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エルフさんと癒され日帰り温泉旅へ  作者: タカハシあん


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第7話 *矢代八千代*

 大学を卒業して大手出版社に就職出来た。


 美容系の雑誌に関わりたくて努力したけど、社会(会社)とは厳しいもの。自分の望む仕事をさせてもらえることはなかった。


 八年もの努力で第六編集部(窓際部署)の編集長(わたし一人だけ)につけた。


 もういっそのこと首にしろよと思うけど、首にされても困るので甘んじて受け入れているわ。会社の温情に感謝です。


 冷飯食らいのただ飯食らい。なんてことも出来ず、問題があったときのためにページ埋めするためにのネタを探して、いつでも出せるようにしておかなくてはならない。


「温泉行きたいな~」


 取材費+旅費は十万円までなら出してくれる。出張もわたしが許可すれば可能だ。


 ……この会社、大丈夫なの……?


 まあ、きっと税金対策なんでしょう。そう納得して旅行雑誌を見て、どこに行こうかなと考えた。


「東北にでも行くか~」


 銀山温泉とかいいわよね。まあ、ホテルなんて泊まれないから車中泊かな? 前に流行ったときに取材して道具は一通り揃っている。取材費って最高よね。


 申請書を作り、わたしの許可印をポチっとな。では、いってきまぁ~す!


 と、実家に置いてある愛車に乗り込み、高速を走らせたものの、久しぶりの運転で疲労困憊。銀山温泉まで行くのを諦めて米沢にある温泉に入るとする。


 カーナビで調べ、賜の湯ってところに決めた!


 無料区間を降りたすぐで、国道から少し入ったところにあった。


「キャンピングカーで旅行か。羨ましいこった」


 わたしもこんなので旅をしたいものだわ。


 温泉の人に名刺を渡して取材と写真を撮る許可をもらう。ちゃんと仕事をしておかないと経理に怒られちゃうからね。


 温泉に入るのは自腹だ。一週間の予定なので自腹を切れるところは切っておく。あれもこれもだと首を切られる理由になっちゃうからね。


 温泉と砂風呂を体験する。日頃の疲れが癒されるわ~。


 取材を忘れて癒しに癒され取材は完了。道の駅に移り、写真をパソコンに取り込み、忘れないうちに原稿を書いた。


「あれ? 賜の湯にいたキャンピングカーだ」


 まったく、世の中不公平よね。きっと美味しいものを食べてるんでしょうよ。


 わたしはコンビニ弁当。車中飯だ。あ、ビールも一缶買いました。


 お腹が膨れ、ビールを飲んだらさっさと眠るとする。さすがに移動で疲れたしね。


 次の日は米沢観光だ。上杉城跡や周辺を走り、米沢ラーメンを食べた。せっかく来たんだから食べておかないとね。


「ラーメンうめー!」


 これは喜多方ラーメンも行っちゃうか? いや、行くべきでしょう! ってことで喜多方にレッツゴー! 道の駅に来たらまたあのキャンピングカーがいた。どこまで一緒なのよ?


「運命か?」


 まあ、なんのかは知らないけどね。風呂入ろう。


 あまり混んでなくてよきかな。お、パツ金の人がいる。こんなところにもインバウンドの波が来たか?


 どこの人かわからないのでちょっと離れる。スマホがないと……え? 耳が長い? エルフ?


 いやまさかと思いつつ見ていたらその人が振り向いて慌ててタオルを頭に巻いて耳を隠した。


 マ、マジか!? 喜多方にはエルフが住んでいるのか?!


 いや、そんなわけないか。コスプレの人よね。


「あの、エルフさんですか?」


 これは確かめねばと話しかけた。


「₣₨₥₦₡₠€」


 わぉおっ。言葉が通じませんでした~。英語でもなくロシア語でもない。初めて聞く言語だった。いや、ロシア語知らんけど。

 

「わたし、矢代八千代。八千代、オッケー?」


「……ヤチヨ、名前?」


 お、まったく日本語がわからないわけじゃないようだ。


「そうそう。ヤチヨ。あなたは? ミーよ」


「ルーシャ、です。日本語、わからない」


「オッケーオッケー。一人ですか? 誰かと一緒ですか?」


「₦₡₥฿₨₡」


 おー。そこまでわからないか。でも、日本語がわからないみたいだけど、お風呂の入り方を知っているなら連れはいるはず。ここにいないなら男ね。


「お風呂、楽しむ。ゆっくりする」


「オッケーオッケー。楽しみましょう」


 せっかくのお風呂。まずは温泉を楽しみましょう。


 体や頭を洗い、エルフさんと一緒にお湯につかり、充分温まったら一緒に上がるとする。


 エルフさんは慣れたようにドライヤーで髪を乾かし、鏡を見ながら乳液を顔に塗った。本当にエルフか? 


 着替えが終わり、外に出ると、自販機の前にいた男がこちらを、いや、エルフさんを見た。この人が連れか。


 自己紹介をしたら胡散臭そうに見られたけど、取材してたらよくあることわたしは気にしないわ。


 いろいろ尋ねたらエルフさんの魔法で会話できるようになったとか。それ、わたしにもお願いします!


 頭を両手でつかまれると、頭の中を電気が走った。


「どうかしら? わたしの言葉、わかる?」


「わかります! おー! 魔法凄い!」


 わたし、魔法をかけられちゃったよ! スゲー!


「ここでは目立つからオレたちの車に移りましょう」


 確かに人目があるか。わかりましたとついて行ったらあのキャンピングカーだった。やはりこれは運命だわ!


 キャンピングカーに入るのはこれが初めて。外も立派だったけど、中も立派だった。今日はここに泊めてもらおうかしら?

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