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【完結】誰が為にシナリオはあるのか〜乙女ゲームと謀りごとの関係〜  作者:
第一章「長いプロローグ ーbefore the game beginsー」
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20. いよいよデビュタント

 いよいよデビュタントだ。

 私は朝から全身を磨き上げられた。


 なんというかデビュタント当日って、嬉しかったり、感動したりするんだろうと予想していたのだけれど、身支度を終えた私は今、疲れ果ててぐったりとしている。

 お養母様かあさまがそばに寄り添ってくれているけれど、疲れた私は、もう出かける気力をどこから出せばいいのか悩むばかりだ。

 お養母様かあさまが自分のデビュタントの時も似たような感じだったと言うので、私は少しだけ勇気づけられた。きっと今頃、他の家でも同じように疲れ果てている娘がいると思ったら、私も頑張れそうな気がしてきた。

 お養母様かあさまはデビュタントの時に、初めて父さんとお養父様とうさまに会ったらしい。疲れている中で、たくさんの人に挨拶して、終わった時には誰と話をしたかなんてすっかり忘れてしまっていた、とお養母様かあさまは笑う。

 ただ、父さんとお養父様とうさまのことだけは覚えていたそうで、何故かというと二人があまりにも似ていて、双子なのかと思ってびっくりしたからなのだとか。

 「双子なのかと思ったら、年齢が違うと聞いて、またびっくりしたのよ。本当に双子みたいにそっくりだったの」


 そういえばお養母様かあさまはもともとは父さんの婚約者だったそうなのだけど、お養父様とうさまとは仲良く過ごしているし、父さんのことをどう思っているんだろう。

 気にはなるけど流石に聞くことは出来なくて、だけど私のことは可愛がってくれるし、昔の話も楽しそうに笑いながらしてくれるということは、蟠りのようなものはないのだろう。

 お養母様かあさまは平気そうだけれど、私は少しだけ落ち着かない気分になった。


 …そういえばデビュタントでお養母様かあさまは婚約者に出会ったということは、私も今日出会う人と婚約することもあるのだろうか。

 そう思ったら、なんだか急に緊張してきた。


 緊張することで疲れを忘れかけた時、支度を終えたリュカがやってきた。

 私のドレスと意匠を合わせた正装に身を包んだリュカが、緊張した私と双子みたいに同じ表情に見えたのは、お養母様かあさまの話のせいだったかもしれない。


 リュカと一緒に部屋へ入ってきたルネが、私とリュカの揃いの衣装を見て目を輝かせている。

 結局リュカが衣装を着た姿を見るのが、当日になってしまったな。

 私は少しだけ今日までのことを思い出しながら、デビュタントを支えてくれるリュカを頼もしく思って見つめた。


 *



 デビュタント前の最後の週末。

 流石にリュカも誘いを断って、私のために時間を空けてくれていた。


 リュカと私の衣装は、意匠を合わせている。だから本当は衣装合わせも一緒に出来れば良かったのだけれど、予定を合わせられずに、それぞれで行っていた。

 私はリュカの予定に合わせれば良いと思っていたのだけれど、この時期、服を作る側の予定が立て込んでいることに、私は思い至っていなかった。

 私の衣装の方が、リュカのものより断然作る時間が掛かる。だから私の衣装の制作スケジュールに合わせて私の衣装合わせは行われ、それと同時に行えなかったリュカの衣装合わせは、リュカの予定が開いたタイミングを縫うように強行された。


 そんなわけで、リュカの衣装も見てはいるけれど、着ているところはお互い見ることはなく。ダンスの練習も空いた時間になんとか合わせるくらいの状態でデビュタント前最後の週末を迎え、そしてようやく二人で予行練習とも言える最終確認を行う…はずだった。



 週末、私はデビュタントの衣装に似たドレスを朝から着せてもらい。私室でリュカの支度が整うのを待っていた。


 けれども、外から騒がしい声が聞こえてくると、向いの部屋で準備をしていたはずのリュカが呼び出され、そしてリュカは私への謝罪を残して出かけていってしまった。

 リュカが戻ったのは、日が沈んでからだった。



 まあ、リュカの代わりにお養父様とうさまと練習はした。

 リュカが戻ってきた時には、流石にドレスは脱いでいたけれど、少しだけリュカともダンスを合わせた。


 本当は疲れ果てているリュカを休ませてあげたかったのに、私を放り出して出掛けたことに罪悪感を抱いている義弟リュカに休みなさいとも言えなくて、軽くダンスを合わせた。

 「大丈夫だから」という慰めはリュカの心に届いただろうか。義弟おとうとを落ち込ませるばかりでは義姉として少し情けない。



 昼間はどうやらオードラン伯爵家でちょっとしたトラブルがあったのだそうだ。リュカは何も自分を呼びに来なくてもよかっただろうに、と言っているが、よくよく聞いてみればそのトラブルと言うのは、デビュタントを控えたとあるご令嬢のパートナーを巡る争いで。

 そのとあるご令嬢には婚約者はいないのだけど、婚約者候補と目されている男性が二人おり。

 そしてそのお二人がパートナーを掛けて決闘もどきを始めたそうで。

 止めようにも、止めた者が新たなパートナーに名乗りを上げる気ではないかと邪推され、騒動が広がり、パートナーの決まっている奴に止めさせるしかないということで呼ばれたのがリュカというわけだ。

 確かに怒りたくもなる。


 「皆んなに頼りにされてる義弟おとうとをデビュタントのパートナーに出来て嬉しいわ」

 私はリュカにそう声を掛けると頭を撫でてやる。


 リュカは拗ねたような顔で私の顔を見た。

 しばらく黙って頭を撫でられていたリュカは、「義姉上あねうえのデビュタントのパートナー、しっかり努めるよ」と言って顔を上げると、ようやく笑ってくれた。

とある令息A「本当にあいつら婚約者候補なのか?」

とある令息B「あー…そう自称しているのは本当」

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