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エルフさんと癒され日帰り温泉旅へ  作者: タカハシあん


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第26話 *阿佐ヶ谷妹* エルフバージョン

「美味しかった~!」


 馬刺し、あたしのグルメリストに入ったわ。次、いつ食べられるかはわからないけど。


「お腹も膨れたのでお風呂入りたいです!」


 昨日は実家で入ることも許されなかった。うちの姉、本当に鬼である。


「それなら矢代さん、ルーシャをお願いします。オレは電気屋に行って来るんで」


 と、了さん。家になにもないとか言ってたっけ。


 今の姿から想像出来ないけど、本当に余命いくばくかだったんだね。宣告受けるってどんな気持ちなんだろうね? あたしなら……よくわかんないや。


「わかりました。終わったらこちらに来るんですか?」


「はい。今、十二時過ぎだから、十六時ではどうです? 明るいうちにRVパークがある道の駅に行けますんで」


 また車中泊か~。ホテルに泊まりたかったな~。


「それなら先に行ってていいですよ。チェックインするなら十五時に行ったほうがいいですし」


「道の駅は猪苗代ですか? そこなら行ったことあります」


 おねーちゃん、道知っているクセにあたしに運転させるよね。まあ、養われている身なので口には出せませんがね!


「はい。そこなら阿佐ヶ谷さんと矢代さんの車が停められますからね。ルーシャ、魔法の鞄を貸してくれ。そこに入れておくから」


 魔法の鞄とは。たまにルーシャさんがファンタジーな世界の出身ってのを忘れるわ。


「あ、了さん。ルーシャさんが使いそうな電化製品は買いましたから。暮らしで使うものだけでいいと思いますよ」


 ホームセンターで売ってたからね。


「あ、うん。想像出来ないけど、暮らしで使うものだけを買って来るよ」


 まあ、男性にはわからないか。わたしは知識しかないけど。


「じゃあ、なにかあれば連絡してください」


 了さんとはドライブインで別れ、あたしたちはお風呂に向かった。もちろん、運転手はあたしですけどね! 


 着いたところは田んぼの真ん中にある施設。大江戸温泉物語ってところだ。さすが田舎。福島、秋田にも負けてないわね。


「人が多いね」


「土曜日だしね」


 あ、土曜日か! もう曜日の感覚なくなっているわ。


「矢代さん。撮影とか出来そうでしたか?」


「ちょっと無理っぽいですね。今日は土曜日ですから。でも、スマホで日時風景を撮るなら問題ないと思いますよ」


「おねーちゃん、お風呂に来たんだから撮影は忘れなさいよ。もっといいところがあるじゃないの」


 ファッション雑誌を飾るわけじゃないんだから外で撮ればいいじゃない。自然豊かなところなんだからさ~。


「ママ、あの人耳が長いよ!」


 さすが子供。見て見ぬ振りが出来ないわ。


 ルーシャの容貌は目立つ。その長い耳も。それでも声を上げないのは日本人の性でしょうよ。


「やっぱり耳は目立つのね」


 脱いだ帽子をまた被った。


「わたしもエルフになってキラキラしたいな~」


「あんたがエルフになってもキラキラなんかしないわよ。中の中くらいなんだから」


 ひ、酷い。それが姉の言うことか? あたしだって自分が美人だとは思わないわよ。スタイルだってそこそこだし。


「エルフに、か。それはおもしろいわね。リコ、なってみる?」


 はぁ? え? な、なるって?


 ルーシャさんの両手が伸びて来て目の前が光で包まれた。


「はぁ?」


「す、凄い!」


 おねーちゃんと矢代さんが目を丸くしてあたしを見ている。なにが起こったの?!


「ほら」


 と、おねーちゃんが手鏡を差し出した。


「はぁ? え? あ、あたし?」


 鏡の中に映るのは……誰だ? あたしか!? あたしなのか?! 美人なパツキンエルフになっているぅ~っ!!


「幻惑魔法ね。まあ、魔力の皮を被っている感じかしら? 触ればリコのままよ」


「あ、本当だ。耳がないわ!」


「い、痛いって! 引っ張らないでよ!」


「表情も動くんですね」


「皮膚の動きに合わせて動くわ。まあ、魔力がない者だどいまいちね。激しい動きにしか反応しないわ」


 魔法、どんだけよ。凄すぎて語彙が働いてくれないわ。


 自分の頬を引っ張ると、鏡の中のパツキンエルフの頬も引っ張られている。不思議すぎてさらに語彙力が低下しているわ。


「璃子、そこに立って。カメラで撮してみるから」


 スマホを出して撮し出した。


「凄い。カメラは魔力をも写すね。魔力って物理なの?」


 あたしも見せてもらったらパツキンエルフが写っていた。わぉーお。


「今回はそう強い魔力ではないから一時間くらいで消えるかもしれないわ」


「強くすると長く維持できると」


「試してみないとわからないけど、わたしの体調と魔力次第で六時間くらいは行けると思うわ」


 ゲームみたいには行かないってことか。まあ、人が起こしている奇跡だもんね。


「でも、おもしろいわ~。魔法的VTuberが出来るんじゃない?」


 顔を隠せながらもビジュアルがいいときている。高い機材がなくてもいいってのが最高だわ。外にも出れるしね。


「矢代さん。これで動画とか出したらウケると思いますか?」


 これはおねーちゃんより矢代さんの分野っぽい。


「んー。最初はウケるとは思うけど、VTuberとかは中身も大事だからね。プロデュース力がないと成功はしないと思うわよ」


 プロデュース力か~。確かにVTuber界は熾烈だものね。顔がいいだけではすぐに飽きられちゃうわ。


「あんた、歌も踊りもダメでしょう。声はいいかもしんないけど」


 姉という生き物は本当に辛辣である。


「でもまあ、モデルとしてはいいと思うわよ。あんたは表情豊かだし、物怖じしないからね」


 辛辣ではあるけど、カメラマンとしては優秀なのよね……。


「お風呂から上がったら外で撮影してみましょうか」


「そうですね。まずはお風呂に入りましょう」


 てか、体も変わっているのかな?

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