断じてお前にじゃないよ。


 

 当前だろうが。


 

 お前にエールとかいう以前に全力でお前を殺しに行きたいです。

 けどそんなことをしたらお前がぐちゃぐちゃにしたルートがまたぐちゃぐちゃになるので、やめておきます。


 

 けど、いつか必ずお前には報復するよ。


 

「おらぁ!何やってんのよ!シヴィルの怪我!あんたの治癒能力で治しなさいよ!ぶっころすわよ!」


 

 俺が死ぬ前に。


 


 


 そして世界が隕石到来メテオストライクされる前に。


 


 


 


 

 


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