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エルフさんと癒され日帰り温泉旅へ  作者: タカハシあん


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第41話 大子温泉保養センター 森林の温泉

 写真を求めた人はそんなにいなかったので、十分もしないて終わった。


 客商売とは大変なものだ。営業とはまた違ったものがあるんだな~。


「お昼にしようか」


 そろそろルーシャの腹の虫が活発になる時間。第二観爆台にも行き、十二分に堪能した。オレもルーシャもスマホで撮ったので、途中にあった食堂で蕎麦や鮎の塩焼きやゆず味噌団子なんかを食べた。


「観光地で食べるものって不思議と美味しいですよね」


「わかる」


 思わず同意してしまった。


「米沢で食べた玉こんにゃくも美味しかったっけ」


「群馬の焼きまんじゅうも美味しいですよ」


「あ、会社の人から聞いたことある。有名なヤツなんですよね」


「はい。二串くらい余裕で食べられますよ」


 そんなにか。絶対、群馬にも行こうっと。


「そう言えば、旅に出て初めて蕎麦を食べたな~。結構美味いものなんだ」


 コンビニのざる蕎麦は食ったが、すのこに盛られた蕎麦なんていつ振りだ? 天ぷらもなかなか美味いじゃん。


「毎日美味しいものが食べれて幸せです」


 幸せそうに食べる阿佐ヶ谷妹。なんか不思議と食べさせたくなる。ほら、お食べ。


「田舎のおばあちゃんみたいですね」


 オレ的には野良犬にエサを与えている気分だが、それは黙っておこう。


「あ、ミオさん。団子を食べているところを撮りたいのでお腹は空けておいてくださいね」


「すべては撮影のためか。配信者やモデルは大変だ」


「まあ、それを仕事にしてますから」


「頭が下がるよ。今度からちゃんと動画を観るとします」


 何時間も撮影しても投稿するときは十二、三分に編集する。段取り八分仕事二分ってところじゃない。撮影九割九分投稿一分だよ。採算合わんだろう。


 川沿いでゆず味噌団子を食べているところと、お土産を買うところを撮影してキャンピングカーに戻った。


「チェックインまでまだ時間があるけど、どうする? 道の駅で休む? それとも日帰り温泉に行く?」


 まだ十二時を越えたところ。ここならだとオートキャンプ場まで三十分もかからない。どこかで時間を潰す必要があった。


「温泉に入りたいわ。汗もかいたしね」


「あたしは構いませんよ」


「宮脇さん、日帰り温泉に行こうと思うんですけど、いいですか? どこかに寄りたいなら別行動にしますが」


 そういや、宮脇さんに魔法をかけてないからルーシャの言葉がわからないんだったよ。


「わたしは大丈夫ですよ。大子温泉なら行ったことあるんで。なかなかいいところでした」


 全員、異論はないので大子温泉保養センターへと向かった。


 日曜日の昼なのでそこそこ駐車場は埋まっていたが、下の駐車場に停めるほどではない。いい場所にキャンピングカーを停められた。


「結構綺麗なところだ」


 古びた感じも味はあるが、こういう清潔なところもまたよし。いろんな日帰り温泉があってそれがいい、だ。


 ──────────────────────────


 宮脇早苗ミオ


 ここに来るのは今日で三度目かしら? 入っているところも撮れたら再生数が伸びるのにな~。個人で公共施設は難しいわ。


「じゃあ、一時間後に」


 全員の入浴料を払う道端さん。袋田の滝でも、いえ、出会ったときからすべてのものを払ってもらっている。当たり前のように払ってもらっていいのだろうか? 


「あ、あの、わたしまで払ってもらっていいんですかね?」


 璃子さんに尋ねてみた。


「あたしが言うのもなんですが、了さんはルーシャさんが守られるならお金を惜しまないんですよ」


「どういうこと?」


「了さんって勘がいいんです。とにもかくにも人を見る目があるんですよ。ルーシャさんは異世界のエルフ。この世界で生きるにはいろいろ大変ですからね、その暮らしを守るためには絶対に味方は必要だし、同性の支えも必要です。だからって、誰でもいいわけじゃない。ルーシャさんを裏切らない人でなければならない。その見極めが優秀なんですよ」


「でも、わたしに声をかけたのは璃子さんよ」


 道端さんが積極的に動いたことはなかった。


「そこはあたしを信用してくれているからですよ。了さん、こんなあたしを信じてくれてるんです。才能があるって褒めてくれるんです。ニートでしかなかったあたしを。そのためならお金を惜しまないし、環境を作ってくれる。嬉しいじゃないですか。まあ、その根本にあるのはルーシャさんを守ることなんですけどね」


 道端さんからルーシャさんが命の恩人だとは聞いている。余命宣告を受けて、半年の命のところ救われたって。その恩は返さないといけないって。


「₦◆€₢₥₣₨」


「救われたのはわたしのほうだ、ですって」

 

 言葉はわからないけど、表情から申し訳なささが読み取れた。


「ルーシャさんと了さんは似た者ですね」


「₥₣《*₢€*◆₨」


「わたしは了より優しくない、ですって。ツンデレなんですから、ルーシャさんは」


 ポカリと叩かれる璃子さん。ツンデレ、わかるんだ。

 

 なんかいい関係だな~。ちょっと羨ましいや。


 一人の配信は気が楽だけど、こうして仲間たちと配信ってのも楽しそうだわ……。

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