闘争と逃走
「岸本・・・雄大・・・。」
「アンタ、お父さんのこと知ってるの?」
「あぁ・・・」
知ってるなんてもんじゃねぇよ
「?」
「ゆうちゃん?」
「あ~、雛ちゃんと姫川は向こうで待っててくれるか?」
「なんで?」
「俺はこの人と話さなきゃいけないことがある」
「?お父さんじゃなくておばさんに話さなきゃ意味ないよ?」
「いいから・・・」
「?まぁいいけど。雛、向こう行こう?」
「うん!ゆーちゃん!またね!」
「またね」
姫川たちは幼稚園の遊具で遊ぶようだ。
「さて、」
振り返って、やつに話しかける。
「アンタはここで何してんだ?」
「勇樹か・・・?」
動揺してんな。知ったこっちゃねぇけど。
「質問してんのは俺だ。10年前に行方不明になったはずの岸本雄大さん?」
「・・・。」
「だんまりしてんじゃねぇぞ。アンタのせいで俺と母さんにどれだけ迷惑かけたと思ってんだ?」
「か、母さんは、元気か?」
「死んだよ・・・。誰かさんが失踪した1年後くらいにな」
「そうか・・・。」
「後悔ぐらいはしてんのかよ」
「後悔は・・・、してない」
小さく、しかし強い口調で俺の親父は断言した。
許せなかった。
「ふざっけんなよ!アンタまだ自分のしたことがわかってねぇのかよ!おばさんにだってそうだ!お前のせいでかけなくていい苦労をかけさせられてんだぞ!」
「お前たちに迷惑をかけたのはわかっているし、悪かったとも思っている。だが・・・」
それ以上は聞けなかった。聞かなかった。
とにかくこのふざけた悪魔を殺してやろうと考える以外に頭が働いてくれなくなったのだ。
朱音を守るために培った力をコイツを殺すために使うとは思わなかったが、まあいい。
腹に一発こぶしを突き刺した。
大半のやつはこれくらったらはくか気絶はするんだが、コイツは顔をしかめるにとどまった。
やるじゃん。じゃあ遠慮なくぼこらせてもらうぞ!
回し蹴りの要領で遠心力をつけて右足をやつの首に叩きつけた。最近は手加減して攻撃していたが、今はそんな必要がない。だってコイツは死んで当然だからね。
ギリッ
なんでコイツは倒れねぇンだよ。殺す気で打ったんだぞ?
「勇樹、悪いが許せるのはここまでだ」
「ざけんな。まだまだ続けるに決まってんだろ?そ~だな、アンタが死ぬまでかな?」
「いや、もう終わりだ」
ふぅ、ふぅ。いいねぇ。最近で一番楽しいぜ!
んじゃ、必殺技でしめるか
「くらえよ!」
やつに向かって走りながらこぶしを振りかぶる。そのままスピードをこぶしに乗せて押しつける。自分をハンマーみたいにして叩きつける。それでコイツはすくなくとも脳震とうはおこすはずだ。
「!?」
叩きつけようとした瞬間に、真後ろに吹っ飛んだ。何がおこったんだよ・・・。
「言ったはずだ。もう終わりにすると」
「ッ・・・」
動けねぇ。やっべ、意識が遠のく・・・。やっとやつに復讐できるはずだったのに・・・。
「ゆー・・・丈・・・な?」
「大丈夫よ。もうちょっとで起きるでしょ」
「ほんとぉ?」
どこだここ。
「んん~、よく寝た」
バシンッ
「よく寝た、じゃねぇよ!」
「おねぇちゃん!だめだよぉ、またしんじゃう」
一回も死んでないよ、雛ちゃん?
「大丈夫だよ、これくらいじゃ死なないから」
「ゆーちゃん!」
グハッ、体を起こした状態でいたら雛ちゃんのタックルがとんできた。
「雛ちゃん?」
泣いてた。え、なんで?
「ゆーちゃん、だいじょうぶ?いたいいたいない?」
「どこも痛くないよ。心配してくれてありがとう。」
嘘だった。体中がミシミシいってる。けど、心配させたくなかった。
「雛ちゃんはやさしいね。」
「?」
自覚ないのか、首をかしげる雛ちゃん。
「何してんだ!お前!」
うるさいやつだな。ちょっとギュッてしただけじゃねぇか。
「ゆーちゃん!ちゅっ」
こ、これが伝説のほっぺにちゅ!か!攻撃力抜群だな。
「お前お前お前お前お前お前おまえおまえおまえおまえおまおまおまおまおまおmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmmm。私もしてもらったことないのに!」
「?おねぇちゃんおんなのこどーしでちゅってするの?とくしゅせーへき?」
「ぐはぁ」
「姫川ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」
けど、よく特殊性癖なんて言葉を知ってたな。
「ひ、雛!おねぇちゃんは変態じゃないよ?」
いや、言いたいことは伝わるけど、そんな風にせまったら逆効果・・・。
ほら、雛ちゃん泣きそう。俺も怖い。こうなると、元の顔とか関係なくなるんだな。
あれだ、ホラー映画のポスターを見てるみたいだ。
あれ怖いってより気持ち悪いんだよな・・・。
しかもこっちはだんだんせまってくるわけで・・・
「ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーーーちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。怖いよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「やめろ!姫川ぁ!雛ちゃんが本気で怯えてる!」
「アンタバッカズルイノヨ!ハヤクヒナヲカエセ!」
「こえーよ・・・」
目が泳いでる!きょろきょろきょどきょど
「ゆーくん、あとでお口にちゅっってしてあげるから助けて?」
この子、将来男を惑わすんじゃないだろうか?ちょっとお兄さんは心配です。
まぁ、してもらうけど・・・。
「よし!まかせろ!」
雛ちゃんをお姫様だっこ+逃走
「まてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ぎゃあああああああああああああ、姫川追ってくんなーーーーーーーーーーーーーー
なんか姫川のキャラがさだまりませんね。すみません