第3話 40歳童貞様の捜索
40歳童貞様の召喚の儀式をしてから、早1ヶ月。
国王軍の兵を派遣して大捜索を行なったが、40歳童貞様は一向に見つからない。
1000年に一度現れるかどうかの、伝説の40歳童貞様の持ち物。
『やたら手触りの良い布』
きっと、40歳童貞様にしか使いこなせない特殊な魔道具に違いない。
40歳童貞様の大魔法を理解しようと考えるだけで、おこがましい
30歳童貞の魔法使いが束になっても、敵わない。
結局、何も分からないことが分かった。
そもそも、魔法使いとは何か?
この世界において魔力とは、内なる性欲が力源である。
性的妄想とは、性欲を解放する力。
魔法とは、魔力を用いて具現化する方法。
魔道とは、性欲を引き出す技術。
魔道具は、性欲を増大させる補助器具。
すなわち真の魔法使いとは、己の性的衝動を制御出来る者のことなのである。
40歳童貞様は、転移魔法が使えるのかもしれない。
偉大な大魔法使いなら、転移魔法くらい余裕で使えそうな気がする。
たぶん使える。
きっと使える。
絶対使えるに違いない。
40歳童貞様は、転移魔法でどこかへ移動したのだろう。
誰だって知らない土地へ来たら、状況を把握する為に周囲を調べるのが普通。
40歳童貞様はこの世界で生きる為に、旅をしているのではないか。
旅をしているうちに、魔王軍の領地へ入った可能性もある。
40歳童貞様が転移魔法を使えるとしたら、そのくらい余裕で出来ると思う。
っていうか、なんで今の今まで誰もそのことに気付かなかったのか。
国王軍は今まで、国内しか捜索をしていなかった。
もし40歳童貞様が魔王軍の領地へ行ったとしたら、見つかるはずがない。
話し合いの結果、国王軍は捜索範囲を広げることにした。
といっても、魔王領へ入ることはそう簡単なことではない。
魔王領へ入るには、渡航文書を申請しなければならない。
国王領と魔王領の間には、関所がある。
そこで、パスポートの提示を求められる。
パスポートは、国際的に通用する全世界共通の身分証明書。
パスポートを提示すれば、誰でも関所を通れる。
兵士たちは申請に必要な書類を揃えて、申請窓口へと向かった。
なお、パスポートが発行されるまで1週間(土日、休日を除く)かかる。
パスポートの申請をしてから、約1週間後。
ついに、兵士たちはパスポートを手に入れた。
これでようやく、魔王領へ入れる……と思いきや。
他国へ入国するには、パスポート以外に在留資格も必要となる。
ビザには、いろいろな種類がある。
ざっくりと大きく分けて、以下の通り。
・永住ビザ
・就労ビザ
・留学ビザ
・外交ビザ
・観光ビザ
今回は40歳童貞様を探すことが目的なので、短期滞在用の観光ビザとなる。
観光ビザの有効期限は、15日、30日、90日から選べる。
申請には、申請書、パスポート、証明写真、発行料金が必要。
ビザ取得までの日数は、申請を受理された日から約1週間。
そして、1週間後。
兵士たちの元に、観光ビザが届いた。
どれだけ、この時を待ち侘びたことか。
兵士たちは、感動に打ち震えた。
長かった。
本当に長かった。
パスポートとビザを手に入れるのに、2週間もかかってしまった。
兵士たちはいそいそと、荷物をまとめ始めた。
1度入国したら、再入国は1回しか出来ない。
絶対に忘れ物しないように、何度も指差し確認した。
兵士たちはまだ見ぬ土地へ、思いを馳せる。
初めての国外旅行に、ワクワクドキドキが止まらない。
入国前日は、楽しみすぎて眠れなかった。
☆
兵士たちは、ついに魔王領へやって来た。
観光ビザの有効期限は、15日。
まずは魔王領を観光、いや視察。
国王領は、魔道で発展してきた。
一方、魔王領は魔道具で発展してきた。
魔王領は見るもの全てが目新しく、兵士たちは目を輝かせた。
早々に、本来の目的である40歳童貞様の捜索を忘れた。
現地の観光ガイドを雇い、観光名所を巡った。
魔王領でしか食べられない、美味しいものをいっぱい食べた。
15日間は、あっという間に過ぎ去った。
兵士たちは大満足で、たくさんのお土産を抱えて無事に帰国した。
報告書に「〇〇が楽しかった、□□が美味しかった」と書いたら、上官にめちゃくちゃ怒られた。




