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ep.1 オークとの戦闘と負け犬ポイント

眩い光が晴れると、そこは見渡す限りの草原と青空が広がる異世界。地平線にはいかにもファンタジーな山々がそびえ、空には謎の巨大鳥が飛んでいる。


「……マジで異世界来ちまったのかよ。」

レイジはぼんやりと辺りを見回しながら呟いた。その隣で、かつてはチワワだったマロンが腕を組んで立っている。


「さぁ、覚悟を決めなさいよ! 私たち、今からこの世界で大活躍するんだから!」

誇らしげに胸を張るマロンだが、小柄でふわふわした姿では威厳の欠片もない。


あと、胸もない。


「お前、そんなチビで大活躍とか無理だろ。まずは自分の身長をどうにか――」


「うっさい! 私がどれだけすごいか、今に見せてやるわよ!」


「そういえば、あのポンコツ女神が言ってた、1000回死ねるって言ってたのはなんだ?」


「クソニートに異世界は厳しいからおまけでもらえたらしいわよ。クソニートだから。」


「おい、クソニートいうな、2回もいうな。駄犬。オレは自営業だ。」


「なんだと、こらっ!!ぶっ殺してやるっ!!」


改めてこいつ、狂犬すぎる、、こんなに口悪かったんかよ。ということは、こいつに1回殺されたから、後999回死ねるってことか?


いつか、あの小さすぎる胸でも揉んで仕返ししてやる。

 

言い合いを始めたその時だった。草むらの奥から低いうなり声と共に巨大なオークが姿を現した。


突然のピンチ。


「おいおい、いきなりボス級かよ!」

レイジが引きつった顔で後ずさりする中、オークは巨大な斧を担ぎ、牙を剥き出しにしながら近づいてくる。


「安心しなさい! 私がなんとかするから!」

マロンが前に出て拳を構える。


「お前ほんとに大丈夫かよ?」


「任せて!」

そういえば、ここに飛ばされる前もこいつ強かったな。まぁ俺が、殴り殺されたんだが。


マロンが謎の光をまとった拳を振り上げた瞬間――その攻撃は華麗にオークを外れ、見事レイジの顔面に命中。


ドゴォン!


「グハァぁぁぁっっっ!なんで俺に当ててんだよっっ!」

レイジは地面に転がりながら叫ぶが、マロンはなぜか堂々としている。


「は? 私の攻撃がなんでアンタに当たるのよ?」

「俺が聞きてぇよ!」


まだ死んでないってことはゲームでいう、HPはまだ残ってるってことか、、


ボコボコにされながら、レイジは女神から渡された「折れた伝説の剣」を手に取った。剣を構えるが、刃はたった10センチ。これでどうやって戦うのかと思ったその時、剣から声が響いた。


「あらあらまぁまぁ、情けない姿じゃのぉ。」


「……え? 誰?」

レイジが驚いて剣を見ると、どこからともなく続けて声が聞こえる。声のトーンは明らかに幼い女の子だが、そのしゃべり方は完全に老人だった。


「ほほほ、わしじゃよ、この剣がしゃべっとるのさ。まぁ、わしの力を引き出せるかは、あんたの負け犬ポイントを貯められるかどうか次第じゃがのぉ。」


「あんたが喋れんのは情報が拾えるし、正直助かるが、、?ってか負け犬ポイントってなんだよ!」


剣はクスクスと笑いながら答える。

「この剣は、持ち主がどれだけ惨めな負け犬かによって力が変わる。あんたが情けないほど、わしの力は強くなるんじゃよ。」


「いやいや、そんな条件あるか!? 俺が情けなくないとダメってどういう仕組みだよ!」


マロンが横から口を挟む。

「うわー、ピッタリじゃん。レイジって負け犬そのものじゃない?」


「おいコラ、誰が負け犬だ!」


オークが再び接近し、斧を振りかざした。レイジは剣を構えたが、剣は全く使える気配がない。


「ちょっと待てよ! これ、全然使えないじゃねぇか!」

「ほほほ、まだあんたの負け犬ポイントが足りんだけじゃよ。」


「足りないって、具体的に何すりゃいいんだよ!」


剣はわざとらしく咳払いしてから答える。

「今の状況だと、まず、敵に思いっきり追い詰められること。できれば、オークにパンツを脱がされて、あ〜れ〜となるくらいが理想じゃ。それだったら全力だせる。」


「ふざけんな! なんで俺がそんな目に――」


その時、マロンがまたしても攻撃を放った。


「大丈夫! 私がやるわ!」


ドゴォン!


またもやレイジの顔面に直撃。


「ぐぼあっっ!!!マロン、いい加減にしろ!」

「なによ、アンタが当たるのが悪いんでしょ!」


もしかしてコイツの攻撃はオレにしか当たんないんじゃ?あのバカ女神の手違いか、、?

てか、マロンからのダメージでそろそろ死に近いような気が、、

「とにかく、俺が無様な姿を晒せばいいんだな!?」

「そうじゃそうじゃ」


「じゃあやってやるよっ!!」

 

とりあえず、服を脱ぎパンツ姿になるオレ。

ボロボロに2回殴られ、しかもパンツ姿で折れた剣を振り回すオレは、外から見ると完全に無様な姿だった。

 

ついに負け犬ポイントが溜まったのか、剣がピカピカと輝き始める。


「さぁ、今がチャンスじゃ!」


「くそっ、やるしかねぇ!!」


渾身の力で剣を振るうレイジ。剣から放たれた光の斬撃がオークを貫く、、、事はなく、

微妙に出た薄い光っぽい斬撃がオークのアタマに直撃。そして、バランスを崩したオークが後ろ向きに転倒し、頭から岩に突っ込んでそのまま動かなくなった。


「や、やった……のか?」


剣がどこか上から目線で言った。

「ほっほっほ、なかなかじゃったな。この調子でわしの力を引き出すんじゃよ。」


「醜態晒しといて、そんな攻撃力高くねぇじゃねぇか!!!こんな剣、二度と使うかぁぁぁっ!」


負け犬ポイントを貯めないと使えない剣、俺にしか攻撃が当たらない駄犬、、こんなんでこの異世界生活どうしろと、、?


レイジは思わず天を仰ぐのだった――。

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