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恋愛なんてタイミングが全て
昔友達から借りた少女漫画に書いてあった
高校3年生の秋
いつメンで恋バナをしていると
友達のひろみに好きな人ができた話で盛り上がった
「私、藤瀬くんが好きなの」
恋するひろみは可愛くて、藤瀬くんとは隣のクラスの野球部の男の子だった
たまたま委員会が藤瀬くんと一緒になり、私が仲を取り持つことに
「藤瀬くんはどんな曲聞いたりする?」
「俺はこのアーティストがすきでよく聞くよ」
「え!私の友達のひろみっていう子も好きなの!」
2人が少しでも近づけるように協力した
「俺、吉木のことが気になってる」
結局、私の協力はバカみたいに失敗して
藤瀬くんから最悪の言葉を聞くことになってしまう
「……っ、私、他に好きな人いるの!
友達のひろみが藤瀬くんのこと気になってて、だから協力しようとしたつもりだったの、本当にごめんなさい」
咄嗟に嘘をつくしかなかった
思わずひろみのこともカミングアウトしてしまう
それからひろみにも何も言えなくて
ひろみはそのまま藤瀬くんに告白して
藤瀬くんがOKして2人は付き合った
それから半年後に別れてしまったらしい
でも、高校を卒業してひろみにもあんまり会わなくなってその話は私と藤瀬くんの中で秘められたまま
大学生になって、初めて彼氏ができたけど
長くは続かなかった
その後も告白されて付き合ってみたけど
向こうの気持ちが冷めてしまったら続かない
私も好きになろうと努力してみたけど
そんなに上手く行くものではなかった
秋になり大学生になって初めての学祭
地域の人も集まる規模の大きめのイベントだ
自分のクラスの役割りを終えて特にすることもなく
友達と体育館であるバンド演奏を見に行くことに
体育館の中は人だらけですでに熱気がすごかった
友達とハグれないように前に進む
「こんにちはー、えーっと、
………………盛り上がっていくぞーー!!!!」
うぉぉぉー!!!!っという地響きのような
男性陣の声と共に
大音量で曲が鳴り始めてバンド演奏が始まった
曲調はめちゃくちゃロックであんまり聞いたことない私でも周りに釣られて盛り上がった
1番近くで演奏しているギターの人と目が合う
……………私の時が止まってしまった
ひゅっと喉がなるのがわかり、彼から目が逸らせない
楽しそうに笑顔で演奏して八重歯が見える
汗が光って綺麗に散る、
それがスローモーションのように動いて
目を離すことができなかった
「あおいー、めっちゃよかったね!!!
かっこよかったし!!!」
「…………そだね、はは」
気付けばもう曲が終わっていた
自分の中で起きたことが整理できなくて
友達のさやかに空返事してしまう
「メンバー紹介します、ギターのアキ!!!」
ボーカルの人がメンバー紹介を初めて
アキくんが頭を下げる
「ギターのアキです!!今日はたくさんの人が見にきてくれてテンション上がってます!!!次の曲はこんな恋したいなーと思って俺が書いた曲です、!是非聞いていってください!」
ヒュー!!っと周りが盛り上がって始まった曲は
バラードだった
歌詞がめちゃくちゃ良くて感動してしまった
「いやー、最高だったね!!!
ここの大学きてよかったことの一つに入る!!
ボーカルかっこよかったぁ〜
あおいは?誰がよかった???」
「……私ギターの子かな」
「なんか可愛かったもんねー!!あおいのタイプはあんな感じなのかぁ笑」
揶揄うようにさやかが言ってくる
タイプなんて、今まで思ってた人と全然違う感じだし
あんな、派手な容姿の人を好きになったことはない
髪はアッシュの銀髪?系で短髪だけど全部上に逆立てているような髪型……なんていうんだっけ、??
口にピアスもあったような……
思い出して見るたび全くタイプではないのに……
熱を帯びた鼓動の余韻が今でも残っている
また会えたらいいな……そんなことを思ってしまう
でもそんな期待は見事に打ち砕かれ、
ボーカルや、他のメンバーの人はちらほら見かけるがギターのアキくんを見かけることは一回もなかった……
もしかして違う大学の人だったのかな……
だけどバンドの人と接点もなく
だからと言って話を聞き出すほどの勇気もないし
聞いてどうなりたいというはっきりした気持ちもなかった
ただ電撃を受けたような衝撃があっただけで
時間と共にその気持ちも薄くなり、
いつのまにか考えることも減っていた
「あおい、今週のバスケ一緒に行く?」
家でお父さんから社会人バスケに誘われる
「え、行きたい!行こうかな」
私は小学校からバスケットボールをしている
お父さんは中学校の先生をしていてバスケの監督もしてる
社会人のチームにも所属していて
たまに試合とかもある。
時間がある時はこうして練習に行く
私も付き添ってバスケに着いていくことがよくあった
今日は久しぶりにバスケに行く日だ
晩御飯を済ませてバスケットウェアに着替える
「怪我しないようにね?望くんも!!」
お母さんから怪我をしないように、っとお父さんも念を押される
社会人のチーム練習には女子も何人か来てくれるから
楽しくて好き
試合形式のゲームも男女混合チームでやったり、
社会人は自由でバスケットが好きな人が集まってる
小、中、高、とバスケをしてきて監督の指示通りに動かなくてもいいし、怒られることもない
好きなプレーを楽しんでいいし、何より気が楽
色んな年層の人がいて話も結構楽しい
「あおいちゃん、久しぶりー!」
みんなが優しく声をかけてくれて
中、高とバスケ部で一緒だったるみも来ていた
「るみ!久しぶり!」
「あおい!最近全然こなかったじゃん〜」
るみは高校卒業後、就職して
ここの社会人チームで出会った歳上の彼氏と
ほぼほぼ練習には参加してる
同じ趣味のカップルって羨ましい
楽しくバスケをしていたら、
隣のコートでバドミントンがあっていた
ケラケラと楽しそうな声が聞こえてそちらを見る
ん?、なんか見覚えが……
ええ!!!もしかして…ギターのアキくん???




